今週の予想
今週は、戻りを試すが上値は限定的か
先週の日経平均は、27日(木)に2020年11月以来の安値水準まで突っ込み、2万6,044円まで下げ終値では▲841円の2万6,170円と2万7,000円の防御ラインを破ったことで、需給が好転するのに多少時間がかかるかもしれません。
しかし、日米企業の決算は好内容が目立っており、先週末の米株式の上昇は、アップルなどの好決算を受けての反発ですので、日経平均も好決算を受けて追随していくことが期待されます。
今週のポイントは、世界的な株安の流れは、米国市場が持ち直す必要がありますが、先週末の米株式の長い下ヒゲからの反発が底を打った状況なのか見極める必要があります。米国の主要企業の2021年10~12月業績や2022年1~3月の見通しは市場予想を上回っているものが多いです。
そのため、サプライチェーンのネックや、インフレによる経済収縮の不安は残りますが、好決算が相場を押し上げる期待がもてます。
日経平均は米株の状況をみながら戻りに入っていくものと思われます。ただ、大きな下げをしているので、自律反発で戻しても当面は戻り待ちの売りは多いと想定されます。また、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締めのイメージがハッキリしない以上、3月の利上げ開始までは、急落の局面も頭に入れておく必要があります。
好決算銘柄で大きく下げているものは、リバウンドを狙っていくのが当面の投資法の1つと思われます。
柴田罫線でみると、27日には三角保ち合いの下限(2021年8月20日の2万6,954円)を大きく下に切ってしまっているため、戻る場合は三角保ち合いの下限支持線の2万8,000円近辺や25日移動平均線(27日時点2万8,262円)近辺を目指す可能性があります。
チャートを大きく崩しているために上に控えるフシをすぐに突破していくのは難しいといえます。
1月21日時点の買い残は3兆4,173億円と高水準であり、評価損率は先週▲12.9%に悪化しているため、改善するのに時間がかかることになります。しばらくは戻り売りのイメージを持って投資する必要があります。
今週の指標:日経平均株価
先週の予測では、三角保ち合いの中で目先の下限となっていた2万7,900円どころを切って下放れとなっており、このまま下げても三角保ち合いの最終の下限である、2021年8月20日の2万6,954円を守ることを想定していました。
過去半年の動きの中でも2万7,000円水準まで下げると大きく反発するパターンを繰り返していました。しかし、今回はこれまでと相場環境が違ってきました。
1つは、FRBが1月26日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、インフレを抑えるために積極的な利上げの方向を示し、ここにウクライナ情勢の緊迫が続いたことでした。
週半ばまで2万6,800円を下限に何とか終値では2万7,000円を守っていましたが、27日(木)は一気に下放れとなり、1,000円近い下げとなって2万6,044円まで下げました。週末は4日ぶりの大幅反発となりました。自律反発期待や好決算が追い風となりました。
今週は、米国株式の反発が続けば、日経平均もある程度は反発となりますが、今までのように勢いよく戻っていくことは期待できません。
それはチャートをみてわかるように2021年の8月20日の2万6,954円から続いた三角保ち合いを大きく下に切っており、そのため戻りは当面は、三角保ち合いの下限のフシ2万8,000円水準で、いったんアタマを抑えられる可能性があります。
この下げ方をみると1月27日の2万6,044円が目先のセリングクライマックスとみてもおかしくありませんが、信用買い残が1月21日時点で3兆4,173億円、評価損率▲12.9%となっており上昇しても戻り売りが続くことになります。
今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)
先週の予測では、6日続落で目先の下値ポイント3万3,800ドル水準へ接近しており、ここからどう動くのかは25日(火)~26日(水)のFOMCの結果が注目となるとしました。
先週は大きな上下動を繰り返して下げてきました。24日(月)は早期利上げ観測とウクライナ情勢でNYダウは▲1,115ドルまで下げて、終値は+99ドルと7日ぶりの反発となりました。
25日(火)は、一時▲818ドルまで下げて終値は▲66ドル、26日(水)は+517ドルまで上昇し、終値は▲129ドル、27日(木)は一時+605ドルまで上昇し、終値は▲7ドルの3万4,160ドルという動きでした。大きな上下動ですが、下値は3万4,007ドルです。
つまり、リスク回避の売りと、まだ金余りの状況による押し目買いの繰り返しというところです。
先週のFOMCで目先のアク抜けから週末は企業決算期待で大きく反発しました。この反発がどこまで続くかは、3月の利上げ実施までは金融引き締めの流れの不透明さが残っているので、まだ上下動を繰り返す可能性があります。
一方で、主要企業の2021年10~12月業績や2022年1~3月見通しは市場予想を上回っているため下げてもすぐに戻る相場が続くことになります。
今週の指標:ドル/円
FRBは、3月に利上げをするとの見方を示したことで、ドルの上値はまだ終わっておらず、まずは1月4日の116.20円水準を目指すことになりそうです。
ここを突破すれば当面の目標は2016年12月15日の118円に向かうことになります。
先週の動き
先週は、週始めの113円台後半から、FOMCを控えて金融引き締めの予想からドルが買われジリ高の動きとなるとしました。
26日(水)にFOMCで3月利上げを示唆、パウエル議長が会見でインフレ高進に対して強い懸念を示したことで、ドルが買われ、1ドル=114.80円まで上昇しました。
27日(木)は、タカ派的金融政策だったことからドルが一段高となって115.70円まで続伸し、週末はポジション調整が入って、結果的にFOMCのあと今年は積極的な利上げに動くとの観測から週間ベースでは7カ月ぶりの大幅上昇となりました。
先週の結果
先週は、三角保ち合いの下限を完全に下放れし、2万6,044円まで下落
先週の予測では、いったん下げたあと反発期待もとしました。しかしその程度は、日本株は自立できない以上、米国株の反発がない限り、大きな上昇は期待できないとしました。
また、これまでの日経平均は、2万7,000円水準を下値に大きく反発するパターンを繰り返しており、このパターンが崩れると厳しいものになるとしました。
当面のレンジを2万6,700~2万8,300円として、下値は2万7,000円を切っても2万6,700円ぐらいのものだとしていました。
結果的に週半ばの26日(水)に2万6,858円まで下げ、2021年来安値を更新して終値では2万7,000円を守っていることで、そろそろ反転が近いと思っていました。
ところが、FOMCで積極的な金利引き上げ示唆があったことや、ウクライナ情勢の緊迫感で、米株式が大きな上下動を繰り返して下げ続け、これを受けて27日(木)の日経平均は、三角保ち合いの2021年8月の下限(2万6,954円)を切っていたこともあり、完全に下放れとなって▲966円の2万6,044円まで下げ、終値は▲841円の2万6,170円で引けました。
完全な下放れのポイントは、26日のFOMC後の会見で、パウエル議長が積極的な利上げと受け取れるタカ派的な発言をしたことです。高インフレと失業率を挙げ、前回の利上げ局面が始まった2015年と比べて経済状況は大きく異なると指摘しました。
また、労働市場の改善や景気回復を脅かすことなく「金利を引き上げる余地は十分にある」と当局者は認識しているとしたのです。
これを受けて日本株はウクライナ情勢の緊迫感に加え、国内のオミクロン株感染拡大の記録更新を背景に27日(木)は、一気に1,000円近く下げ、後場には2万6,044円まで下げました。
米国は株安・ドル高となり、結果的に円は5年ぶりの円安水準となりました。
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