先週の日経平均株価は週間で483円安と反動安で終わりました。新年度入りした今週4月4日(月)~8日(金)は東京証券取引所が新市場区分に移行。“試運転”の1週間になりそうです。

先週:プライム、スタンダード、グロース市場誕生で何が変わる!?

 日本の株式市場は4月4日(月)から、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編されます。

 最上位のプライム市場は「グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場」と定義されています。

 旧区分との違いは、市場に流通し、投資家が自由に取引できる株式数や、株式数に株価をかけた流通株式時価総額が上場基準の要件として重要視されていること。

 要するに、親会社や特定の株主向けではなく、より多様な投資家の意見も取り入れて企業経営している会社でないと、最上位のプライムに上場しにくくなりました。

 また、ガバナンス(企業統治)の面で要件をクリアし続けないと、上場を維持できなくなりました。

 日本取引所の「新市場区分企業検索」によると、プライム市場には旧東証1部に属する企業2,177社の中から、1,839社が上場。

 スタンダード市場は全部で1,466社です。旧東証1部の338社は上記の流通株式時価総額などの基準が満たせず、スタンダード入りとなりました。

 旧東証2部の全475社やジャスダック2市場の大半の企業がこのスタンダードに属し、大所帯になりました。

 グロース市場は1社を除く東証マザーズ全企業やジャスダック市場の一部を合わせて466社が移行します。

 先週の経済イベントでは、30日(水)に行われた岸田文雄首相と日銀の黒田東彦総裁との会談が注目されました。

 28日(月)に1ドル125円台まで進んだ急速な円安に対する為替介入があるのではないか、という思惑が膨らみ、121円台まで円高が進行。日本株も下げに転じました。

 これまで、円安は日本株反転上昇の原動力になってきました。

 しかし、急速な円安は国内物価の高騰を招き、この夏の参院選の不安材料になります。

 もし岸田政権がこれ以上の円安を許容しない姿勢を示せば、日本株にとってはネガティブになりそうです。

 米国では、31日(木)発表の個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)が前年同月比6.4%増と40年ぶりの高水準に。

 1日(金)発表の雇用統計では失業率が3.6%まで低下。これはコロナショック前の2020年2月以来の低水準です。

 物価が上昇しても雇用状況が悪くならないことを受け、機関投資家が運用指標にしているS&P500種株価指数は週間でほぼ横ばいの0.06%高で終了しました。

今週:今後はウクライナ情勢から金利や中国に世界の目が移る!?

 今週は東証の新市場誕生で、取引システムに混乱が出ないか、といった面に注目が集まりそうです。

 また取引が盛り上がるのかどうかも、気になるところ。まずは様子見の1週間になるでしょう。

 海外に目を向けると、ウクライナのキーウ(キエフ)周辺からロシア軍が撤退し、東部戦線に注力する動向が伝えられています。

 ロシアの軍事目的縮小が鮮明になれば、早期停戦期待で株価にはポジティブです。

 ただし、戦争の鎮静化についてはかなり株価に織り込まれています。今後、戦争からインフレや金利上昇に再び市場の目が移ると、株価が反落する可能性もあります。

 米国では、4月7日(木)未明に3月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が公開されます。

 現在、米国の債券市場では、短期金利が長期金利を上回る「逆イールド」が発生しています。金利は短期より長期が高いのが普通ですが、逆イールドは短期金利が上昇し、長期金利を上回っている状況。景気後退の先行シグナルといわれます。

 なぜなら、短期金利はFOMCの利上げなどに合わせて上昇するものの、長期金利がそれほど上昇しないのは、金利上昇が景気を冷やす市場予想の表れだからです。

 FOMC議事録で強硬な金融引き締め姿勢が確認されると、さらに逆イールドが深刻化するかもしれません。

 また、中国に対する懸念も広がっています。1つは、新型コロナウイルス感染症がまん延して大都市・上海が今週もロックダウンされていること。

 もう1つは、ウクライナを侵略するロシアに中国が加担する懸念です。

 中国のロシア加担が鮮明化すると、中国に対しても資産凍結のような金融制裁を米国が強化する可能性があります。

 そうなると世界は「新冷戦時代」に突入。

 すでに中国の株式・債券市場からは大規模な資金流失が続いていることが報じられています。

 荒波での船出となった新たな日本の株式市場。最初の1週間を無難な上げ相場で乗り切ることに期待したいものです。