12月12日のレポート『主役交代か?ユーロ/ドルのレンジブレイク』で「ユーロ/ドル相場が反発している。なべ底形成をしながらユーロ高方向にレンジブレイクしており、比較的大きなリバウンド相場となる可能性が出てきた」と述べたが、ユーロ/ドル相場が急騰(12月16日には1.4147まで上昇)している。

現在のユーロ/ドルの上昇は、【標準偏差ボラティリティ】や【ADX】というテクニカル指標でみるとトレンド(方向性)を持っており、デイトレなど目先の相場は押し目買いが有効となる。

ユーロ/ドル(日足)と26日変動率(標準偏差ボラティリティ)
相場に方向性がある期間(ピンク色)相場に方向性がない期間(水色)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/ドル(日足)と14日ADX(方向性指数)
相場に方向性がある期間(ピンク色)相場に方向性がない期間(水色)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/ドル相場は1カ月から3カ月間の市場参加者の平均取引コストを表すといわれる【移動平均リボン】も上抜いており、ユーロの売り方は損失覚悟の買い戻しを余儀なくされる展開となっている。この移動平均リボンの上限(12月17日現在1.33)が今後の相場の強力なサポートとなる。

ユーロ/ドル(日足)と移動平均リボン
移動平均リボンは1カ月から3カ月間の市場参加者の平均取引コストを表す


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/ドルの【一目均衡表】をみると、こちらも抵抗帯である《雲》を大きく上抜いており、今後の相場は《雲》の上限である1.35~1.36近辺がサポートポイントとなる。急騰相場には急落がつきもので、現在のユーロ買い戻し相場が終わった後の「初押しのレベル」は雲の上限近辺となるだろう。

ユーロ/ドル(日足)と一目均衡表
抵抗帯である《雲》をブレイク


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/ドルの抵抗ポイントとしては、直近のユーロの下げ幅の半値戻し水準である1.42近辺が大きな抵抗となるだろう。この近辺ではとりあえず利食いを優先させたい。

ユーロ/ドル(日足) サポート(支持線)とレジスタンス(抵抗線)
フィボナッチ級数によるファンライン・アーク・リトレースメント


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円相場の方は、現在の《ドル安・円高相場》のなかで上値が重い展開にあるものの、直近の三角もちあいを円安方向にブレイクし、戻りを試す展開となっている。【ATR】をみると相場変動幅も低下傾向が続いており、現在は10月の相場のような円の急騰リスクは低下している。

ユーロ/円(日足)とATR(相場変動幅の20日移動平均線)
緑の期間が円売りの有効時間帯


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円相場の【一目均衡表】をみると、127円近辺は抵抗帯が控えており、ここを上抜けるか否かが正念場となる。【移動平均リボン】や【フィボナッチの抵抗線】をみてもこの127円は強い抵抗となると思われる。

ユーロ/円(日足)と一目均衡表
抵抗帯(雲の下限である127円近辺)までは戻り余地が出てきた


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円(日足)と移動平均リボン
市場参加者のコストである移動平均リボンの中に突入したが、リボンのど真ん中である127円超は戻り待ちのヤレヤレ売りが出て上値が重くなるだろう。


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円(日足) サポート(支持線)とレジスタンス(抵抗線)
フィボナッチ級数によるファンライン・アーク・リトレースメント
23.6%戻しの127円が戻りの抵抗


(出所:石原順、ブルームバーグ)

以上が現時点でのユーロの対ドル・対円相場の支持・抵抗ポイントであるが、年末・年始は相場が激変しやすい。年内は利食いを優先し、年明けの相場に備えたいと思っている。当面の相場のトレンドを決定するのは年明けの相場となるだろう。