俗名で恐怖指数と呼ばれ、米株価(SP500)の変動率予想値として知られているVIX指数は、2010年4月1日現在17.47まで低下してきた。キャリートレードは金利をとることを目的とする以上、相場変動率の低下が必要条件となる。言い換えれば、円キャリー取引はボラティリティ(相場変動率)が上がらないことが前提条件の取引である。

VIX指数(週足)1年半にわたってボラティリティ(相場変動率)が低下中


(出所:ストックチャートドットコム)

豪ドル/円(週足)14週ATR(赤)の低下と円安相場


(出所:石原順)

豪ドル/円(日足)20日ATR(青)の低下と円安相場


(出所:石原順)

ドル/円(週足)14週ATR(赤)の低下と“レンジ相場”(金利差がないため)


(出所:石原順)

国内に運用対象となる金融商品がすくない日本の投資家には、常に円売りのバイアスがかかっている。世界が出口戦略金利を模索するなか、出口のない日本の円が売られるというのも合理的である。円売りに反対する理由はない。しかし、一つ警鐘を鳴らしておくと、現在はボラティリティ(相場変動率)が下がりすぎである。

最近では、筆者の運用ポートフォリオの半分はオプション取引(ボラティリティの売り)である。リーマンショック後は、現在まで1年半にわたってボラティリティ(相場変動率)が低下している。先月(2010年3月)はいろいろオプションのポジションを組んだが、少ししか儲からなかった。現在、ボラティリティを売っても妙味はない。オプション価格にプレミアムがないからだ。むしろ、この先は大局的に見てボラティリティの上昇に注意が必要な時間帯が到来することになろう。(気味が悪い……)つまり、円キャリー取引もここからは慎重さが要求されると言うことだ。1年半もボラティリティが下がっているので、筆者は現在、ポジションを一部手仕舞い、短期的に現金の比率を上げている。

アウトライト(投機)の取引では通貨であろうと株であろうと、相場が1σの外にあるうちは(どのような時間枠であっても)相場について行くことにしているが、円売りや株買いの相場はやや過熱ゾーンに入ってきており、今後ADXの低下には注意したい。

NYダウ(日足)

上段:ADX(赤)標準偏差ボラティリティ(青)
中段:ストキャスティック(NYダウのダブルループパターンは押し目買いの好機?)
下段:26日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順)

日経平均株価(日足)

上段:ADX(赤)標準偏差ボラティリティ(青)
下段:26日ボリンジャーバンド1σ(緑)18日移動平均5%乖離(赤)


(出所:石原順)

ドル/円(日足) 円売り相場

上段:MACDのシグナル
中段:21日ボリンジャーバンド1σ
下段:ADX(赤)標準偏差ボラティリティ(青)


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足) 4月2日現在、方向性は出ていない

上段:MACDのシグナル
中段:21日ボリンジャーバンド1σ
下段:ADX(赤)標準偏差ボラティリティ(青)


(出所:石原順)

ドル/円(週足)一目均衡表の雲=抵抗帯


(出所:石原順)

さて、本日はこれから米雇用統計の発表がある。市場の予想レンジが広すぎて、どんな反応をするのかわからない。イースター休暇の薄商いの中、今回の米雇用統計は丁半博打的な感じである。

過去2回の国政調査時の臨時職員


(出所:米労働省)