今週の予想

今週は、いったんスピード調整があってもおかしくないところ。あれば押し目買いのチャンス

 米国市場は、FOMC(米連邦公開市場委員会)を通過後、金融政策の方向の不透明感が後退したことで、金利上昇を織り込む上昇となって、3指標そろって2週連続上昇し、ロシアがウクライナに侵攻して下げた株価の下落を取り戻しました。

 これを受けて日経平均も急激な円安を支えに1月中旬以来となる2万8,000円台を回復しました。

 ウクライナ情勢が一進一退する中で、当面の企業業績の悪化を織り込んだマーケットでは、優良株や成長株を買い戻す動きが拡大しました。その水準は2万8,000円台ですので、ここからは利益確定売り圧力で上値は重くなると思われますが、4月の需給面からは下値の固さが期待されます。

 プラス面は、6年ぶりとなる1ドル=122円台の円安であり、輸出比率の高い電子部品や建設機械が好調となっています。一方でウクライナ問題は、今後、生物兵器や核使用まで広がるのか不透明な部分があり、原油価格など資源価格の高止まりも気になるところです。

 日経平均は、3月9日の安値2万4,681円から25日の高値2万8,338円まで短期で3,657円(15%)上昇しており、警戒感が出てくるところです。目先の上値は2万8,500円水準ということになります。

 ここを突破するには出来高が増加してくることが必要ですが、外国人投資家は、3月9日までの9週間で日本株の現物と先物あわせて2兆4,000億円売り越しています。その後、3月14~18日で約2,700億円の買い越しに転じていますので、今後、大幅な買い越しが続くかどうか注目となります。

 チャートの動きをみると、週末25日の時点で9日続伸し、日足チャートでは75日移動平均線(25日時点2万7,490円)を抜いて、一気に200日線(21日時点2万8,278円)に到達しました。短期のテクニカル指標は過熱し、スピード調整をはさんでもおかしくありません。 

 配当権利付き最終日の29日や年度末31日では、さすがに一服となるところですが、下げたところは押し目買いとなって4月半ばまでは堅調な動きが続く可能性があります。

今週の指標:日経平均株価

 先週の予測では、2月10日の2万7,880円が当面の上値であり、2万7,000円からはやや上値が重くなるとしました。

 しかし、3連休明けの22日(火)、23日(水)に米株上昇と円安進行を受けて、2日間で1,000円を突破し、23日(水)は+816円の2万8,040円と2カ月ぶりに2万8,000円のせとなりました。

 ここからは利益確定売りで上値は重いものの、週末の25日(金)は寄り付き+228円の2万8,338円と高寄りし、終値は+39円の2万8,149円と小幅ながら9日続伸で引けました。

 先週末まで9日連続の上昇で、3月25日には2万8,338円まで上昇し、上値の重いゾーンとなる2万8,000~2万8,500円の中ほどまで上昇しました。

 需給の改善を背景とした急速なリバウンドは一服し、週末には米雇用統計も控えており、こう着感の強い展開となりそうです。需給関係も29日の権利付き最終日を境に一巡してきます。

 米国の上昇もほとんど短期筋によるリバウンドとみられており、再び調整リスクが高まりそうです。そうなると日経平均も連動することになります。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 先週は、FOMC通過で不透明感が後退し、金利上昇でも経済正常化期待で消費拡大が続き、株価は上昇する可能性が高いとしました。

 週始めは、利上げの織り込み済みで、22日(火)は+254ドルの3万4,807ドルとなるものの、23日(水)は原油が115ドルと大幅高となったことで、インフレ懸念が強まり、▲448ドルの3万4,358ドル、24日(木)は原油価格の下落でナスダックが大幅高となり、NYダウも+349ドルの3万4,707ドルと反発しました。

 週末25日(金)は、NYダウは+153ドルの3万4,861ドルと2日続伸し、週間では3指標そろって2週連続の上昇となって、ロシアのウクライナ侵攻による下落を取り戻しています。

 四半期末の月末に向けた大規模なリバランスが予定されており、今週末の3月雇用統計では失業率の一段の低下が予想されており、労働市場のひっ迫は「不健全な水準に達した」と警戒されています。

