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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「値がさグロース下落 景気敏感バリュー上昇 日本株:二極化続く理由」
タカ派FRBへの懸念でグロース下落もバリューは上昇
先週(1月11~14日)の日経平均株価は、1週間で354円下がって2万8,124円となりました。パウエル議長率いるFRB(米連邦準備制度理事会)が一段とタカ派色を強めていることを警戒して米国株が下がった流れを受け、日経平均も売られました。
年初から、景気敏感バリュー株が大きく上昇する中、値がさグロース株が大きく下がる二極化が進んでいます。そうした中、値がさグロース株の構成比の大きい日経平均は軟調に推移しています。
2022年に入ってからの騰落率(1月14日まで):バリューとグロースで二極化
NYダウと日経平均の推移:2020年末~2022年1月14日
NYダウは、年初いったん最高値を更新した後、パウエルFRBのタカ派姿勢が一段と強まっていることに警戒が広がり、その後、下落に転じました。それを受けて日経平均も下げました。
米インフレ高止まり・長期金利上昇は、オールドバリュー株には追い風
米インフレ率は昨年11月時点で6.8%まで上昇し、FRBの政策ターゲット(コアインフレで2%)をはるかに上回っています。インフレ高止まりが予想以上に長びいていることを受けて、FRBはタカ派色を強めています。
14日発表の12月米小売売上高が前月比1.9%減と10カ月ぶりの大幅な落ち込みとなったことを受け、米インフレも低下に向かうとの見方も一部に出ましたが、FRBのタカ派姿勢が変わることはないとの見方が大勢です。
そうした背景から米長期金利が1.8%手前まで上昇した流れを受けて、ハイテクグロース株には売り圧力がかかりました。
米長期金利の推移:2020年1月2日~2022年1月14日
ところが、インフレ・金利上昇が長引いているということは、多くの景気敏感バリュー株にとって有利な経済環境が続くことを意味します。
モノの値段や資源価格が高止まるということは、製造業や資源関連株に追い風です。ドル金利が上がるということは、金融業に追い風です。これまでオールド産業として株価が低迷してきた、「3大割安株(金融業、資源関連、製造業)」の見直しにつながっています。
なお、3大割安株という言い方は、私が勝手にネーミングしているだけで、業界でそういう表現があるわけではありません。しばらく、景気敏感バリュー株を見直す動きが続くと予想しています。
東証マザーズは急落
小型グロース株が多い東証マザーズ指数は今年に入ってから▲14.5%と、急落しています。グロース株を売ってバリュー株を買う流れが続く中で、流動性の低い東証マザーズ株は見切り売りが増えて下げが加速しています。
長い目で見れば、有望な小型グロース株を割安に買う機会になっていると思います。ただし、短期的な下値リスクはまだ払しょくされていません。投げ売りが終わるまでまだ時間がかかる可能性もあります。流れが変わるのもしっかり見極めてから買い出動した方が良いと思います。
東証マザーズ指数の動き:2016年1月~2022年1月(14日)
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