鮮やかに変化した2022年初頭の日本株

 皆さんは、2022年初頭の日本株の変化に気づくことができたでしょうか? その変化とは、「成長株売り、割安株・景気敏感株買い」の動きです。

 もともと成長株は弱い動きだったのですが、年明けになってからその動きが加速しました。今ではほぼ全てといってよいくらい、成長株は下降トレンドとなっていて、高値から3分の1、4分の1と大きく値を崩してしまっている銘柄も目立ちます。

 一方、年明け早々から強い動きとなったのが割安株・景気敏感株です。もともと強かった商社株、海運株に続き、年明けからは銀行株、自動車関連株、重工株、鉄鋼株、化学株といった、割安株や景気敏感株の多くが力強く上昇しました。

 このように、2022年初頭は、成長株が売られ、その資金が割安株や景気敏感株に回っているという流れが鮮明になっています。

変化の兆候にいち早く気づくことができたか?

 皆さんは、この変化にいち早く気づくことができたでしょうか? 筆者は恥ずかしながら変化の兆候に気づいたのは大発会の翌日の1月5日でした。

 大発会、そして1月5日と、あまりにも割安株や景気敏感株が強いこと、アメリカ10年物国債利回りが上昇していること、そして成長株が大きく売られていることから、成長株から割安株・景気敏感株に資金が本格的にシフトしているのではないか、と感じ取りました。

 当然、1月4日、5日と割安株・景気敏感株は強い動きだったため、5日の終値では株価も25日移動平均線からかなり上方にかい離しているものが多かったです。

 それでも、利上げ観測によるアメリカ10年物国債の利回り上昇はしばらく続く可能性も考えられ、「この動きが当面続くのであれば、できるだけ早くそれを踏まえたポジションを構築しなければならない」と思いました。

 そこで、筆者は1月6日に割安株や景気敏感株を大量に買ったのです。

適切な買いタイミングを逸したときの筆者の対応実例

 筆者は、自分自身で適切な買いタイミングとして「25日移動平均線を超えた直後で、かつ25日移動平均線からのかい離率がまだ大きくないとき」と決めています。

 ところが、1月5日の終値をみると、筆者が投資候補としてリストアップしていた割安株・景気敏感株の多くはすでに25日移動平均線からのかい離率が大きくなっていました。

 そこで筆者は次のような対応を取りました。

  • 25日移動平均線からのかい離率がすでにかなり大きくなっているものは買いを見送る
  • 25日移動平均線からのかい離率がやや大きくなっていて、通常では買わないようなものについてはリスク承知で買う
  • 25日移動平均線からのかい離率がまだ大きくないものは通常のルール通り買う

筆者が考える具体的な対応方法は?

 筆者は、「変化の兆候に気づかず上昇に乗り遅れた!」となった場合、取りうる対応方法は以下の3つだと思っています。

(1)思い切って飛び乗る

 もしマーケットに生じている変化が長期間続くとすれば、時間がたてばたつほど買い時を逸してしまうことになります。そこで、多少のリスクを覚悟で上昇途中の銘柄に思い切って飛び乗ります。

 ただし高値掴みの危険もありますから損切り価格はあらかじめしっかり設定しておき、損失の拡大を防ぐ必要があります。

(2)押し目(短期的な株価の下落)を待つ

 得てして株価が調整する局面が来ることは多いものです。そこで、押し目(短期的な株価の下落)が生じて移動平均線からのかい離が小さくなるのを待って買います。もし押し目が来なかった場合は買いを見送ります。

(3)まだ大きく上昇していない出遅れ銘柄を買う

 例えば同じ業種の銘柄のうち、すでに大きく上昇している銘柄もある一方、まだあまり上昇していない出遅れ銘柄もあることが多いです。

 そこで、まだ移動平均線からのかい離も小さい出遅れ銘柄を買います。出遅れ銘柄は大きく上昇しないケースも多々ありますが、高値掴みをして大きな損失を被るリスクは抑えることができます。

 筆者はこの(1)~(3)を組み合わせて対応しています。ただし、上で説明した通り、(1)を使う場合は、あまりにも25日移動平均線からのかい離率が大きいものは避けます。

 1月6日は、日経平均株価が大きく下落したこともあり、結果として(2)の要件も多少満たしたタイミングで買うことができました。

あえて動かないという選択肢もある

 これ以外に、「あえて動かない」という選択肢もあります。

 投資家の中には、割安株しか投資しない、あるいは成長株しか投資しない、と決めている人もいます。

 もし自分自身が成長株投資が得意だ、という場合、足元では成長株は売られていて下降トレンドのものがほとんどですから、保有せず上昇トレンドに転じるまで様子見となります。

 そして同時期に割安株が強い動きで次々と上昇トレンドに転じているとしても、それらには投資しないのです。

 つまり、成長株が強い時はその流れに乗って利益を目指すが、成長株が弱い時は保有せず様子見を続けるということです。そのとき、成長株以外の銘柄がどのような動きをしたとしても、「自分には関係ない」と無視するわけです。

 筆者は成長株が強ければ成長株を買い、割安株や景気敏感株が強ければそれらを買う、というように、上昇しているものは買って利益を狙いにいくという欲張りな性格です。

 でも、長い目で見れば、割安株より成長株の方が大きく上昇することが多いわけですから、あえて割安株や景気敏感株は無視して、成長株一本で挑むスタイル、というのも考え方の1つです。

 ただし、成長株が弱く、割安株や景気敏感株が強いという状況が何年も続くようだと、耐えるのは精神的にきついかもしれませんね。

 この可能性もあるので、筆者は成長株だろうが割安株だろうが景気敏感株だろうが、上昇トレンドの強い銘柄に投資して利益を目指すことにしているのです。

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