 雇用統計が予想を上回れば利上げペースの加速化計画を正当化することになり、株価にとっては上値を重くすることになります。チャートでは3万5,000ドル台では上値が重くなるところです。

今週の指標:ドル/円

 FRB(米連邦準備制度理事会)による金融引締め観測が強まり、ドル高・円安の流れは変わらないとみられています。パウエル議長は、次回のFOMC(5月3~4日)に利上げ幅を0.5%にする考え方を示しました。円安について日本銀行は容認の姿勢であり、日米金利差を考えるとドル買い・円売りの流れは続きそうです。

先週の動き

 FOMCが通過し、金融正常化スタンスで金利の先高感は継続し、日米金利差もあってドルが買われ円が大きく下げました。

 週始めは、1ドル=119円半ばのもみあいでしたが、22日(火)には、パウエル議長のタカ派的発言を受け、積極的な利上げを織り込む動きとなり、121円水準までドルが買われました。さらに23日(水)は原油高からインフレ懸念が強まり、1ドル=121円台のドル高で推移し、その後、週末にかけては122円前半までドルが買われました。

先週の結果

先週は、米国株堅調、円安で9日連騰の2万8,149円で引けました

 先週の予測では、3連休明けの22日(火)がスタートとなるが、2万7,000円水準から上は累積出来高が多く、戻り売りが出て急激には上昇は難しいとしました。

 しかし、月末の権利確定日に向けた配当の再投資が期待されることで、ウクライナ情勢に大きな変化がなければ2万8,000円水準を目指すことが期待できるともしました。

 日経平均は米国株に連動しており、FOMCを経過して不透明感が後退し、利上げを織り込んで上昇しており、ドルが買われて円安の流れとなっているため輸出関連株中心の上昇が期待できるところでした。

 日米ともに株式市場は年初から調整を続け、前週は底値圏に到達し、17日に+890円の2万6,652円と急伸し、この時点の25日移動平均線(2万6,312円)を突破して「底打ち反転」となりました。そのため、当面は適度に調整を入れながら2万7,000円、75日移動平均線のある2万7,520円水準、そして2月10日の高値2万7,880円を目指すことを想定しました。

 ところが、予想外に連休明けの22日(火)に+396円の2万7,224円をつけ、23日(水)は121円台の円安に支えられ+382円の2万7,606円で寄り付いたあと、2月10日の2万7,880円の高値を一気に超えて2カ月ぶりに+816円の2万8,040円と2万8,000円台を回復しました。

 この日の引け後の米国市場は、原油相場が115ドル台まで上昇したことで、インフレ懸念が強まり、NYダウは▲448ドルの3万4,358ドルとなり、主要3指標そろって大幅下落となりました。

 これを受けて24日(木)の日経平均は、前場は一時▲415円の2万7,624円まで下げるものの、後場になると下げ渋り時間外の米株先物が大きく上昇してきたことで、日経平均も下げ幅を縮小し、大引け間際には上げに転じて+70円の2万8,110円と8日続伸となりました。

 週末の25日(金)は、前日の米国株式が、原油価格が大幅下落し、半導体中心のナスダックが大幅高となり、NYダウも+349ドルの3万4,707ドルと反発しました。

 これを受けて日経平均は+228円の2万8,338円と高寄りするものの、ここをピークに利益確定売り優勢となり、前場は、▲48円の2万8,062円でした。

 後場になると利益確定売りが早まって一時▲163円の2万7,946円まで下落するものの、売り一巡後は持ち直し、配当再投資をにらんだ買いもあって引けにかけ小高い水準となって、+39円の2万8,149円と9日続伸となりました。2019年9月の10日連騰に続く上昇となって引けました。

 週末の米国市場は、長期金利の上昇で、ハイテク株中心のナスダックは軟調だったものの、NYダウは+153ドルの3万4,861ドル、S&Pは+22Pと2日続伸しました。

 週間では、3指標とも2週連続の上昇となり、ロシアのウクライナ侵攻による下落幅を取り戻しました。    

 為替は122円台前半、シカゴの日経先物は+135円の2万8,045円でした。