今週の予想

日経平均は、戻りが続くが上値が重くなると予想

 先週は、米国株式中心に世界の株式市場が反発を強めたことで、日経平均もいったん急落から大きく戻しましたが、2万7,500円水準でアタマを抑えられる形となりました。

 NYダウは、1月24日の安値3万3,150ドルを起点に明確に底上げしています。3日(木)の▲518ドルの大きな下げは、メタ(元フェイスブック)の影響や英中央銀行の追加利上げ、ECB(欧州中央銀行)のタカ派へシフトといった悪材料が重なった結果で、一時的なものとの見方が多いようです。

 3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)までは、FRB(米連邦準備制度理事会)による積極的な利上げ観測がされており、どの程度の積極さか分からないところもあり突然の大きな下げの可能性があります。

 昨年来高値から直近の安値までの下落率は、NYダウ10%、日経平均15%ですが、ナスダックは19%となっており、この程度で調整を全て織り込んだかどうかは分かりません。

 日経平均の動きは、まずは米国のFRBの金利引き上げと、株式の動きをみることになりますが、もう1つの問題は、国内のオミクロン株の感染拡大で、今のところピークがみえません。海外ではコロナを必要以上に脅威と捉えない方向に動いていますので、日本でもどこかの時点で脱コロナへの流れが出てくると株式市場にはプラスとなります。

 今年始めの予測では、1月後半に日経平均が下げても節分天井に向かって上昇してくるとしました。しかし、今回の1月のようにいったん底をぬけた下げ方は、戻り売りが上にたまり、今年は新値をとるような上昇にはならない可能性もあります。

 チャートからみると、1月27日に2万6,044円まで急落し、ここでコツンと目先の底打ちとなり、2月2日には2万7,564円まで戻し、1月5日の高値2万9,388円からの下げ幅3,344円に対する38%戻し(2万7,314円)を達成しています。

 相場が順調な動きをすれば、次は半値戻しの2万7,716円、そして三角保ち合いの中の下限だった2万8,000円水準へと戻していくことになります。しかし、急落という上昇基調を崩したあとだけに、この2万8,000円水準までは戻りが続くことになります。

今週の指標:日経平均株価

 先週の予測では、米株式の反発に合わせて日経平均も反発するが、いったん大きく下げたことで戻り売りが多く、以前のように一方的に戻してはいかないとしました。

 1月27日の2万6,044円の安値から2月2日の2万7,564円まで上昇し、その後は上値重く2万7,000~2万7,500円のレンジでのもみあいとなりました。チャートの形からの戻りは三角保ち合いの中の下限である2万8,000円水準が1つの大きなフシに当たります。

 今週は、2万6,500~2万8,000円のやや広いレンジの中で大きな上下動の可能性があります。それは、FRBによる積極的な利上げスタンスが、明確になっているにもかかわらず、上限がハッキリしていないことにあります。

 FRBによる年内4~5回の利上げ、金融の量的引き締めが意識されることに加え、欧州の利上げシフトへの方向が鮮明になってきているため、日本は当面は、振り回されることになります。足元での上昇の反動や戻り売りの圧力で2万7,500円を超えてくると上値が重くなると考えられます。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 前週は早期利上げ観測を受けて、1月24日(月)に3万3,150ドルまで下げ、大きな上下動を繰り返して戻りを試し、先週は2月2日(水)に+224ドルの3万5,629ドルまで4日続伸となりました。

 しかし、2月3日(木)はメタの急落を受けて▲518ドルの3万5,111ドルとなり、週末は1月雇用統計の好調な結果が、インフレ高進からFRBの積極的利上げ観測が広がり、▲21ドルの3万5,089ドルと2日続落で引けました。

 今週の予測では、大規模な金融緩和や財政刺激策が縮小されるにあたり、また、各国の主要中央銀行が金融引き締めに転じる中、債券から株式相場への投資資金の流入は引き続き相場を後押ししそうです。

 FRBがインフレ指標として注目している指標のひとつに、CPI(消費者物価指数)コア指数がありますが、1月分は前年比5.9%増と、12月からさらに拡大し、1982年10月以降40年ぶりの伸びを記録する見通しとなり、物価目標2.0%を大幅に上回りました。

 原油価格も92ドル台と7年ぶりの高値圏で推移して、サプライチェーン混乱の長期化に加えてロシアのウクライナ情勢の緊迫化で、エネルギー価格も当面は高値で推移すると見られ、インフレ高進は簡単には収まりそうにもありません。

