景気循環をみる上で重要な指標
株価は景気循環よりも少し先に動くと言われています。景気が底の時には既に株価が上がり始めていて、景気がピークの時には既に株価が下がり始めているという動きは、皆さまもイメージされるところではないでしょうか?
逆に考えると、景気循環を捉えることができれば、その少し先をいくことによって、売買の良いタイミングを測ることができるようになります。そこで今回、景気循環をみる上で私が重要視している一つの指標をご紹介したいと思います。
それは、FA(ファクトリーオートメーション)やロボット、ロボマシンなどを扱っているファナック(銘柄コード:6954)の在庫循環です。日経平均株価の底近くにある絶好の買いタイミングを捉える上で、ファナックの在庫循環は押さえておくべきと考えています。
在庫循環には四つの局面がある
まずは、ファナックの在庫循環についてみてみましょう。
(表1)ファナックの在庫循環
通常、在庫循環は「出荷」と「在庫」や、「生産」と「在庫」の関係でみますが、ここでは「売上高」と「在庫」の関係でみます。在庫は決算上、棚卸資産として表記されていますので、決算短信においては棚卸資産の数字をみます。
在庫循環には、大きく四つの局面があります。
(1)売上高が増え、在庫が増える局面
売上高の増加に伴い、在庫を増やしている景気拡大期の終わりごろから、その後に売上高の伸びが頭打ちになり、在庫が売上高以上に増えていく景気後退期の初めごろにあたります。
(2)売上高が減り、在庫が増える局面
売上高が減る一方で、在庫が積み上がるという景気後退期の終わりごろから、在庫の積み上がりも頭打ちになる不況期の初めごろにあたります。
(3)売上高が減り、在庫が減る局面
売上高の減少に伴い、在庫も減らすという不況期の終わりごろから、売上高の減少率が改善してくる景気回復期の初めごろにあたります。
(4)売上高が増え、在庫が減る局面
売上高が増えてくるなかで在庫が減っていく景気回復期の終わりごろから、生産を増やすことで在庫の減少率が改善してくる景気拡大期の初めごろにあたります。
絶好の買いタイミングは
この四つの局面において注目したいのが、「(3)売上高が減り、在庫が減る局面」です。
絶好の買いタイミングを測るため、(3)の局面になった最初の四半期の決算発表日と、その日の日経平均をみてみましょう。
(グラフ1)局面(3)になった最初の四半期の決算発表日と日経平均株価
一つ一つみていきましょう。
2012年10月25日のケースは、アベノミクス相場が始まる直前のタイミングで、その後、2015年に日経平均は2万952円まで上昇しました。
2016年4月27日のケースは、2015年の高値2万952円から下がったところで、その後、2018年に2万4,000円台をつける動きとなりました。
2019年7月29日のケースは、2018年の2万4,000円台から下がったところで、2020年3月には新型コロナウイルス感染症の拡大という特殊要因で大きく下げた局面もありましたが、その後大きく上昇し、3万円台をつける動きとなりました。
以上から、(3)の局面になった最初の四半期の決算発表日は、日経平均を買うタイミングとして、絶好のタイミングと言ってよいのではと考えています。
現在のファナックの在庫循環の状況は、(3)とは真逆の「(1)売上高が増え、在庫が増える局面」にあるので、(3)の局面がくるのはまだ先になりますが、景気循環より少し先に動く株価の底値近くを捉える指標として、押さえておくべきと考えています。
次の(3)の局面になった最初の四半期の決算発表日は、ぜひとも捉えたいですね。
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