ウクライナへのロシア侵攻が現実のものに

 日本時間で2月24日の昼ごろ、「ロシアがウクライナへ侵攻」というニュースが流れ、日本株は大きく売り込まれました。日経平均株価は1月下旬の安値を割り込み、一時2万5,775円64銭まで下落しました。

 専門家の間では、実際にロシアが攻め込むことはないだろう、という声が多かったので、筆者自身もこのニュースが流れた時は少し驚きました。当日、ロシア株が50%超の急落となったことからも、多くの投資家は実際にロシアがウクライナへ侵攻することまでは想定していなかったのではないかと思われます。

心配しても何も変わらない

 さて、もともとロシアとウクライナとの問題は、株式市場でも懸念材料とされていて、すでに日米の株価は下げ続けていました。

 そこに、多くの投資家が想定していなかった「実際の侵攻」が起きたわけですから、これからどうなるのか? と心配でたまらない個人投資家の方も多いようです。実際、筆者の元にも「これからどうなるのですか?」とか「どうすればよいでしょうか?」といった個人投資家からの声が届いています。

 でも、残念ながら私たち個人投資家がいくら株価の先行きを心配しても、事態は何も変わりません。何も変わらないのであれば、心配するだけ時間の無駄ですし、余計に神経をすり減らすだけで、良いことは何もありません。

 ですから、心配する暇があるのであれば、ご自身が具体的にどのように行動するかを決めておくべきです。あとはそれに従って淡々と実行するのみです。

ニュースを見て株価の先行きを判断してはならない

 当然ながら、テレビや新聞、雑誌、ネットなどあらゆる媒体で、ロシアのウクライナ侵攻に関するニュースが数多く報じられています。また、専門家だけでなく、インフルエンサーと呼ばれる影響力のある人たちが、さまざまな持論を展開しています。

 しかし、私たち個人投資家は、これらのニュースを見るのは構いませんが、それを見て株価の先行きを判断してはならないのです。

 なぜなら、ニュースというのは、例えばロシアのウクライナ侵攻の内容であれば、数ある事実のうち、情報を提供する側が選択しているものであり、事実の全てを網羅しているわけではありません。

 さらには、専門家やインフルエンサーの持論は、完全に予想の領域です。予想というものは当たらない可能性があり、当たらない予想を信じて行動すると大きなダメージを生じる恐れがある、というのは筆者が何度も皆さんにお伝えしていることです。

 現に、実際にはロシアは侵攻しないだろう、という専門家の予想は外れていますし、ロシア株が一瞬にして50%以上下落したことからも、ロシアが侵攻するということを大部分の人は予想できなかった、でもそれが現実として生じているのです。

筆者が常によりどころとしているものとは?

 筆者は株式投資をすでに24年ほど実践していますので、今回の件を含め、マーケットに悪材料が出現して、株価が大きく変動する可能性が高いという状況は、いやというほど経験してきました。そんなときに、筆者が常によりどころとしているものは、ニュースでも、専門家やインフエンサーの予想でもなく、「株価」なのです。

 皆さんも、今まで経験ありませんか? 悪材料がニュースで流され、「さすがに株価急落は避けられないだろう」と思っていたら、意外と株価は下がらず拍子抜けした、ということが。もちろん、逆も然りです。

 例えば週末に、株価に悪材料となると思われるニュースが流され、それをみて「さすがに週明けの株価は大きく下げるだろう」と感じることもあるでしょう。

 でもこれは、単に自分が「週明けは大きく下がるだろう」と予想しているだけです。自分以外の投資家が、それほどそのニュースを悪材料と感じていなければ、株価はそんなに下がらないのです。

 株価というのは、全ての投資家の行動の結果です。であるならば、自分が「株価が大きく下がる」と心配していたとしても、実際そうならなかったのであれば、その事実を踏まえて行動をしていく必要があるのです。

 もし大して株価が下がらなかったならば、持ち株を売る必要はないわけです。それなのに、自分だけ持ち株を売却し、その後株価が急反発でもしたら、目も当てられません。

 だから筆者は、25日移動平均線を割ったら下降トレンドに転じる可能性が高まるので保有株は売却するが、割らないならば売却する必要がないので保有を続ける、というルールを設定し、淡々とそれに従って行動しているのです。そこには「将来の株価の予想」という要素はありません。

それでも不安ならどうすればよいか?

 このように、今回のウクライナ問題に限らず、将来何が起こるか、そしてそれにより株価がどう動くかを正確に予想することはできない、という事実をまずは理解することが重要です。

 であれば、例えば週末に何かネガティブなニュースが流れても、深く悩んだり、ネットで情報収集する手間も省けるのです。

 何せ、ネットで収集した情報の全ては「将来に関する予想」ですから、それを信じる方がよほど大きな損失を被ってしまう恐れが高まります。

 将来は予想できないし、「なるようにしかならない」のですから、事が生じる前にあれこれ考えても時間の無駄なのです。

 ですから、もし持ち株があったとして、やるべきことがあるとすれば、「株価がどこまで下がったら売却するか」を客観的なルールを持って事前に決めておく、ということに尽きます。

 でも、「週明けの株価が心配で夜も眠れない…」という方もいることでしょう。なぜ眠れないほど心配しているかと言えば、「大きな損失を被ってしまうかもしれない」という気持ちが強いからです。

 つまり、心配で夜も眠れないという人は、一言でいえば株を持ちすぎているのです。

 ですから、株価が大きく値下がりしたとしてもパニックにならない程度の分量に、株の保有をとどめておくことが重要です。これに加え、適切な損切りルールを設定し、守るようにすれば、実際に致命傷となるほどの損失を被ることは避けられるはずです。

 確かに、株価が大きく下落した後の反発局面などでは「いよいよ底打ちか!」とつい強気になってしまいがちです。そんな時、少し冷静になって「底打ちでない可能性もある」と考え、無理な勝負をせずに、そこそこのポジションにとどめておくというのが、精神安定上は重要です。

 精神安定ができていないと、安値でパニック売りをしてしまいかねません。夜も眠れないほど心配なら、まずはポジションを小さくすることをお勧めします。

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