年始早々、大荒れの展開が続く株式市場。「いつ、嵐が収まるのか?」と不安に感じている方も多いはず。少しでも冷静になってもらえるよう、今週1月24日(月)から28日(金)の最新情報を分かりやすくお伝えします。

パウエル・ショック!日本株以上に米国株が大打撃

 先週の日本株は不安定な展開が続きました。日経平均株価は乱高下し、21日(金)には前週比▲2.1%(602円安)の2万7,522円で終えました。

 新興株の”暴落”も止まりません。ネットやIT(情報技術)関連の成長株が集まる東証マザーズ指数の2021年12月末からの下落率は17.7%。クラウド会計のフリー(4478)が26.3%安となるなど、主力株が総崩れの状況です。

 先週は日本株以上に米国株が売られました。

 多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は、先週5.7%安。1月4日(火)の最高値からの下落率は8.7%です。

 株価が割高で金利上昇に弱いハイテク株が集まるナスダック総合株価指数は、先週7.6%安。昨年11月19日につけた最高値から15.5%も下落しています。

 これまで株価にポジティブな影響を与えることの多かった米国企業の決算発表は、反対にネガティブな意味で、市場の雰囲気を一変させました。

 その象徴が、先週20日(木)に2021年10-12月期決算を発表したネットフリックス(NFLX)

 会員数の増加が市場予想を大幅に下回り、21日(金)に21.8%も下落。一夜にして時価総額5兆円超が消失する暴落に見舞われています。

 また、ゴールドマン・サックス・グループ(GS)は18日(火)に2021年10-12月期の決算を発表。株式トレーディング部門の減収を発表したことで8.9%安となるなど、米国企業の高成長や好業績にも陰りが見えてきました。

 むろん、「パウエル・ショック」と呼ばれる急落相場の元凶は、パウエル議長率いる米国中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)が物価高を抑え込むために金融引き締め策を急いでいるから。

 先週の株式市場を最も揺るがせたのも、株価にとって一番の逆風となる金利の上昇です。

 米長期金利の指標である10年物国債利回りは、原油先物価格の上昇などもあり、19日(水)朝の時間外取引で1.9%台に一瞬到達。

 これが同じ時間帯に取引されていた日本株を直撃し、19日の日経平均株価が790円も下落する引き金になりました。

FOMCで嵐は頂点に。米GDPやアップル決算にも注目!

 今週の株式市場はさらなる”嵐”を呼ぶような決算発表や経済イベントがめじろ押しです。

 日本時間の26日(水)朝にはマイクロソフト(MSFT)、28日(金)朝にアップル(AAPL)というハイテク2大巨頭が決算を発表します。

 ”バブル”といえるほどの米国株高を支えた巨大IT企業の決算が予想を裏切るようだと、両社の組み入れ比率が高いS&P500にも大打撃です。

 その他、ダウ工業株30種平均の構成銘柄である3M(MMM)インテル(INTC)キャタピラー(CAT)アメリカン・エキスプレス(AXP)なども決算発表を控えています。

 今週一番の注目は、27日(木)未明に終了するFOMC(連邦公開市場委員会)。米国の金融政策を決める重要会合です。

 現状の市場コンセンサスは「2022年中に年4回の利上げ、年後半にFRBの資産圧縮開始」といったもの。

 今回のFOMCでさらに強硬な金融引き締め策が出るようだと、株式市場は大混乱に陥るかもしれません。

 もっとも、パウエル議長が急落する株式市場をなだめるような発言をすることで、いったんリバウンド上昇する可能性も十分あり得ます。

 27日(木)夜には、米国の2021年10-12月期実質GDP(国内総生産)の速報値が発表されます。

 2021年7-9月期のGDPの速報値は年率換算で前期比2.0%増。市場予想の2.8%を下回りました(確報値では2.3%に引き上げ)。今回は個人消費の盛り上がりで、5.6%の高い成長が見込まれています。

 ただし、物流網の混乱や激しい物価上昇で下振れする可能性も。

 その場合は、FRBの金利引き上げと物価高による経済の低迷という米国経済の”二重苦”が意識されそうです。

 28日(金)には、FRBが物価上昇に関する指標として最も重要視する12月個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)も発表予定。

 前回11月は前年同月比5.7%と30年来の高水準で、今回も高止まりが予想されています。

 日本企業の2021年10-12月期決算の発表も始まります。26日(水)の工作機械メーカー・ファナック(6954)、EV(電気自動車)向けモーターの日本電産(6594)、27日(木)の半導体検査装置・アドバンテスト(6857)の決算などに注目が集まりそうです。

 今週も引き続き「もう株価が下がるのを見るのはこりごり」という1週間になるかもしれません。

 東証マザーズ指数などには先週、下げ止まりの兆しも見られましたが、まだまだ不安定な相場展開が続きそうです。どうか十分にご注意ください。