2021年に45%強の増益見通し、経営陣は2022年の業績を楽観

現地コード 銘柄名
02020

安踏体育用品

(アンタ・スポーツ・プロダクツ)

株価 情報種類

112.70HKD
(1/20現在)

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「FILA」ブランドの小売販売が2021年下期に減速したにもかかわらず、安踏体育用品の経営陣は、自社の製品イノベーションや小売ビジネスにおける執行力に関して前向きな見方を維持し、世界の同業他社を上回る好パフォーマンスを見込んでいる。BOCIは旗艦ブランド「安踏」のDTC(消費者向け直接販売)強化戦略が順調に進行していると指摘。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続した。

 中国最大のスポーツウエアメーカーである同社は、1月19日に2021年12月通期の業績見通しを発表。純利益が少なくとも前年比45%増加する見通しを明らかにした。その一因は合弁会社の大幅な赤字縮小だが、この要因を除外しても利益成長率は35%を超える見込み。前年比35%超の売り上げ伸び率や、純金融収入の計上(前年の純支出からプラス転換)を好決算見通しの理由としている。

 2022年に目を向けると、「安踏」ブランドの小売売上高は年明け以降も好調だが、前年実績が高くなる4-6月以降は減速する見込み。経営陣はそれでも、製品構成の優良化や店舗の生産効率の向上を理由に、2022年通年で前年比18-25%の伸びを予想している。また、もう一つの主要ブランド、伊「FILA」に関しては、他の国際ブランドを上回るパフォーマンスを目指す方針。「FILA kids」「FILA Fusion」の成長やシューズの多様化がけん引し、「FILA」の2022年通期の小売売上高は「前年比15-20%」との目標を達成できる可能性が高いという。

 ブランド別に2021年の小売売上高を見ると、「安踏」は10-12月期に前年同期比10%台半ばの伸びを示し、前四半期から加速。通期では前年比25-30%増と、自社目標(20%増)を上回った。オフライン販路の在庫も10-12月には「5カ月未満」に低下。DTC改革による小売販売率の改善や店頭での商品陳列方式の見直しが寄与し、値引き率は10-12月に約26%と、前年同期比で4ポイント改善した(ほぼ前四半期並み)。

「FILA」ブランドの2021年10-12月の小売売上高は、「FILA kids」「FILA Fusion」やオンライン販売のけん引により、前年同期比で1桁台後半の伸び。通期では前年比25-30%増と、自社目標並みの数字となった。

 その他ブランドを見ると、10-12月期の小売売上高の伸びは前年同期比30-35%。うち「デサント」が40-45%増(通期では前年比約70%増)、韓国の「kolon」が10%台後半(通期では前年比30%超)の伸びだった。

 BOCIは2021-2023年の利益見通しを据え置き、2022年予想PER(株価収益率)40倍をベースとする目標株価を維持した。レーティング引き下げにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、「安踏」のDTC改革の不成功、「FILA」の業績悪化や新規事業の一時的不調などの可能性を挙げている。