現在の円相場は株式市場と連動している。売られすぎの状態にあった世界の株式市場は、値頃感からの買いと売り方の買い戻しを巻き込む形で10月28日から急騰し、現在は短期的にやや買われすぎの状態となっている。企業業績や経済のファンダメンタルズは悪化傾向にあり株価の上値は限定されるだろう。しかし、目先は値頃感からの割安修正相場が展開される可能性が出てきている。現在の株式市場や外為市場はオーバー・シュート(売られすぎ)の反動をとりにいく局面である。
- NYダウ(日足)と抵抗線
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株式市場の下げバイアス(偏見や先入観)と外為市場の円高バイアスが強力ななかでのリバウンド相場であるが、これがどこまで続くのかについての市場の見方は強気・弱気が交錯している。株式市場は11月4日の米大統領選挙や11月15日の経済サミットを控えて売りにくい状況にある。一方、年内はヘッジファンドなどの換金売り相場が続くため上値も買いにくい。ここからの方向性は非常に読みにくいが、ポイントとなるのが市場参加者のコストである。以下のチャートは複数の日数の移動平均を束ねた移動平均のリボン(帯)であるが、市場参加者の持ち値が集中する移動平均リボンは相場の戻りの大きな抵抗となるだろう。筆者は現在の相場の戻りの目安を、移動平均リボンの帯の下限と観ている。
- ドル/円(日足) 一日の変動幅(上段)と移動平均リボン(下段)
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- 豪ドル/円(日足) 一日の変動幅(上段)と移動平均リボン(下段)
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- ユーロ/円(日足) 一日の変動幅(上段)と移動平均リボン(下段)
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- ランド/円(日足) 一日の変動幅(上段)と移動平均リボン(下段)
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このような予測はあくまで相場観に過ぎず、なんら将来の収益を保証するものではないが、「どのあたりまで戻す可能性があるでしょうか」という照会が多いので参考としてとりあげたまでである。
外為市場は昨日から買われすぎの反動と買い遅れ組の押し目買いが入り交じり、相場の方向性をテストする展開が続いている。また、本日10月31日は月末と週末ということでポジション調整の日である。ここから2~3日の相場は特にイメージがつかみにくい。怖いところを売ったり買ったりしてリスクを取らないと大きな収益が上げられないのが相場ではあるが、現在の相場は変動幅がまだ異常に高く1日で1週間分の相場をやっているような感覚だ。レバレッジを上げると思わぬ大損失を被る可能性があるので注意したい。1日の相場変動幅や20日間の相場変動幅の平均をみても、変動幅が大きすぎて円キャリー取引が成り立つような環境ではない。当面は低レバレッジでキャピタルゲイン(金利でなく相場からの収益)を狙う相場環境が続くことになろう。
円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2008年10月30日まで)
ドル/円およびクロス円市場は“円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する”という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間では円の売り放置やキャリートレードはリスクが高くなる。ATRは過去に見ないような上昇を続けており、現在は円売りリスクの高い局面であることに注意していただきたい。
- ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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- 豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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- ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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- ランド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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