※この記事は2021年09月03日に公開したものを、2022年度の最新情報にアップデートして再公開しております。
REITに投資したことはありますか?
皆さんは、証券会社で不動産を買えることをご存じですか。
不動産業の「株」であれば、もちろん買うことができますが、不動産(正確には不動産に投資する投資信託)への投資もできるのです。それが「REIT(リート:不動産投資信託)」という投資商品です。
REITとは、株式市場に上場している不動産の投資信託のことで、4桁の証券コードもしっかりと付与されています。
そして、実質は不動産への投資でありながら、上場企業と同じように、証券取引所が開いている時間であれば、いつでも自由に買ったり売ったりできるのです。
今回は、証券取引所に上場しているけれど、「株」ではなく「不動産」の性質を持つ、REITの税金の基礎知識をお伝えしていきたいと思います。
REITから受け取る分配金収入は「◯◯所得」
REITの仕組みは、広く投資家から集めた資金で不動産へ投資し、主にその不動産からの賃料収入を投資家に分配するというものです。
REITを保有している投資家は、分配金を受け取ることができます。
では、この分配金収入は、どの種類の所得になるのでしょうか。
個人で所有している不動産を賃貸し、得られる賃料収入は「不動産所得」になりますが、REITも同様に不動産所得になるかといえば、そうではありません。正解は「配当所得」です。
基本的な税制の扱いは上場株式などと同じ
不動産の賃料収入が原資でありながら、実態は投資信託なので、株式を投資対象とする投資信託などと同様、分配金は配当所得になります。
そのため、分配金を受け取る際には、分配金の20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収され、残額を受け取ることになります。
そして、上場株式や投資信託などと同様、確定申告することで源泉徴収された税額の一部、もしくは全部が戻ってくるような場合は、総合課税の配当所得として確定申告することもできます。
また、上場株式などの売却損や、過去から繰り越してきた損失と損益通算したいときは、申告分離課税の配当所得として確定申告することも可能です。
REITを売却して利益が出た場合は、こちらも上場株式と同様、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税率で譲渡所得として課税されます。
損失が生じた場合は、上場株式などの売却益や、配当金・分配金と相殺することができますし、相殺しても残った損失については、確定申告することで3年間の繰り越しが可能です。
以上は、上場株式や投資信託の税制の取り扱いと基本的に同じです。
注意して!REITは「配当控除」が適用されない
ただし、上場株式や投資信託と大きく異なる点があります。それが、REITの分配金を確定申告し、総合課税の配当所得とした場合、「配当控除」が適用されないということです。
上場している日本株の配当金や、日本国内の株式を投資対象としている投資信託の分配金については、総合課税の配当所得として確定申告した場合に配当控除が適用されます。
配当控除の額は、課税総所得金額が1,000万円以下の場合、所得税10%、住民税2.8%です。
通常、上場株の配当金や投資信託の分配金を確定申告した方が有利かどうかのシミュレーションは、配当控除が適用されるという前提で行われていることが多いのです。
しかし、REITの分配金については配当控除が適用されないので、配当控除による税額軽減効果を外した上でシミュレーションしないと、確定申告の有利・不利の判定ができなくなってしまいます。この点は十分に注意してください。
上記をまとめると以下のとおりです。
分配金の課税
上場株式などと同様に配当所得、20.315%の源泉徴収。ただし総合課税で確定申告したときの配当控除の適用はない
売却益の課税
上場株式などと同様、20.315%の税率による譲渡所得課税
損益通算
上場株式などと同様、売却損と売却益・配当金・分配金を損益通算でき、損失の残額があれば確定申告により3年間繰り越し可
他の投資商品と異なる税金の留意点を踏まえて、REIT選びをすることが大事です。
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