ついに本格的な下落相場に突入か?

 1月27日のコラムで、こんなことを書きました。

「日経平均株価が2万7,000円近辺で下げ止まらないといよいよ本格的な下落局面へ向かう可能性が高い」と。

 そして3月11日の日経平均株価の終値は2万5,162円78銭と、2万7,000円を大きく割り込んで下落が続いています。

 日足チャートでは、25日移動平均線を割り込む状況が継続しており、明らかな下降トレンドです。

 週足チャートをみると、2021年2月16日の3万0,714円52銭と、2021年9月14日の3万0,795円78銭をダブルトップとして、その間の安値である2021年8月20日の2万6,954円81銭を明確に割り込んでいることから、こちらも株価が天井をつけて本格的な下落相場に入った形となっています。

日経平均株価の週足チャート(2021年3月5日~2022年3月11日)

 また、ロシアのウクライナ侵攻により、資源価格や穀物価格などが軒並み急上昇しており、これがインフレ傾向に拍車をかけています。

 ここから怖いのは、景気が悪化する中物価が上昇する「スタグフレーション」です。すでに、専門家の間でちらほらと景気悪化の声が聞こえ始めているようですが、インフレリスクを抑えるためには、金融緩和により金利を下落させることはできず、上昇させるほかありません。

 そのため、ここから各国の政策金利が大きく上昇し、景気悪化も同時に進展するとなれば、株価にはかなりの下押し圧力が働くのではないかと危惧しています。

本格的な下落局面でやってはいけないこと(1)逆張り

 筆者は、株式投資を24年実践していますので、バブル相場も何度も経験していますし、逆に2000年前後のITバブル崩壊や2008年の米リーマン・ショックのような急落局面、そして何年もダラダラ下げ続ける下落局面も経験しています。

 そして、株価が大きく下落する局面で多くの個人投資家が失敗し、失意のもと株式マーケットから退場する姿も数多く見てきました。

 こうした経験を踏まえ、本格的な下落局面でやってはいけないことを二つほどお伝えします。

 一つ目は「逆張り」をしないことです。

 長期上昇局面では、逆張りは威力を発揮します。株価が大きく下がったところで買ってあとは持ち続けていれば、そのうちに株価が反転上昇に転じ、「安いところで買えた」となるからです。

 ところが長期的な下落局面になると、この法則が機能しなくなります。株価が大きく下がったところで「安く買えた」と逆張りをすると、その後反転上昇するどころかさらに大きく下がるのです。

 ここで我慢して保有をし続ければ塩漬け株が発生してしまいますし、さらに下がったところで買い増す「ナンピン買い」をすると、そこから株価が大きく下落したときの含み損が膨らんでしまいます。

 長期的な下落局面で逆張りを続ける個人投資家の末路は、多額の含み損を抱えた塩漬け株を大量に抱え、身動きがとれなくなるか、もしくは株価が大きく下がったときにパニックになって投げ売りしてしまうかのどちらかです。

 ですから逆張りは本格的な下落局面では命取りになると思っていてください。

本格的な下落局面でやってはいけないこと(2)値ぼれ買い

 やってはいけないことの二つ目は「値ぼれ買い」です。

 例えば株価1万5,000円の株があり、さすがにその株価では高くて買えない…という状況だとします。

 その後株価が1万円まで下がりました。ここで「株価が3割以上下がった!!」と喜んで買うのが値ぼれ買いです。

 値ぼれ買いの怖いところは、株価が天井を付けた後の下落途中に買ってしまうことにあります。

 実は株価1万5,000円の株というのは、昨年9月にある銘柄がつけていた株価なのです。そしてこの銘柄の株価は、今は3,000円近くにまで下がってしまっています。半年でおよそ5分の1になってしまいました。

 この銘柄は成長株で、業績が毎年順調に伸びていたのですが、最近になり、業績の伸びに陰りが出てきたことが分かりました。

 でも、株価が1万円だったころ、個人投資家はその事実にまだ気付かなかったはずです。だから値ぼれ買いをした個人投資家も数多くいたことでしょう。

 そして今の株価は、1万円の3分の1にまで落ち込んでしまっています。適切なタイミングで損切りをしなかったら、多額の含み損で頭を抱えてしまうレベルです。

 値ぼれ買いは「安い!」と思って株を買う行為ですから、買ってからさらに株価が下がっても「さらに安い!」と思ってしまい、ちょうどよい時の損切り実行ができず、塩漬け株を誘発してしまうリスクが高いのです。

乗り切るポイントは

 これらを踏まえて、筆者が個人投資家の皆さんに対して本格的な下落局面を乗り切るためのポイントとしてお伝えしたいのは次の二つです。

  1. 下げ止まって上昇に転じるまで買わない
  2. 損切りを順守する

 本格的な下落局面で個人投資家が大きな損失を被るのは、株価が下がっている途中に「安くなった」と喜んで逆張りで値ぼれ買いをし、そのまま保有を続けた結果株価がさらに大きく下落して塩漬け株になってしまう、もしくは安値でパニック売りしてしまうからです。

 ですからこの状況を防ぐにはどうすればよいか、という視点から考えていけばよいのです。

 下げている間は売り圧力の方が買い圧力より強いわけですから、そこを逆張りで買い向かうのではなく、下げ止まって反発に転じた初期段階に順張りで買った方が安全です。

 そして、その反発がいわゆる「ダマシ」であり、さらに株価が下がってしまう可能性もありますから、それに備えて損切りのルールをしっかりと設定し、順守することが必要です。

「遠くの戦争は買い」という相場格言がありますが、それが100%当たるわけでもありません。やはり、株価の動きに逆らうのではなく、下落している間は守りに徹し、上昇に転じたら買ってみる、という方が、失敗を避けつつ反転上昇に乗ることができると思います。

 株価下落局面で大ダメージを食らってしまったら、その後の反発上昇局面に乗ることができません。まずは下落局面を小さい傷で乗り切ることを意識するようにしてくださいね。

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