2021年最後となる「トレンドマーケットスクールTOKYO」。今週の日本株は27日(月)から30日(木)まで取引が行われ、31日(金)は休場。2022年の年始は1月4日(火)の大発会でスタートとなります。
先週のIPOラッシュは14勝10敗1分と低調
先週の日経平均株価は、欧米の金融引き締めや新型コロナウイルスの変異株・オミクロン型の感染拡大で、週明け20日(月)は607円安と大幅下落。しかし、21日(火)以降は米国株の反転上昇に支えられて反発し、前週比で236円高の2万8,782円で取引が終了しました。
先週は、新規に株式を市場に公開するIPOが25社と、IPOラッシュの週でした。
市場でつけた初値(最初の取引価格)が株の売り出し価格(公募価格)を上回ったら「勝ち」、下回ったら「負け」、同値の場合は「引き分け」とすると、14勝10敗1分。
やはり、大量IPOで投資資金が分散したため、低調な結果になりました。
成長株の多い東証マザーズ指数は世界的な金融引き締めの影響で下落が続いていますが、IPOラッシュを通過したことで21日(火)朝の安値以降、小幅に反発しています。
メルカリ(4385)や転職サービス「ビズリーチ」のビジョナル(4194)といった大型成長株が上昇に転じました。
2021年は日経平均株価の弱さが際立つ!TOPIXは10%上昇
2021年全体を通してみると、日経平均株価は1月4日の始値2万7,575円から12月24日の終値まで4.9%上昇。一方、東証株価指数TOPIXの上昇率は10.1%と、日経平均株価は久々にTOPIXを大幅に下回るパフォーマンスでした。
1単元当たりの株価水準が高い「値がさ株」で主力のファーストリテイリング(9983)が年間で27%安、ソフトバンクグループ(9984)が33%安となったことが低調の一因です。
一方、東証1部の全銘柄を幅広く組み入れたTOPIXは、指数への影響力が最も大きいトヨタ自動車(7203)が1年で32%上昇、3番目に大きいソニーグループ(6758)が39%上昇したことがけん引しました。
TOPIXはアベノミクス相場に沸いた2013年に年間51.5%上昇しました。2017年も19.7%、2019年も15.2%それぞれ上昇しました。
コロナショック後の2021年の日本株は「まぁまぁ、よかった年」といえるでしょう。
一方、多くの機関投資家が運用指標とする米S&P500種株価指数は、年初から23日終値までで25.5%の上昇、NYダウは17.4%、ナスダック総合指数は21.5%それぞれ上昇しました。
米国株はコロナショック後も絶好調で、特にS&P500の株価指数としての優秀ぶりが際立つ結果になっています。
そんな米国では、物価上昇が止まりません。
FRB(米連邦準備制度理事会)が重視する物価指標で、先週23日(木)に発表された11月のPCE(個人消費支出)デフレーターは前年同月比5.7%の上昇と、10月からさらに伸び率が増えました。
物価の上昇を抑えるには、金利を引き上げ、世の中に出回るお金の量を減らして、人々がモノを買いにくくする必要があります。金利を上げると株式市場に流れ込むお金の量も減るので、株価も上がりにくくなります。
かといって、物価上昇を放置していると、身の回りのモノの値段が上がり、私たちの日常生活は苦しくなります。物価がもっと上がる前にモノを買おうとする動きも出て、ますます物価上昇が加速します。
このジレンマが来年2022年前半、さらに顕在化するでしょう。
年末年始相場はオミクロン型次第⁉地政学的リスクにも注意!
今週は年末ということで、目立った経済指標の発表はありません。
米国では、クリスマス後から年始すぐまでは新年に向けた新規資金流入で上昇相場になりやすいといった指摘もあるので、期待したいところです。
オミクロン型の感染拡大に伴う入国制限やロックダウン(都市封鎖)が逆風ですが、重症化率が低いというデータも出てきています。
先週は、米メルクや米ファイザーが開発するコロナの軽症者向け飲み薬に緊急使用許可が下りました。日本でも24日、メルクの飲み薬が特例承認されました。
一方、地政学的リスクにも注意が必要です。ロシア軍がウクライナ侵攻に向けて軍を配備するなど、ロシアと欧米諸国の対立が激化。台湾をめぐる中国との対立も含め、2022年はこうした政治や軍事的な緊張の高まりが株式市場の波乱の芽になる可能性があります。
もっとも、1番の懸念材料は、インフレとそれを防ぐための金融引き締めです。
米国のS&P500やナスダック総合指数は2020年3月のコロナショック以降、2年弱で2倍以上も上昇しました。その理由は実体経済の成長というより、中央銀行がコロナ対策でお金を市場に大量供給してきたから。
インフレのせいで金融引き締めに動かざるをえない以上、2022年はどこかでかなり大きな株価の調整が起こりそうです。
ただし、コロナ禍の物流停滞や人手不足が解消して、好景気でも物価が上昇しない「適温経済」に戻れば、株価も落ち着くでしょう。
コロナの感染拡大と世界的な物価上昇がいつ収まるかが、2022年の鍵になりそうです。
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