筆者は11月で概ね今年の売買を閉めているので、現在は遊び程度のトレードしかしていない。本格始動するのはクリスマス明けからである。読者の皆さんに「餅代稼ぎ」の有望銘柄を提供したいが、現在、主要通貨の日足ベースの動きはトレンドが出ていないので、それもままならない。

それでも「餅代稼ぎ」に何か一つ取引するとすれば、それはユーロ/ドルの1時間足での取引だろう。

ユーロ/ドル(1時間足)

上段:26時間標準偏差ボラティリティ(青)・14時間ADX(赤)
下段:21時間ボリンジャーバンド1σ


緑がエントリー(新規)、赤がイクジット(返済)ポイント
(出所:石原順のオリジナルトレードツール)

上記のチャートは12月20~25日辺りに発売が予定されているおカネを生むチカラ『決定版☆FXの公式』(著者:石原順)という「本の付録」についている「石原順のオリジナルトレードツール」である。トレード手法は本に書いてあるが、5分足・1時間足・4時間足・日足・週足などあらゆるタイムフレーム(時間枠)に対応でき、株・債券・先物・FXなど、どんな商品にも対応している。また、標準偏差ボラティリティも0.1σ刻みの設定が可能である。ぜひご利用ください。

さて、日足相場を眺めてみると、ユーロ/ドルもドル/円も明確な方向性が出ていない。即ち、26日標準偏差ボラティリティと14日ADXが下落基調で、典型的な調整相場となっている。順張りであれ逆張りであれ、トレンド期ともちあい期を認識する手段を持たないと相場で勝ち続ける事は難しいが、今の相場は日足ベースではトレンドが発生しておらず、順張りは機能しにくい時期である。従って、次のトレンドを待つしかない。

ユーロ/ドル(日足)

上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)・14日ADX(赤)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順のオリジナルトレードツール)

ドル/円(日足)

上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)・14日ADX(赤)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順のオリジナルトレードツール)

筆者の周辺では、12月に入りファンド勢による忘年会が頻繁に開催されている。人間というものは酒を飲むとよくしゃべるのであるが、今年も運用者による「損の自慢」大会となっている。(儲かった話はあまりしない)短期トレーダーから長期トレーダーまで、今年はユーロ/ドルの相場がよかったというのが共通意見であるが、ドル/円で稼いでいる人はあまりいないようであった。

筆者の後輩に1人変わった運用者がいて、ユーロ/豪ドルを中心に運用しているという。昨今のユーロ/豪ドル相場は下がり続けているので、ユーロ売り・豪ドル買いをおこなっていれば儲かるように見える。しかし、この通貨ペアはトレンド期ともちあい期の判別がわかりにくく、筆者の嫌いな通貨ペアの一つだ。どういうふうにトレードをしているのかと聞くと、なんと「週足」で取引しているのだという。20週移動平均線一本でADXの上昇期だけ相場に参入しているというのだが、世の中にはいろいろなトレーダーがいるものだ。

ユーロ/豪ドル(週足

上段:14週ADX(赤)
下段:20週移動平均線


(出所:石原順のオリジナルトレードツール)

ファンド勢は現在休暇の季節なので相場への集中力を欠いているが、それでも米金利の動きは気になって仕方ないようだ。長期金利が急上昇している米国債相場は、景気回復期待の国債売りというより、損失回避の売りという「敗戦処理」主導の展開となっている。日本の銀行勢も8月にバーナンキFRB議長がQE2を示唆したあたりから米国債を大量に買っており、現在損切りに動いている。QE2が新興国や欧州から批判されたことと、中間選挙後のブッシュ減税の延長決定(財政もジャブジャブ)が引き起こした思わぬ金利上昇に、皆が面食らっている狼狽相場と言えよう。

米国金利は運用の1丁目1番地である。現在の欧州で騒がれている問題が本当に大きくなるのは、米金利がもっと上がったときだ。現在のバブル相場の継続も、米金利の動向にかかっている。

米10年国債金利(日足)短期的には相場の限界点まで上昇している

上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)・14日ADX(赤)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順のオリジナルトレードツール)