 FRBは12月のFOMCですでにタカ派に転換しており、3月にテーパリングを終了したのち速やかに利上げに踏み切るとみられています。

 そのような状況で、株式相場も徐々に緩やかに金融引き締めを織り込みながら、しばらくは上下動を繰り返す動きとなりそうです。

今週の指標:ドル/円

 先週末は、1月雇用統計の改善を受けて利上げ観測が強まり、115.42円まで上昇しました。雇用統計は市場予想を上回り、過去2カ月分も大幅に上方修正されたほか、平均賃金も予想を上回ったことで、3月のFOMCで利上げ観測が高まりました。

 年内の利上げ観測も一段と強まったことで、金利上昇に伴うドル買いは強含み、底堅く115円水準でのもみあいが続くかもしれません。

先週の動き

 週始めは、前週のFRBによる強い利上げ発言を受けて、ドルが買われ1月31日(月)には、1ドル=115.59円まで上昇しました。

 その後は、ドル買いは落ち着き、3日(木)までは、114~115円の間のもみあいとなっていました。

 しかし、4日(金)は、1月雇用統計が堅調だったことで、インフレ高進の警戒から再び利上げ警戒感が出て長期金利が上昇し、ドルは115.42円まで買われ、引け値は115.22円でした。

先週の結果

先週は、週始めは一気に2万7,000円まで戻すが、その後は上値重く、2万7,000~2万7,500円のレンジ

 先週の予測では、日経平均は米株の反発に応じて戻りを試すが、上値は限定的としました。

 米国株式は、FRBのFOMCでの金融引き締めの発表を受けて、目先、材料出尽くし感から反発する可能性が高いものの、FRBの金融引き締めのイメージがハッキリしない以上、3月の利上げ開始までは、急落の局面も頭に入れておく必要があるとしました。

 日経平均については、米株式の状況をみながら、戻りに入っていくものと思われ、ただ、大きな下げをしているので、自律反発で戻してもすぐに戻り売りになると想定されました。

 NYダウは、想定通り、前週末の1月28日(金)に+564ドルの3万4,725ドルから2月2日(水)の+224ドルの3万5,629ドルまで4日連騰となり、好調な上昇となっていましたが、3日(木)は▲518ドルの3万5,111ドルと急落しました。

 日経平均は、NYダウと同じく1月28日(金)から反発に向かい大きな上下動を繰り返すものの、終値では4日続伸となって、2月2日は+455円の2万7,533円となりました。日経平均は戻しても当面は2万8,000円を目指し、目先は2万8,700円水準としていましたが、この日の高値2万7,564円をピークに2万7,000~2万7,500円の中でのもみあいとなりました。

 3日(木)は、前日の米国株式が3指標とも高かったものの、▲367円の2万7,165円まで下げて、終値は▲292円の2万7,241円となり、逆に4日(金)は、前日の米国株式がメタの予想を大幅に下回る▲26%の急落の結果を受けて、ナスダックの足を引っ張り▲538Pの1万3,878P(▲3.74%)となり、NYダウも▲518ドルの3万5,111ドルと急落しました。

 4日(金)の日経平均は、前場は売り先行で▲165円の2万7,075円まで下げるものの、2万7,000円が目先の下値のフシとなって、もみあいに入り2万7,000~2万7,500円のレンジの動きとなり、この中で+198円の2万7,439円が週の終値となりました。

 先週は想定通り、米株式は大きく戻したあと急落し、日経平均は2021年8月20日の2万6,954円を切って1月27日(木)に2万6,044円まで下げ、1月31日(月)に2万7,000円を回復するものの、その後は戻り売りが強く、2万7,000~2万7,500円のレンジ内の値動きとなりました。

 週末4日(金)の米国市場は、好調な決算が好感され、アマゾン・ドットコムの急伸を受けてハイテク株が上昇、さらに強い1月雇用統計を受けて長期金利が上昇し、金融株が軒並み高くなりました。

 しかし、NYダウは雇用統計の堅調な結果を受けて、インフレ高進への警戒感が広がり、長期金利の上昇でFRBの積極的な金融引き締め観測が広がったことで、NYダウは▲312ドルまで下落後、3万5,333ドルまで反発したものの、取引終盤に失速し、▲21ドルの3万5,089ドルと2日続落となりました。

 為替はドルが買われ、1ドル=115.22円となり、シカゴ日経先物は▲120円の2万7,290円でした。