厳しい下げに見舞われた日本株
多くの個人投資家にとって、2022年1月は非常に厳しい月になったのではないでしょうか。
もともと2021年初冬から成長株が売り込まれるなか、年初は割安株や景気敏感株に資金が集まり、活況を呈しました。
ところがその後は割安株や景気敏感株の多くも大きく売られ、銀行株や商社株など、ごく一部の銘柄を除き全面安となってしまいました。
特にマザーズに上場している中小型成長株の下げはきつく、あっという間に株価が2分の1、3分の1にまで下がってしまうものも目立っています。
このような状況では、株を保有していれば多かれ少なかれ損失を被ったはずです。筆者も年初に割安株や景気敏感株を大量に買ったことが裏目に出たこともあり、さすがに1月はそこそこの損失となりました。
でも筆者は足元の下げを特段恐れてはいません。それはもしここからさらに大きく下げたとしても同じです。それはなぜだと思いますか?
下げ相場で大きくダメージを受ける個人投資家の共通点
今回のように、下げ相場で大きくダメージを受けてしまう個人投資家には、2つの共通点があります。
(1)株価が下がっても損切りせず持ち続けてしまう
(2)1つ目とも関連してくるのですが、「株価が下がると喜んで買ってしまう」
これを読んで、「え? 株価が下がったなら安く買えるのだから、問題ないでしょう?」と思われた方がいたら、それは危険な考え方であることをぜひ理解してください。
銘柄はあえて伏せますが、高値から株価が6分の1にまで下落した銘柄があります。仮に高値が1万5,000円としましょう。なお、業績は毎年増収増益が続いている成長株です。
もし1万5,000円だった株が1万円にまで値下がりしたら、どう思いますか?「さすがに1万5,000円だと高いけど、1万円に下がったなら買ってみよう」と思う方も少なくないと思います。実際に1万円で買う人もいるでしょう。
でも株価はそこから7,000円に下がりました。業績は引き続き好調で、株価だけ下がっています。
もし1万円で安いと思って買った人は、7,000円になったらもっと安くなっているのですから、売る理由がありません。逆に7,000円でナンピン買いする人もいるのではないでしょうか。
ところが株価は下げ止まらず、2,500円まで下落してしまいました。1万円で買った人や7,000円で買った人は、多額の含み損にどうすることもできず、頭を抱えている…、これが足元で実際に起きていることです。
株価が下がったらどう感じるか?
実は筆者はこのような状況に陥ることはありません。根本的に買い時のとらえ方が異なるからです。
多くの個人投資家の方は「株価が下がった→割安になったから買おう」と思っているからこそ、今回のような失敗をしてしまうわけです。
筆者は「株価が下がった→大口の投資家が売っているから上げに転じるまで手を出すのはやめよう」と考えます。
株価というのは、もちろん業績に連動して動くわけですが、究極的には買いたい投資家と売りたい投資家の力関係で決まります。
ですから、株価が下がっているということは、確かに割安かもしれないですが、売りたい投資家がたくさんいる状態だから、それが収まって上げに転じるまでは、安易に手を出すべきではない、と筆者は考えています。
その結果、今回のように株価が大きく下げるときには、その株を持たずにいるので大きな損失を回避することができるのです。
大きな失敗を避けたいなら「逆張り」より「順張り」
このように、筆者は株価が下がっている間は安易にその株を買うことはしません。逆に株価が上がっている間は株を持ち続けます。この考え方を「順張り」といいます。
一方、多くの個人投資家が行っている、株価が下がったら買い、さらに下がってもそのまま持ち続けるのは「逆張り」です。
実は逆張りは、長期的な上昇相場では有効な戦術です。上昇相場では、株価が下がったときに買い向かえば、その後再度株価が上昇に転じるので、結果的に安く買うことができるからです。
ところがこれが長期的な下落相場になると一気に形勢が変わります。株価が下がって割安になったと思って買い向かったらさらに下がる。そこで損切りせずナンピン買いをすると、さらに下がる…というように、あり地獄のような下落スパイラルにはまってしまうのです。
米国もいよいよ利上げがスタートし、米国も日本も長期間続く上昇相場が終焉(しゅうえん)し、本格的な下落相場になる可能性もあります。
今年に入り株価はかなり下がったように感じますが、日経平均株価はまだ高値から1割しか下げていません。2020年のコロナ・ショックでは短期間で30%下がりましたし、バブル崩壊後の30年間で日経平均株価が60%以上下がったことが3回あります。
もし今回の下落で大きな失敗をし、二度と同じような目に遭いたくないと思っているならば、株価が下落している間は手を出さず、持ち株も下落に転じたら早めに売っておくという順張りの考え方をぜひ参考にしてくださいね。
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