恐怖指数と呼ばれるCBOE(The Chicago Board Options Exchange)のVIXインデックスが40を下回ったことが話題となっている。昨年、100年に一度の変動率を記録した相場の後なので、現在の変動率は歴史的に見てもかなりの高水準である。しかし、各国の政策総動員が功を奏し、相場の変動率はピークからみれば大幅に低下している。

VIX恐怖指数(日足)

VIX恐怖指数(日足)
(出所:石原順、ブルームバーグ)

現在、シカゴ市場の株式・通貨・商品などのオプション価格(プレミアム)は軒並み低下している。ショート・ストラングル(コールもプットも売るポジション)などに代表される、相場がある一定のレンジに入っていれば儲かるポジションを作るオプションの売り方は悲鳴を上げている。オプションを売っても値段が安すぎてリターンが少なく、リスクだけ大きく取らされる格好になるからだ。

そういった専門的な話はとにかく、上記のような「ストラテジーが組めない状況」が続くと、いつもしばらくして大きな相場変動が起きているので注意したい。こういった声が聞こえてくると、過去の経験則では相場が上下どちらかに大きく動く兆候となっている。シカゴのオプション市場参加者の間では、「相場変動率の低下傾向はあと2週間くらいが限度ではないか?」と言われている。

ドル/円相場は過去の相場で鬼門となっている「週足の一目均衡表」の「雲」に相場がぶつかっており、100円から上が重くなっている。

ドル/円(週足) 一目均衡表

ドル/円(週足) 一目均衡表
(出所:石原順、ブルームバーグ)

筆者は基本的に4月~6月期は株高・円安の相場展開を想定しているが、相場周期的には4月中旬から調整に入る可能性もあるので、ここからは柔軟な対処が必要になると考えている。買い一辺倒相場から相場の調整に注意を要する時間帯に変わりつつある。この先は相場難易度が高くなりそうだ。

テクニカル面ではユーロ/円が1カ月の市場参加者の平均コストである21日移動平均線を割り込んでいるのが気にかかるが、他の通貨ペアは決定的な売りシグナルが出ているわけではなく、相場の方向はまだ上値を志向する形となっている。

豪ドル/円(左)ユーロ/円(右)の支持線

移動平均リボン1カ月~3カ月の市場参加者の平均コスト
13日移動平均〔青〕21日移動平均〔緑〕

豪ドル/円(左)ユーロ/円(右)の支持線
(出所:石原順、ブルームバーグ)

ポンド/円(左)ドル/円(右)の支持線

移動平均リボン1カ月~3カ月の市場参加者の平均コスト
13日移動平均〔青〕21日移動平均〔緑〕

ポンド/円(左)ドル/円(右)の支持線
(出所:石原順、ブルームバーグ)

ドル/円などをみても98円を維持している限りは、上に切り返す可能性もあり、この場合は現在の円安相場継続となる。一方、ここから仮に相場が調整局面に入った場合、時間をかけてレンジでの調整をやるのか、急落して値幅で調整するのか、相場のフォーメーションが読みにくい。はっきりいって目先の相場展開については、筆者はよくわからないのである。

相場の視界が悪くなったとき、筆者は相場のポジションを少なめにして相場に参入するか短期売買のみに徹することで対処している。

円安になりやすい時間帯AM 9:00-AM 10:00やPM 10:00-PM 12:00の時間帯を狙って短期売買を行っていきたい。より、アクティブな投資家は以下の「時間帯別取引情報」の黄色の時間帯で、超短期売買(1分から 10分程度のスキャルピング)で相場についていく順バリを行うのがよいだろう。

決算発表シーズンであり、デイトレーディング中心の投資家は決算発表のスケジュールを頭に入れておきたい。今日は市場が注目している米銀大手シティ・グループの決算が発表される。

時間帯別取引情報

時間帯別取引情報
(出所:石原順、楽天証券)

2009年の相場リズム(よく見られる傾向やパターンです)

2009年の相場リズム(よく見られる傾向やパターンです)
(出所:石原順、楽天証券)

ドル/円(10分足)4月15日から4月17日の動き

赤枠:AM 9:00-AM 10:00
青枠:PM 10:00-PM 12:00
ピンク枠:PM 2:00-PM 5:00(逆張りの円売り時間帯)

※注意:逆張りを行う場合は「リスク管理」が重要。相場に逆らってポジションを作るのでリスクが大きい。3万通貨買うリスク許容度があるなら1万通貨ずつ3回に分けて買い下がるのがよい。とにかく、レバレッジを上げないことである。

ドル/円(10分足)4月15日から4月17日の動き
(出所:石原順、ブルームバーグ)

決算発表予定(金融機関)
ダウ工業株30種平均株価の採用銘柄企業決算(金融機関を除く)
その他有名な米企業の決算
(出所:石原順、ブルームバーグ)

円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年4月16日まで)

ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。

(また、ATRやボリンジャーバンドの売買手法については、過去のレポートをご覧ください)

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)

ポンド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

ポンド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)

ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)