市場の物忘れの早さには驚かざるを得ない。2008年のリーマンショックは100年に1度の金融危機と言われ株も暴落したが、2009年にはV字型に切り返している。当時の米国が破綻するかのような議論は、現在どこかへいってしまった。
NYダウ(日足)2007年~
米国や英国の危機は棚上げされ、今の旬はユーロ圏の危機である。昨年まではドルが暴落すると言われていたが、今年はユーロで同じ事をいっている。(ユーロが暴落しているので、ドルやポンドは防衛されている)2009年と2010年でギリシャやスペインが抱えている問題(ファンダメンタルズ)に大きな変化があったわけではない。マーケット・テーマが変質しただけだ。ソブリン・リスクを言うならば米国も英国も日本も皆危ない。(これらの国にもまたお鉢が回ってくるだろう)
したがって、相場の実践においては、各国のファンダメンタルズの比較をしてもほとんど意味がない。重要なのはマーケット・テーマとその賞味期限である。現在のユーロ危機相場の賞味期限は、過去の危機(人間のやることは大抵同じである)から推測するしかないが、ユーロ相場の<暴落期間>は過去の通貨危機から考えると、今回も概ね6~8カ月程度となるのではないだろうか?
2010年のユーロ危機相場は現在6カ月目に入っている。1992年のポンド危機は7カ月、1997年のアジア危機は7カ月、1998年のロシア危機は8カ月で暴落相場が終了している。ユーロは寄り合い所帯で加盟国が多いため、過去の危機よりも下げ期間が延長する可能性があるが、それでも暴落相場の最も美味しいところ(賞味期限)は6~8カ月といったところであろう。
2010年ユーロ危機(左)1992年ポンド危機(右)
1997年アジア危機 タイバーツ(左)1998年ロシア危機(右)
筆者はこのような大局観を持ちながらも、相場の「順張り」に関しては21日ボリンジャーバンドの1σ抜けとADXや標準偏差ボラティリティの上昇についていくだけだ。相場で収益を上げるには、ファンダメンタルズより価格そのものの分析が重要だからである。
「標準偏差ボラティリティ」に関する照会が多いので、ここで簡単に説明しておきたい。筆者は相場のもちあい期間とトレンド期間の判定にこの指標を使っている。もちあい期とトレンド期が区別できなければ、順バリも逆バリもやりにくいからだ。
標準偏差ボラティリティの推移と相場のトレンド期間・もちあい期間の判別
標準偏差ボラティリティの計算は、相場の終値のデータがあれば、表計算ソフト「エクセル」のSTDEVPという関数で簡単に計算できる。
エクセルの26日標準偏差ボラティリティ計算シート
ユーロ/ドル(日足)の26日標準偏差ボラティリティ
表計算ソフト「エクセル」のグラフ
筆者のあらゆるトレード手法の基本となっている価格変動(ボラティリティ)の予測にはエクセルが必要となる。筆者は「未来の適当な価格」を、「日足」では10日先まで入力している。筆者はそれで「未来の相場シミュレーション」をおこなっている。これが筆者のトレード手法の最重要部分であるが、なぜ、そのようなことをするのかは、次回のレポートで言及したい。
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