今週の予想

日経平均は、先週末のNYダウの下げをみて2万6,800~2万7,600円のレンジを想定

 先週は、目先の上値のフシと思われていた2万7,500円台をアッサリと突破し、10日(木)には、一時2万7,880円まで上昇し、終値は+116円の2万7,696円となり、9日時点の25日移動平均線を今年初めて奪回しました。

 これは、強い米株高にサポートされた面があります。インフレの高まりが続く中での米株の上昇ですが、このまま上昇が続くかどうか金利動向を見極める必要があります。

 日経平均が2万7,880円をつけた10日(木)の米国市場は、1月消費者物価指数が市場予想を上回り、金利上昇、利上げペースの加速懸念で、インフレ高進を嫌気しNYダウは▲526ドルの3万5,241ドルと4日ぶりの大幅下落となりました。

 NYダウは底離れの動きがみられるという見方もありますが、FRB(米連邦準備制度理事会)によるコロナショック後のQE(量的緩和)は膨大だっただけに、その逆のQT(量的緩和引締め)も空前の規模となることが想定され、今後の株式市場が危機を脱したとは言い切れないと考えるべきでしょう。昨年のように買い上がる勢いが継続するかどうかは不透明といえます。

 先週の日経平均は、1月27日の2万6,044円からの戻り歩調の中で、2月9日の2万7,633円の高値からの半値戻し2万7,716円を上回る2万7,880円を10日(木)につけました。

 2万8,000円に近づいたことで、正念場となってきていましたが、NYダウが75日移動平均線(3万5,627ドル)を9日に突破して3万5,824ドルまで上昇したところが目先のピークとなり、2日間で1,000ドルを超す急落となりました。

 楽しみにしていた、今週の2万8,000円を試す動きどころか、シカゴの日経先物は2万7,000円を割っている状況でした。再度、2万6,800~2万7,600円ぐらいのレンジの中の動きとなりそうです。

 米国では、インフレ懸念が強まっており、人件費や原油が高騰し、長期金利が1.97%と2年2カ月ぶりの水準に上昇していることに、ロシアのウクライナ侵攻懸念が高まったことで、NYダウが急落となり、今週の日本市場は米国やウクライナ問題をみながらの動きとなりそうです。

 ただし、金融引締めに対する織り込みは、かなり進んだと考えられます。ロシアもウクライナへの侵攻計画は、繰り返し否定しており、これから先一段と事態を深刻化させるような報道が伝わらない限り、株価の下落は週前半で一巡するとの見方が多いようです。

今週の指標:日経平均株価

 先週は、上限を2万8,000円とする広いレンジでの上下動としました。

 結果的には、2万7,000~2万8,000円のレンジの中での動きとなり、営業日は11日(金)が休場のため4日間でしたが、7日(月)の2万7,085円を安値に10日(木)の2万7,880円を高値とする中での上下動でした。

 2万7,500円水準を超えるのは、目先、時間がかかると思われていましたが、2月9日(水)に前日のNYダウが+371ドルと大幅上昇となったことで、一時+348円の2万7,633円まで上昇し、終値は+295円の2万7,579円となり、10日(木)は、前日のNYダウが+305ドルの3万5,768ドルと堅調だったことで+300円の2万7,880円まで上昇し、終値は+116円の2万7,696円と3日続伸で引けました。

 今週は、先週末のNYダウが10日(木)と11日(金)に、2日連続の500ドルを超す下げとなり、シカゴの日経先物は▲770円の2万6,930円となっていることで、週始めの2万7,000円水準を守って反発できるか注目するところです。

 また、この下落の要因となっているFRBによる金融政策やロシアのウクライナ侵攻への懸念が日本市場にどう影響するかも気になるところです。先週10日(木)に2万7,880円まで反発しましたが、目先は再び2万7,500円台から上値が重くなる可能性があります。当面のレンジは2万6,800~2万7,600円とします。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 先週の予測では、3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ観測が高まっており、ドルが買われやすい状況にあり、NYダウは高値圏での底堅い動きを想定しました。ただ、FRBの金融引締めの程度によっては急落の局面も考えられるとしました。

 結果的に、NYダウの動きは2月7日(月)は+1.0ドルの3万5,091ドル、8日(火)は+371ドルの3万5,462ドル、9日(水)は、+305ドルの3万5,768ドルと3日続伸するも、10日(木)は、1月消費者信頼感指数が市場予想を上回ったことで、利上げペースの加速懸念が出て、▲526ドルの3万5,241ドルと急落となりました。

 さらに11日(金)は、FRBによる利上げ加速やウクライナ情勢への懸念が強まり、NYダウは▲503ドルの3万4,738ドルと2日連続の500ドル超えの下げとなりました。

