今週の予想

今週は、2万4,500~2万5,700円のレンジ相場か

 先週は、週始めに2万5,000円を割ったものの、10日(木)に1,000円近い上げ幅で急反発し、11日(金)には、▲527円の2万5,162円と再び大幅安となりました。

 ロシアのウクライナへの侵攻が長引く懸念が強まり、地政学的リスクから物価高が続くとの懸念からFRB(米連邦準備制度理事会)の一段の利上げへの見方が観測されており、株価は引き続き戻り売り圧力が継続することになります。

 今週は、15~16日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、金融引締めへの不安が先行することになりそうです。パウエル議長は、0.25%の利上げ幅を示唆していますが、10日(木)に発表された米2月CPI(消費者物価指数)の上昇率は前年同月比7.9%と40年ぶりの伸びを記録しており、0.25%の利上げで済むかどうか(0.5%の場合も)と疑問視されています。

 そうなると、今週始めはFOMC前にポジションを縮小する動きが広がり、株価は下げ圧力が拡大することになります。一方で0.25%の利上げで済めば、目先は先行して調整していれば、イベント通過の安心感でいったん上昇も想定されます。

 また、今週後半には、16日に発表される2月小売売上高があり、これが好調であれば消費への好影響が期待され相場を支えることも考えられます。日経平均は、米国株式の状況をみながらの動きとなります。

 先週は、想定した下値2万4,500円水準まで下げましたが、ここからは下げ過ぎても2万4,000円の大台が下値のフシとなる可能性が高いと思われます。当面の基本レンジは2万4,500~2万5,700円とみておけばよいでしょう。

 日経平均のチャートは、好転を確認するにはほど遠く、少なくとも25日線(11日時点2万6,558円)の突破が必要です。ただし、1月5日の高値2万9,388円からの日足で2段下げが実現し、2万4,500円水準まで下げ、日柄では昨年9月14日の高値からの6カ月の信用期日を迎え、チャートでは底打ち感が近いという見方もできます。

 ただし、今回はロシアの動き次第で先行き不安は拭えないところがありますが「彼岸底」という経験則を期待したいところです。

今週の指標:日経平均株価

 先週の予測では、ロシアのウクライナ攻撃の不透明さに加え、3月14日に昨年9月14日の3万795円の高値からの信用期日が接近し、11日にメジャーSQ(特別清算指数)もあるためセリングクライマックス的な大きな下げになる可能性があるとし、下値を2万4,500円水準としました。

 結果的に、3月4日(金)から8日(火)までの3日間で1,800円近く暴落したことで、9日(水)は2万4,681円と2万4,500円水準までの下げとなりました。10日(木)は、米国が原油価格の急落を好感して株が買われたことで米株が大幅反発し、これを受けて日経平均も買い戻しを支えに1,000円近い上昇となり、+972円の2万5,690円と大幅反発となりました。

 しかし、翌日11日(金)は、SQ前の買われ過ぎから反落となり、▲527円の2万5,162円で引けました。まだ底打ちの形は見えず、下値模索が続く可能性があります。

 今週は、米国でも15~16日のFOMCを控え金融引締め幅がパウエル議長の示唆していたように0.25%で済むのかどうかとなります。

 ロシアのウクライナ問題が長引く見方から物価上昇も続くとみられ、利上げが強まる可能性が出ています。一方で16日の小売売上高が好調であれば相場にプラスという見方もあります。これらのことから米国株がどう動くのかをみながら日経平均は動くことになります。

 チャートをみてわかりますように3月9日に2万4,681円と2万4,500円水準まで近づきました。基本レンジは2万4,500~2万5,700円とみることができますが、下値は2万4,000円の大台とみることもできます。

 

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 先週の予測では、高値を3月7日(月)の3万3,579ドル、安値を8日(火)の3万2,578ドルとする1,000ドル相場内での動きとなりました。

 7日(月)は、原油高によるスタグフレーション懸念から3万3,579ドルをつけたあと、▲797ドルの3万2,817ドルと今年最大の下げ幅となりました。翌日は3万2,578ドルの安値をつけ、9日(水)は原油価格の大幅下落から株が買われ、+653ドルの3万3,286ドルと反発し、その後、下落となって週末の11日(金)は、▲229ドルの3万2,944ドルで引けました。

