アナリスト評価◎の割安高配当株TOP15

※データは2022年3月31日時点。
※配当利回りは予想、単位は%。時価総額の単位は億円。月間騰落率の単位は%。移動平均線乖離率の単位は%、基準は13週移動平均線。

※コンセンサスレーティング…アナリストによる5段階投資判断(5:強気、4:やや強気、3:中立、2:やや弱気、1:弱気)の平均スコア。数字が大きいほどアナリストの評価が高い。

※移動平均線乖離(かいり)率…株価が移動平均線(一定期間の終値の平均値を結んだグラフ)からどれだけ離れているかを表した指標。この数値がマイナスならば、移動平均線よりも現在の株価が安いということになる。

 上表は、長期投資に適した銘柄の高配当利回りランキングと位置付けられます。

 3月31日時点での高配当利回り銘柄において、一定の規模(時価総額1,000億円以上)、ファンダメンタルズ(コンセンサスレーティング3.5以上)、テクニカル(13週移動平均線からの乖離率20%以下)などを楽天証券の「スーパースクリーナー」を使ってスクリーニングしたものとなっています。配当利回りはアナリストコンセンサスを用いています。

ランク外となった銘柄、新規にランクインした銘柄

 3月の日経平均株価は前月末比で4.9%の上昇となりました。月前半に大きく下落、3月8日には2020年11月以来の2万5,000円割れとなりました。

 ロシアのウクライナ侵攻が一段と激しさを増し、ロシアへの経済制裁の強化に伴うインフレのさらなる進行などが警戒材料視される形となりました。原油相場は3月8日に1バレル=123ドル超水準にまで上昇しています。

 その後、ウクライナ情勢に大きな進展はありませんでしたが、原油相場のピークアウト、FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ決定によるあく抜け感の強まりなどから、買い戻しの動きが一気に強まりました。為替相場での円安進行なども追い風になったとみられます。

 こうしたなかでランキング上位銘柄は、高安まちまちとなっています。大きく上昇したのは住友商事(8053)で、資源価格の上昇が他の総合商社株同様に買い材料とされました。

 また、商船三井(9104)も1:3の株式分割実施を発表したことで、一段の流動性向上期待から買い優勢となりました。一方、下げが大きかったのは日本郵政(6178)三井住友FG(8316)などで、配当権利落ち後に処分売り圧力が強まっています。三井住友FGに関しては、SMBC日興証券による相場操縦事案の影響を警戒する動きもあったようです。

 今回は、住友商事(8053)、三菱HCキャピタル(8593)ヤマダHD(9831)が新規にランクインした一方、双日(2768)DIC(4631)TOYOTIRE(5105)が除外となりました。

 三菱HCキャピタルやヤマダHDは相対的な株価下落で利回りが上昇する格好となり、住友商事は株価が大きく上昇しましたが、一方で配当金のコンセンサスが切り上がったことで利回りは上昇しました。

 半面、双日は資源関連株として株価が上昇、TOYOTIREも円安メリットなどで株価が堅調に推移し、それぞれ利回りが低下しました。DICは株価が軟調でしたが、もともと配当金のコンセンサス水準が高かったことで、これが切り下がる状況になりました。なお、三菱HCキャピタルは2022年3月期で連続増配期間は23期となります。

 アナリストコンセンサスと会社計画で配当予想が大きく異なっているものは少なくなっていますが、住友商事(8053)は会社計画の年間110円をベースにすれば、配当利回りは5.19%の水準となります。

 SBIHD(8473)は引き続き期末配当金を未定としていますが、アナリストコンセンサスでは年間配当143円程度が想定されているようです(上半期配当金は30円、前期末配当金は100円)。

 ヤマダHD(9831)も期末配当金は未定としていますが、配当性向30%以上を目標としていることから、純利益の予想水準から考えて実質的には21円程度の水準が見込まれます。この水準であれば配当利回りは5.53%となり、現在のコンセンサス予想4.54%は低すぎる印象です。

相場の注目点

 ウクライナ情勢の先行きが見いだせない状況下では、2万8,000円水準までリバウンドした日経平均のさらなる上値余地は乏しいとみられます。新年度相場に入ったこともあって、機関投資家の銘柄入れ替えの動きも本格化する中、今後は銘柄ごとに選別物色の動きが強まりそうです。

 4月後半には2022年3月期の決算発表も本格化するため、新年度の業績見通しがそのカギを握るとみられます。

 高配当利回り銘柄の行方としては、海運セクターの動きが焦点となってきそうですが、新年度の業績見通しは控えめなものになると考えられ、配当計画も慎重なものとなるでしょう。高配当利回り銘柄全般の上値抑制につながりそうです。一方、期初から増配を発表する高配当利回り銘柄には注目度が高まるものとみられます。