先週の日本株は1ドル122円を超える円安もあって、急ピッチな反転上昇が継続。反動安もまったくないまま迎えた今週3月28日(月)~4月1日(金)も上昇が続くでしょうか?
先週:円安で日本株は強い動き!その背景には何があった?
先週の日経平均株価は先々週の14日(月)から実に9日連続の上昇となりました。2万8,149円まで値上がりし、2週間の上昇幅は2,987円でした。
上昇率は11.5%に達し、3月8日(火)からの米国S&P500種株価指数の上昇率9%弱を圧倒。
日本株が世界でも強かった1週間になりました。
その原動力は、米国の利上げを受けて25日(金)に1ドル122円台まで進んだ円安でした。
日本株が急激に上昇した背景には、売られ過ぎの反動という以外に、「グローバル・マクロ戦略」を使った海外投資家の資金流入も考えられます。
「グローバル・マクロ」とは、金融市場や政治情勢を大局的な観点で分析した上で、世界中の金融商品を巨額資金で売買する投資戦略のことをいいます。
例えば、ロシアのウクライナ侵攻直後は、急速な原油高と世界的な株安が同時並行で起こりました。
ここ2週間は円安と日本の株高が見事なまでにシンクロ。大量の資金で日本円を売りながら、日経平均先物取引などを使って日本株を買い上げる投資主体の存在が考えられます。
むろん、世界的な株高の一番の原動力は、劣勢を強いられたロシア軍が全土侵略をあきらめ戦争を早期終結させるのではないか、という希望的観測でした。
24日(木)には、ユーロ圏のPMI(購買担当者景気指数)の3月速報値が発表されました。総合指数は予想値を上回ったものの、前月から低下しています。過去最高レベルの物価高の影響もあり、戦争が長引けば、ユーロ圏がマイナス成長に陥る可能性も高いでしょう。
日本国内にも気になる動きがありました。
その一つは、国土交通省が22日(火)に発表した日本の公示地価です。全用途の全国平均が前年比+0.6%と2年ぶりに上昇。
特に札幌、仙台、広島、福岡の地方主要4市は全用途平均、住宅地ともに5.8%のプラスと大幅上昇しました。
また、25日(金)には、長期金利の代表的な指標である日本の10年国債の利回りが0.24%と、6年ぶりの高水準に達しました。
これまで日本経済はデフレと超低金利で低迷してきました。不動産価格や金利の上昇は大きな転換点。
メディアでは消費不振や景気低迷のリスクばかりが強調されています。しかし、新型コロナウイルスの感染者が落ち着いてきたこともあり、日本経済が円安とインフレを背景に好景気に向かう可能性も期待できます。
今週:米国の物価指数・雇用統計に注目!原油高・金利上昇が心配
今週も、ウクライナでロシア軍劣勢が続くようなら早期停戦期待が高まり、株価上昇につながるかもしれません。
逆にロシア軍が生物化学兵器を使用するなど、より凄惨(せいさん)な攻撃に出れば、再び緊張が走るでしょう。
25日(金)夜には、イエメンの反政府武装勢力がサウジアラビアの石油施設を攻撃。今後、北海で産出される欧州向けのブレント原油などの価格が再び120ドル台を超えて上昇し続けると、株安につながる恐れもあります。
今週注目の経済指標は31日(木)に発表される、米国の2月個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)です。
1月は前年同月比6%台まで物価が過熱しましたが、2月分も予想値は6.4%の上昇となっています。
同指数は、米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)でも最重要視されるデータ。もし物価高がさらに深刻化すれば、5月4日(水)のFOMCでの0.5%利上げが現実味を帯びます。
4月1日(金)には、ロシアからの禁輸措置の影響を受けるユーロ圏の3月消費者物価指数の速報値が出るほか、米国の3月雇用統計も発表されます。
非農業部門新規雇用者数は2月の67.8万人増に続き、48万人の大幅増が予想されています。平均時給が上昇してインフレ懸念につながらなければ、雇用者数の増加は株価にとってポジティブです。
今週の日本株市場は、3月29日(火)が3月期決算企業の配当権利付き最終日。配当権利を取りにいく動きで、週前半、株価がさらに上昇する期待が高まります。
4月は通常、新年度入りで株価が上がりやすい時期です。
しかし、世界的な物価高に加え、米国では10年国債の利回りが2.4%台まで上昇。短期金利の上昇も顕著です。
3月上旬の総悲観から一転、3月中旬は総楽観となりましたが、この先揺り戻しがあってもおかしくありません。
株式市場は人間の激しい心理的な変化を映す鏡でもあるのです。
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