「スーパースクリーナー」&「優待検索」で有望株を選別!

 ウクライナ危機で右往左往している間に、3月29日(火)の株主優待権利付き最終日がすぐそこまで迫ってきました!

 3月優待株は総数784銘柄(※楽天証券株主優待検索より)。

 1年で最も優待株が多い権利確定月のため「いったい、どの銘柄がお買い得なのか?」、詳しく知りたい方も多いはず。

 そこで、楽天証券の「スーパースクリーナー」を使った、とっておきの優待銘柄検索をご紹介します。

 スーパースクリーナーは財務、コンセンサス情報などの数々の指標をもとに、4,200社以上ある上場企業の中から、条件にあった銘柄を探す検索ツールです。

 楽天証券の口座にログインして、上部にある「国内株式」→「スーパースクリーナー」タブを順にクリックすると新規検索画面にアクセスできます。楽天証券に口座開設されていない方でも利用できます。 

 画面左の「詳細検索項目」に、お目当ての優待株を探すための条件を入力します。

 残念ながら、スーパースクリーナーには「優待あり/なし」で銘柄を絞り込む機能はありません。

 少々、手間がかかりますが、検索された銘柄が優待株かどうかは楽天証券の別サイト「株主優待検索」で確かめましょう。

 株主優待検索の条件を「3月」に絞り込み、スーパースクリーナーに出てきた銘柄のコードを検索欄に入力すると、「その銘柄が3月優待株かどうか」教えてくれます。

「詳細検索項目」の選び方次第で有望株の発掘が可能! 

 それでは、まず有望株の候補を、スーパースクリーナーを使って、絞り込んでいきましょう。

 下の画面に表示された指標が、スーパースクリーナーで絞り込み条件に使える「財務指標」、証券会社の複数のアナリストたちの業績予想の平均値「コンセンサス情報」の項目です。

 複数の指標を組み合わせて銘柄を絞り込み、「こんなタイプの優待株を探したい」という自分の要望にあった銘柄を検索していきます。

 といっても「どの条件を選んでいいかわからない」という方が大半のはず。

 そこで、今回は「株価の割安さ」を基準に銘柄を絞り込む1つの手順を紹介します。

 投資の基本は「株を安く買って高く売る」こと。業績自体は堅調にもかかわらず、それに比べて株価が非常に割安な銘柄なら、それ以上、下落するリスクは少なくなります。

 逆にちょっとした業績や投資家の物色動向の変化で、株価が上昇に転じる可能性も高くなります。

PER10倍以下、PBR1倍以下、利益成長0%以上で割安株検索

 株価の割安さを測る“ものさし”として、スーパースクリーナーの条件検索から、次の3つの項目を選んで数値設定しました。

(1)コンセンサス情報の「PER(株価収益率)(予)」が10倍以下
(2)財務の「PBR(株価純資産倍率)」が1倍以下
(3)コンセンサス情報の「過去5年増収比率(予)」が0%以上

 PERやPBRは株価の割安度を測る指標として有名です。

「今期の1株利益予想の何倍まで株価が買われているか」を示した指標が、(1)の「PER(予)」になります。東証1部全銘柄の2022年3月11日現在の平均PER(予)は13.34倍。

 そこで「PER(予)」を10倍以下に設定して、今期の1株利益予想に比べて株価が割安な銘柄を絞り込みました。

「その企業が保有する純資産(その会社自身が持っている財産)に対して、株価が何倍まで買われているか」を示した指標が、(2)の「PBR」です。

 PBRが1倍以下というのは、理論上、会社を解散して純資産を売り払うと、今の株価以上の値段になることを意味します。

「PBR1倍以下」は株価の割安度を測る基準としては非常にポピュラーです。

 上記の(1)PER(予)と(2)PBRで、株価が割安な銘柄を絞り込めます。

 しかし、いかに株価が割安でも、毎年の売上や利益が減少しているような、“ジリ貧”の企業だと、今後もさらに株価が下落してしまうリスクがあります。

 そこで、(3)の「過去5年増収比率(予)が0%以上」という条件も加えました。

「5年増収比率(予)」は、過去4年間+今期で、営業利益が増収となった比率を表しています。つまり、「5年増収比率(予)が0%以上」というのは、ここ5年間の利益が5年前と比べてマイナスに落ち込んでいない企業を選ぶスクリーニング条件になります。

 この条件を加えることで、ここ5年間、利益が右肩下がりで減っているような企業を排除できます。

 スクリーニングで検索された企業の数は全部で196社になりました。

出所:楽天証券スーパースクリーナー(2022年3月11日(金)の終値をもとに作成)

割安優待1位は松田産業(7456)のクオカード優待

 前項の検索結果から3月優待株を抽出。5年増収比率が高く、株価が割安ながら成長性もある企業を優先して選んだものが下の8銘柄になります。

「5年増収比率」という成長性も加味したせいか、ラインナップされた銘柄は、鉄鋼、非鉄金属、機械、化学といった重厚長大産業で地道に業績を伸ばしている大型株中心のラインナップになりました。

 低PER、PBRといっても株価下落のせいではなく、逆に1株利益や純資産が伸びているから割安度が増している。そうポジティブに考えていい銘柄ともいえます。

 実際、株価もじわじわ上昇している有望割安株が数多くヒットしました。

 これぞ、株価検索の優れもの、スーパースクリーナーの威力です!

