利益確定と損切りの注文をセットで出す「IFO注文」知っておきたい「ホント」の使い方と注意点
 (1)IFO注文とは?
(2)IFO注文の発注例

<IFO注文の発注例>

 では、最後に具体的なIFO注文の発注例をひとつ紹介したいと思います。今回紹介するのは、「異なるIFO注文を2つ組み合わせて、相場の動きに備える」というやり方です。

■(図3)トヨタ(東1:7203)の日足チャート(2022年2月10日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3は2月10日(木)の取引終了時のトヨタの日足チャートです。この日の終値は2,254円となり、直近で意識されていた25日移動平均線も下抜けてしまいました。

 この時点で描けるシナリオとして、株価が反発して再び25日移動平均線に向かっていくのか、もしくは、チャートを過去にさかのぼっても分かるように、サポートとして機能することの多かった75日移動平均線あたりまで下落する展開が想定されます。

 そこで、株価が反発した場合と、続落した場合の2つのIFO注文を出すことで、どちらに動いても対応することが可能になります。

 例えば、株価が反発する場合のIFO注文の条件としては、「翌日の寄り付き」で買って、「25日移動平均線水準の株価」を利益確定、「2月10日の安値(2,222円)あたり」を損切り価格として設定します。

 もう一方の株価が続落した場合のIFO注文については、信用取引の売り建てを使って、「翌日の寄り付き」で新規売り建てをし、「75日移動平均線(2,147円)あたり」を利益確定、損切りは「10日の終値(2,254円)よりも少し高いところ」に設定することなどが考えられます。

 翌2月11日(金)の国内株市場は祝日で休場のため、翌営業日は週明けの14日(月)となりましたが、この日の取引はいわゆる「窓」開けによって一段安で始まりました。

■(図4)トヨタ(東1:7203)の日足チャート(2022年2月14日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 そのため、14日(月)の始値(2,174円)で新規の売り建てが約定したことになります。株価上昇に備えて発注したもう一方の現物買いのIFO注文は条件に届かず発注中のままで残っていますので、時間のある時に注文を取り消す必要があります。

 なお、以降の株価の値動きは下の図5の通りなのですが、このまま何もしなくても、株価が75日移動平均線にタッチした翌15日(火)に利益確定の買い返済が執行されます。

■(図5)トヨタ(東1:7203)の日足チャート(2022年2月14日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先ほどの例の条件であれば、27円ほどの利益が得られます(手数料や信用取引の諸経費は除く)。

 今回はトレンドではなく、「窓」開けによって株価水準が切り下がったため、思ったような利益を上げることはできませんでしたが、少なくとも相場の急変にうまく立ち回れたと言えますし、相場をチェックする時間や機会に余裕があるならば、途中で利益確定の条件を変更(利益確定ラインを75日移動平均線よりも下に修正、損切ラインの引き下げなど)することで利益を伸ばすことは可能です。

 さらに、75日移動平均線がサポートとして機能していたことを考慮して、75日移動平均線からの株価反発を想定したIFO注文を新たに追加することもできます。実際には75日移動平均線を下抜けていくトレンドが継続してしまいましたが、当時はリスクヘッジとして備える意味はあります。

 あくまでも、IFO注文は数ある注文方法のひとつで、それ自体が利益をもたらすわけではありません。利益確定を限定することからもIFO注文は大きく利益をねらうというよりは、細かく積み重ねていくタイプの取引に向いていると言えます。

 ただ、株式取引に慣れて、ある程度の値動きを想定できるようになると、IFO注文の持つ、利便性やリスクコントロールは力強い武器になります。ぜひチャレンジしてみてください。

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