インフラ建設の加速や不動産投資の回復見通しが追い風、中国建材を有望視
中国の2022年のセメント需要について、BOCIは前年比横ばいを見込んでいる。また、石炭調達価格の高止まりや電気料金の上昇で、トン当たり粗利益は小幅の改善にとどまるとの見方。一部メーカーはCO2(二酸化炭素)排出削減に向けてクリーンエネルギー投資を計画しているが、この件による短期的な貢献もさほど期待できないとしている。それでも、BOCIはインフラ建設の加速に伴う需要増を見込み、セメント価格がまもなく、現在の下落局面を抜け出すと予想。セクター全体に対する強気見通しを継続した。個別ではセメント世界最大手、中国建材(03323)をトップピック銘柄としている。
BOCIは2022年の不動産開発投資とインフラ建設投資について、それぞれ前年比2%減、3%増を想定し、年間のセメント需要がほぼ前年並みとみている。ただ、2021年には地方特別債(インフラ投資向けの資金調達)の起債額の72%が下期に集中したことや、2022年年初から2月10日までに前年の15%に当たる特別債が発行されたことに言及。インフラプロジェクトが相次ぎ始動し、セメント需要を押し上げるとみる。
一方、不動産投資に関してはこのほど、政府当局がデベロッパーに対し、予約分譲収入の活用規定を緩和するとの情報が伝わった。仮にこれが実現すれば、セメント・セクターに対する投資心理も上向く見込み。ただ、デベロッパーが実際に開発投資の拡大に動くまでには、ある程度時間がかかる可能性がある。
2022年には北部、東北部、北西部を中心とする多くの地域で、セメント平均価格が上向く見込み。ただ、BOCIはトン当たり粗利益の目立った改善には期待できないとしている。石炭の年間平均価格が前年比わずか4%の低下にとどまるとの見通しが一因。また、当局の規制緩和を受け、2022年には電力集約型産業を中心に、平均電気料金が前年比20%上昇するとみられることが理由という。
大手の安徽コンチセメント(00914)と中国建材について、BOCIは2021-2023年の利益見通しを各1%ほど小幅に調整。華潤セメント(01313)に関しては3-15%の幅で減額修正した。販売量と利幅に関する想定値の引き下げや、市場開拓が遅れているプレハブ建材事業の収益寄与を利益モデルから除外したことが理由。これまでの好業績を受け、華潤セメント株の2022年予想PER(株価収益率)が主要セメント銘柄で最も高い水準に達したこともあり、同社株に対する見方を強気から中立にダウングレードした。
BOCIがトップピック銘柄としたのは中国建材。セメント価格の上昇率が特に高い地域を主力とすることから、2022年のトン当たり粗利益が最も大きく改善するとみる。また、クリーンエネルギー化の推進が同社の新素材の需要押し上げに寄与すると予想。エネルギーの高効率化の流れにより、エンジニアリングサービスの需要増にも期待できるとしている。
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