先月のオリンピックに続いて3月13日に北京パラリンピックも閉幕しました。

 北京市は史上初めて、夏と冬両方のパラリンピックを開催する都市となります。

 オリンピック終了後も人気継続中のマスコット「ビンドゥンドゥン」は、もしかしたらメダリストを上回るくらいの注目を浴びていたのではないかと話題になりました。

 そうした中、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、開会前日の3月3日に国際パラリンピック委員会はロシアとベラルーシの選手出場を認めないと発表しました。

 選手のパフォーマンスだけではなく、選手の安全と安心を確保することを念頭に置く決断でした。一方、ウクライナの選手団は3月2日北京に無事に到着し、ウクライナパラリンピック委員会会長は「パラリンピックに参加できたことは奇跡だ」と喜びを伝えました。

ロシア・ウクライナ紛争を背景に株式市場が荒れている!

<直近3カ月のS&P500指数の推移>

出所:楽天証券ウェブサイトより

 2月の米国株式相場はロシア侵攻によるウクライナ情勢の緊迫化を受け、主要3指数「NYダウ」「NASDAQ100」「S&P500」はともに年初最高値から10%超下落し、「調整相場」入りとなりました。

 一方で、原油や金をはじめとした商品先物相場が大きく上昇しました。米国がロシア産エネルギー輸入を禁止する懸念から、3月7日のNY原油先物の価格は一時130ドル台と約14年ぶりの高値を付け、さらにNY金先物の価格は2,000ドル台に達し、2020年8月につけた史上最高値(2,089.2ドル)に迫る勢いでした。

 米国の経済指標では、3月4日に発表された2月雇用統計において、非農業部門雇用者数が前月比67.8万人増と、市場予想の40.0万人増を上回る強い結果となりました。3月15~16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ幅やその後の利上げペースの見通しが焦点となりそうです。

波乱相場でも米株積立する理由は?

 米国株式は直近4年間、主要3指数が史上最高値を更新し続けながら、年1~2回の頻度で大きな下落を見せる傾向があります。こうした大幅な下落局面で、慌てて保有銘柄を売る行動にでる個人投資家も少なくありません。実際、保有銘柄の株価が急落すれば、誰でも経済や株式市場の先行きに不安を感じ「弱気」に陥るものです。

 さらにリーマンショック以降、ヘッジファンドなどを運用する機関投資家の間ではリスクコントロールの一環として、アルゴリズム取引の存在感が高まっています。

 アルゴリズム取引は、コンピュータプログラムがあらかじめ決められた条件に従い、自動的に売買のタイミングを決めて注文を繰り返す取引のことを指します。その働きは相場の下落スピードを加速し、個人投資家に急落相場の恐怖をもたらしていました。

 個人投資家はどうしても、「機関投資家が持つ情報やコンピュータの処理スピードに勝てるわけがないだろう」と思われがちです。こうした「格差」を埋めるための勝負をしない選択肢のひとつこそが、少額でも投資し続けられる「積立」です。

 指定された日に決められた投資額で株式を購入できる「積立」は、株式相場が何かしらの理由で下落局面にあるケースでは、購入株数が増加する効果(ドルコスト平均法効果)があります。短期的なキャピタルゲインではなく、中長期の資産形成をお考えの方にぜひおすすめです。

2022年2月 個人投資家に人気だった積立銘柄は⁉

2022年2月 米株積立買付金額ランキング

順位 ティッカー 前月順位 銘柄名 関連するテーマ
1 VTI 1 バンガード・トータル・ストック・マーケットETF ETF、米国株式
2 VOO 2 バンガード・S&P 500 ETF ETF、S&P500
3 VYM 3 バンガード 米国高配当株式ETF ETF、高配当株式
4 SPYD 4 SPDRポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF ETF、高配当株式
5 HDV 5 iシェアーズ コア米国高配当株 ETF ETF、高配当株式
6 VT 6 バンガード・トータル・ワールド・ストックETF ETF、全世界株式
7 QQQ 8 インベスコQQQ 信託シリーズ1 ETF、ナスダック100
8 VIG 7 バンガード・米国増配株式ETF ETF、増配株式
9 SPY 9 SPDR S&P 500 ETF ETF、S&P500
10 AAPL 10 アップル スマホ、PC
※楽天証券内買付金額ベース。2022年2月1日~2月28日、国内約定日ベース。

2022年2月 米株積立設定者数ランキング

順位 ティッカー 前月順位 銘柄名 関連するテーマ
1 VTI 1 バンガード・トータル・ストック・マーケットETF ETF、米国株式
2 VYM 2 バンガード 米国高配当株式ETF ETF、高配当株式
3 SPYD 3 SPDRポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF ETF、高配当株式
4 HDV 4 iシェアーズ コア米国高配当株 ETF ETF、高配当株式
5 VOO 5 バンガード・S&P 500 ETF ETF、S&P500
6 VT 6 バンガード・トータル・ワールド・ストックETF ETF、全世界株式
7 VIG 7 バンガード・米国増配株式ETF ETF、増配株式
8 AAPL 9 アップル スマホ、PC
9 QQQ 8 インベスコQQQ 信託シリーズ1 ETF、ナスダック100
10 QYLD 10 グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF ETF、ナスダック100
※楽天証券内設定者数ベース。2022年2月1日~2月28日、国内約定日ベース。

 楽天証券における2月の米株積立銘柄ランキングにおいて、買付金額と設定者数の2部門でトップとなったのはバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)で、その人気ぶりは圧倒的です。

 VTIは米国上場銘柄のほぼ全部をカバーしているETF(上場投資信託)で、セクターや業種選びが苦手の方や、個別銘柄のボラティリティを取りたくない方、分散投資をしたい方、大中小型株をバランスよく投資したい方にはおすすめです。特に相場全体が大きく下落した中で、何を買えばいいのかをお困りの方から人気が集まりました。

 上位10銘柄中にETFが9銘柄を占め、高配当株式やS&P500指数、NASDAQ100指数に連動するETFが目立ちます。

 VTIに続き人気だったのはインカムゲインに特化した高配当銘柄を中心に構成された「高配当株式ETF」です。運用会社各社はそれぞれの選定基準でベンチマーク指数をきめて高配当銘柄をスクリーニングしているので、構成銘柄や組入比率は若干異なります。

 バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)は1番歴史が古く銘柄数最多で、iシェアーズ コア米国高配当株ETF(HDV)は財務健全性を考慮した銘柄配分で、SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF(SPYD)は配当利回りが最も高いと言われています。

 個別銘柄で唯一ランクインしたのは昨年9月にiPhone13を発売し、10-12月期決算が好調だったアップル(AAPL)です。同社は3月8日にスペシャルイベントを開催し、「iPhone SE(第3世代)」(5G通信対応)の発売を発表しました。

 日本国内での発売日は3月18日で、3月11日から予約開始となりました。実は筆者も最近、他機種からiPhoneへの乗り換えを検討しているところです。相変わらず、世界中から期待・注目を集めるアップルですが、こうした誰もが知る企業の株主となれることも、米株投資の醍醐味(だいごみ)と言えるかもしれません。