 先週末は、木・金と2日続けて500ドルを超す下げとなりました。米国では、インフレ懸念が高まっており、人件費や原油の高騰、そして2年2カ月ぶりの長期金利の1.97%を受けて、2日間で1,000ドルを超す下げとなりました。

 こうした状況を織り込みながら、NYダウがなお戻り歩調を鮮明にするのか、これが目先のポイントとなりそうです。

今週の指標:ドル/円

 先週末は、ロシアのウクライナ侵攻リスクからドルが115円水準まで売られましたが、いったん落ち着けばドルの買い戻しで116円台まで戻ることになりそうです。

先週の動き

 週前半までは、ドルが強含み、115.00~115.60円のもみあいが続きました。2月10日(木)になると、1月消費者物価指数が市場予想を上回る強い伸びとなったことで金利が上昇し、利上げペースの加速懸念もあって、ドルも急騰し、一時116.34円まで買われ、116.02円で引けました。

 さらに2月11日(金)は、朝方はドルが買われ、NYダウは高かったものの、ロシアがウクライナに侵攻する可能性があるとしてNYダウは急落。ドルも売られリスク回避の円買いとなって、116.18円から115.04円までドルが下げました。引けでは115.45円でした。

先週の結果

先週は、10日(木)までの4営業日でしたが、8日(火)から3日続伸となり、2万7,880円まで上昇しました

 先週の予測では、戻りが続けば2万8,000円水準にどこまで近づけるかとしました。チャートからみると1月27日に2万6,044円まで急落して、いったん底打ちし、2月2日には2万7,564円まで戻しました。

 この戻りは、1月5日の高値2万9,388円から1月27日の2万6,044円までの下げ幅3,344円に対する38%戻し(2万7,314円)以上の達成となっています。そのため相場が順調な動きをすれば、次は半値戻しの2万7,716円を試すことになり、さらに三角保ち合いの中で下限だった2万8,000円水準を試しにいくとしました。

 先週は週末の11日(金)が建国記念の日で休場で営業日は4日間でしたが、週始め7日(月)の安値2万7,085円以降は、米国株式の堅調な戻りを受けて、日経平均も連動する動きとなりました。

 8日(火)は、前日のNYダウは+1ドルの3万5,091ドル、ナスダック、S&Pは反落とさえなかったものの、米株先物高と円安を受けて買い先行で始まり、一時+212円の2万7,461円まで上昇するものの、その後は上値重く、伸び悩み終値は+35円の2万7,284円でした。

 9日(水)は、前日の米国市場では、長期金利の上昇を好感し、金融株が上昇し、つれてハイテク株も上昇したことで、NYダウは+371ドルの3万5,462ドル、ナスダックは+178Pの1万4,194P、S&Pは+37Pの4,521Pと3指標そろって上昇となったことで、日経平均も+204円の2万7,488円で寄り付き、後場には一時+348円の2万7,633円まで上昇しました。

 1月24日以来の高値水準をつけましたが、終値では+295円の2万7,579円と大幅続伸となりました。

 10日(木)は、前日の米国市場では、NY州で室内でのマスク着用義務化の撤廃や英国ではコロナ規制の全廃を計画するなど、これからの世界経済の回復への期待を高め、米株3指標は、NYダウ+305ドルの3万5,768ドルと2日連続で3指標上昇となり、これを受けて日経平均は+238円の2万7,818円で寄り付き、一時+300円の2万7,880円まで戻しました。

 その後、2万7,575円まで上昇幅を縮めましたが、後場には多少戻る動きとなり、+116円の2万7,696円で引けました。

 日米ともに長期金利の上昇基調の中での上昇ですので、金利上昇への抵抗力がついてきているとの見方が出ています。

 10日(木)の米国市場は、注目の1月消費者物価指数が市場予想を上回る強い伸びとなったことで、金利が上昇し利上げペースの加速懸念が強まり、NYダウは▲526ドルの3万5,241ドル、ナスダックは▲304Pの1万4,185P、S&Pは▲83Pの4,504Pと3指標とも大幅反落となりました。為替は1ドル=116.02円、シカゴCMEは▲315円の2万7,385円となりました。

 11日(金)の米国市場では、NYダウが前日に続き、▲503ドルの3万4,738ドルと500ドルを超す下げとなりました。FRBによる利上げ加速やウクライナ情勢への懸念が強まったことによります。

 ナスダックも▲394Pの1万3,791P、S&Pも▲85Pの4,418Pの大幅下落となりました。NY為替は、FRB高官が大幅利上げには賛同しないとの考えを示したことで、ドル買いが後退し、一方でロシアによるウクライナ侵攻を警戒し、リスク回避の円買いが活発となり、ドル/円は115.97円から115.02円まで下落し、115.32円で引けました。

 シカゴの日経先物は▲770円の2万6,930円となっていました。