 1位の日本製鉄(5401)は経営概況説明会への招待、3位のジェイエフイーHLDG(5411)は自社グループ工場見学が優待内容。

「優待」としては少し魅力が乏しいといえるので除外。次の5銘柄を「割安度で見て有望な3月優待株」に選定しました!

 5銘柄の業績、株価、優待内容についてご紹介しましょう。

割安度◎の3月優待有望株はこの5銘柄!

1 松田産業(7456)

PER(予):6.86倍 PBR:0.94倍 過去5年増収比率(予):32.85%

優待内容:100株以上で2,000円分のオリジナル・クオカード(1年以上の継続保有が必要)

 電子機器などから貴金属を回収・再生する非鉄金属企業。レアメタルの価格高騰が続く中、同社の存在感は高まっているものの、株価は2021年後半以降、2,500円台で横ばい推移。

2 ミライトHLDG(1417)

PER(予):8.94倍 PBR:0.88倍 過去5年増収比率(予):24.82%

優待内容:100株以上で1,000円分のクオカード(1年以上の継続保有が必要)

 情報通信インフラのソリューション企業。NTTが主要取引先。5G高速通信網の敷設やコロナ禍のテレワーク需要で業績好調。2022年以降の相場急変でも、株価は右肩上がりを維持。

3 ノリタケカンパニーリミテド(5331)

PER(予):7.11倍 PBR:0.55倍 過去5年増収比率(予):23.88% 

優待内容:100株以上で自社などの食器製品25%割引の株主優待券1枚

 陶器製の食器製造を出発点に研磨剤、工業炉、電子部品向け部材を製造。好調な半導体市況を受け、今後も業績好調。株価はここ3年近く3,000円から5,000円の間で横ばい推移。

4 長瀬産業(8012)

PER(予):8.42倍 PBR:0.66倍 過去5年増収比率(予):18.76%

優待内容:100株以上で株主優待カタログ(主に食品)1,500円相当を贈呈(6カ月以上の継続保有が条件)

 染料や合成樹脂などを扱う化学品専門商社。電子部品や半導体向けの研磨剤、ディスプレイ素材、封止材の販売が旺盛な半導体需要を受けて堅調。株価も底堅く推移している。

5 エクシオグループ(1951)

PER(予):9.76倍 PBR:0.91倍 過去5年増収比率(予):13.86%

優待内容:3月、1,000株以上で1,000円分のクオカード

 ブロードバンド通信網の敷設やオフィスビルの電設工事の他、土木、環境インフラの企画・設計も行う。株価はここ5年以上、2,400円を下値に底堅く推移している。

優待内容が“魅力的”な割安株銘柄ベスト4!

 スーパースクリーナーが教えてくれた5銘柄は、今後ますます需要が高まる通信インフラや産業廃棄物のリサイクルを手がけていたり、半導体や電子部品産業を縁の下で支えていたり、何かのきっかけで株価の上昇も見込める有望割安株ばかりです。

 しかし、どの銘柄も地味な製造業系割安株ということもあって、クオカード優待がメインになりました。

「もう少し優待内容が魅力的な割安優待株はないの?」と思われる方もいるかもしれません。そこで、スクリーニングに合致した銘柄の中で「この優待内容は魅力的!」と思える4銘柄を、“主観”も入れて選んでみました! 

王子HLDG(3861)

PER(予):6.78倍 PBR:0.71倍 過去5年増収比率:11.87%

優待内容:1,000株以上を半年以上継続保有で4,180円相当の自社グループ製品カタログギフト(トイレットペーパー、ティッシュなど) 

 1,000株の投資金額は54万円以上とやや高額になりますが、今後、インフレで値上がりが見込まれるトイレットペーパーなどを4,180円相当ももらえるのはうれしい限り! 製紙業界最大手としての経営安定度や2.5%を超える配当利回りも魅力です。

■NECキャピタルソリューション(8793)

PER(予):6.79倍 PBR:0.46倍 過去5年増収比率:13.61%

優待内容:100株以上で2,000円相当のオンラインカタログギフト​商品(1年以上継続保有で3,000円相当に増額)

 親会社がNECという安定感や優待に継続保有条件がない点が魅力です。株価も2,100円前後で横ばい推移と非常に安定しており、配当利回りも2.93%と高いです。

■ケーズHLDG(8282)

PER(予):8.48倍 PBR:0.91倍 過去5年増収比率:9.56%

優待内容:3月と9月の年2回、100株で各1,000円分の優待券1枚(1年以上継続保有でもう1枚追加)

 ケーズデンキでの家電購入に使えるので利便性抜群。12万円程度の投資金額で年2回もらえるうえに、1年以上の継続保有でさらに1,000円分が年2回追加されるのはうれしい!

 その他、投資金額が約100万円と高くなってしまいますが、

■フマキラー(4998)

PER(予):9.13倍 PBR:0.96倍 過去5年増収比率:4.22%

優待内容:100株以上で1,000円相当の自社製品(殺虫剤など)

 殺虫剤や消毒液がもらえます。使い勝手がいい優待といえるでしょう。同社の株価はここ5年の最安値レベルまで下落しており、今後は業績回復による底入れにも期待できそうです。

 やっぱり優待内容は生活必需品が一番ですね!

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