 今週は、3月15~16日にFOMCの開催が予定されており、金利の引締めが0.25%となるのか注目。相場環境はロシアがウクライナへの攻撃を緩めておらず、依然として不透明感が強いです。ロシアが化学兵器使用も辞さない可能性を警戒しており、地政学的リスクは依然として高いと思われます。

 ロシアへの経済制裁の影響よりも、アルミニウムなどの原材料の供給が世界的にひっ迫することで、インフレ高進が加速する可能性が高いといえます。0.25%の利上げは、ほぼ織り込んでいるとみられるものの2018年以降初めての利上げであり、利上げサイクルの開始となり、目先は一服しても相場には重しとなってきます。

 

今週の指標:ドル/円

 3月15~16日でFRBの金融正常化に向けた利上げ開始が織り込まれ、ドル買いを誘う展開となりそうです。また、ウクライナ情勢の不透明感が引き続きリスク回避のドル買いの継続となります。0.25%の利上げが予定されていますが、足元では原油を始め資源相場が急騰しており、インフレをさらに抑える姿勢がみえればドル高要因となります。

先週の動き

 先週のドル/円は、ロシアとウクライナを巡る懸念が継続していることで、安全逃避的なドル買いが広がりました。3月15~16日のFOMCで政策金利の引き上げが確実視されていることで、米長期金利が反発し、ドル買いにつながりました。11日(金)には、一時、1.0ドル=117.36円まで上昇し、引け値は117.28円でした。

 

先週の結果

先週は、前半大きく下げたあと反発するも、週末再び一時2万5,000円割れ

 先週の予測では、ロシアのウクライナ攻撃の見通しが不透明な中、昨年の9月14日の高値の信用期日を3月14日に控え、週末の11日(金)には、メジャーSQがあることから、セリングクライマックス的な急落の可能性もあるとしました。

 結果的には、前週末も含めて週の前半で3月4日(金)、7日(月)、8日(火)の3日間で1,800円近い急落となり、8日(火)は2万5,000円を切って2万4,767円まで下げ、終値は▲430円の2万4,790円と1年4カ月ぶりに2万5,000円を割りました。さらに9日(水)は、4日続落となり、2万4,681円まで下げて▲73円の2万4,717円でした。

 11日(金)のメジャーSQ前に、もう一段の下げを想定しましたが、10日(木)は、一時2万5,720円と約1,000円幅の上昇となり、終値は+972円の2万5,690円と終値ベースで1年9カ月ぶりの上げ幅となりました。

 このような1,000円近い上昇をみて、底が入ったと解説する人がいましたが、原油価格の1日だけの暴落に叩き売られていた株が買われ、NYダウが上昇し、日経平均もメジャーSQを前に売り方の思惑が外れた買い戻しが入った結果だといえます。「株は需給」だということを証明する動きでした。

 そのため、先週末の日経平均は、その前の買い戻しによる急騰が調整されて、再び売りが高まりました。そして、後場の早々にはハンセン指数、上海株の下げも重しとなり、一時▲724円の2万4,966円と2万5,000円を割り込みました。その後は下げ渋り▲527円の2万5,162円で引けました。この日の算出の日経先物・オプション3月SQ値は2万5,457円でした。

 週末11日(金)の米国市場は、ロシアとウクライナの停戦合意期待で堅調スタートするものの、ロシアが戦線を拡大していることが分かると、バイデン大統領がロシアの最恵国待遇を取り消す方針を示したことで、主要3指標はそろって続落となりました。

 NYダウは一時+341ドルの3万3,515ドルまで上昇するものの、その後▲229ドルの3万2,944ドルで終わり、5週連続のマイナスとなりました。

 為替は、物価上昇が続きインフレ警戒から、FRBの利上げが想定され、ドル/円は、+1.1%の117.28円と急激なドル高となりました。

 シカゴの日経先物は▲185円の2万4,905円でした。