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市場再編で何が変わる?
今までさまざまなところでニュースとして取り上げられておりますので、ご存じの方も多いと思いますが、いよいよ4月4日、東京証券取引所(東証)の市場再編が行われます。
現在、東証の市場区分は
●市場第1部
●市場第2部
●マザーズ
●JASDAQ(ジャスダック)
の四つがあり、ジャスダックはさらに「スタンダード」と「グロース」に分かれています。
これを4日付で
●プライム市場
●スタンダード市場
●グロース市場
の三つに再編します。
1月、各上場企業がどの新市場に所属するか発表されました。発表によると、現在東証1部の銘柄のおよそ84%は最上位のプライム市場へ移行し、スタンダード市場へ移行するのは残り16%の銘柄にとどまります。
ただし、プライム市場へ移行する銘柄の中には、プライム市場への上場基準を満たしていないものも含まれていて、それらは経過措置として特別にプライム市場へ移行しています。
また、東証2部の銘柄とジャスダック・スタンダードの銘柄はスタンダード市場へ移行し、ジャスダック・グロースとマザーズの銘柄はグロース市場へ移行します。
なお、名古屋証券取引所(名証)でも、同日市場区分の変更が実施されますが、ここでは割愛させていただきます。
詳細は楽天証券ホームページをご参照ください。
マザーズ市場は消滅するが、マザーズ指数は残る
東証の市場再編に伴い、現在算出されている株価指数にも影響があります。
東証が三つの市場に再編されることで、新たに
●東証プライム市場指数
●東証スタンダード市場指数
●東証グロース市場指数
などの株価指数が新設されます。
一方、東証2部市場やジャスダック市場がなくなりますので、
●東証第2部株価指数
●JASDAQ INDEX
などの株価指数は廃止となります。
ただし、マザーズ市場はなくなりますが、
●マザーズ指数
は構成銘柄を変えて当面継続となります。
また、東証第1部というくくりがなくなることで、もともと東証1部上場銘柄全てを対象として算出していたTOPIX(東証株価指数)はどうなるのか、という点がありますが、TOPIXも銘柄を変えて継続します。
なお、日経平均株価は、構成する225銘柄の上場市場を東証1部からプライムに変更しますが、実質的には銘柄変更の影響を受けず、これまで通りの扱いです。
筆者個人的には、投資家の間では、新しい株価指数に関して当面様子見となり、引き続きTOPIXの重要度が高い状況が続くのではないかとみています。
TOPIX、改革の狙い
現在、TOPIXは東証1部に上場する銘柄全てを対象として数値を算出しています。ただし、近年は東証1部に上場するハードルが下がったこともあり、本来なら時価総額や流通株式数が小さいため東証1部に上場するにはそぐわない銘柄が多数上場してしまいました。
実は、TOPIXに連動した運用をしているのは、ETF(上場投資信託)や指数連動型のインデックスファンド(投資信託)に投資する個人投資家だけではありません。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や企業年金といった大口の機関投資家も、TOPIXに連動した運用を行っています。
しかし、上記のとおり、TOPIX連動型の投資をすると、東証1部に上場するには適さない銘柄に対しても必然的に投資することになってしまい、不健全であるという声が高まっていました。
そこでTOPIXの構成銘柄のうち、流通株式時価総額が100億円未満の銘柄は、経過措置を経たうえ、TOPIXの構成銘柄から外すこととしたのです。
具体的には、2022年10月から、流通株式時価総額100億円未満の銘柄は、組み入れ比率を段階的に10%ずつ削減し、2025年1月には組み入れ比率をゼロにするというスケジュールです。
なお、流通株式時価総額100億円未満の銘柄の、TOPIX全体に対する時価総額の割合は1%ほどですので、TOPIXの指数としての連続性に対する影響は僅少です。
したがって、個人投資家がTOPIX連動型の投資信託やETFに投資する分には、特に問題ないと考えられます。
考えられる大きな影響は「時価総額の小さい銘柄への売り需要」
ただし、個別銘柄に目を向けると、大きな影響が生じる場合もあります。
現在東証1部に上場し、かつ流通株式時価総額100億円未満の銘柄については相当の売り需要が生じる可能性が高いです。その銘柄数はおよそ600社ほどあると言われています。
通常、株式投資では業績が伸びていたり、割安だったりという理由で「将来株価が上昇する可能性が高いと見込まれる」銘柄に投資することが一つのセオリーです。
しかし、東証1部に上場しているというだけでTOPIXの組み入れ銘柄となるため、TOPIX連動型の運用資金の流入があれば、業績などには一切関係なく、その銘柄を買い、保有するという需要が生じていたのです。
ところがTOPIXの改革により、今後は流通株式時価総額100億円未満の銘柄はTOPIXの構成銘柄から徐々に外れることになり、「TOPIX連動型の資金からの新たな資金流入がストップする」「TOPIX連動型で現在運用している資金からの売り需要が生じる」という二つのマイナス要素が生じてしまいます。
現に、すでに流通株式時価総額100億円未満の銘柄の株価は、そうでない銘柄よりも株価がかなりアンダーパフォームしており、この動きは今後もしばらく続くのではないでしょうか。
企業業績とは関係のないところで株価が下押しする要因が生じてしまうのは、個人投資家としてはなかなか厳しい面もありますが、決まったことは仕方がありません。
現在東証1部に上場する銘柄のうち、流通株式時価総額100億円未満の銘柄については株価が上がりにくく下がりやすい状態が当面継続する、ということをしっかりと頭に入れておく必要があると思います。
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