2022年の日本株は出遅れ感修正で買われる?キャッチアップを逃す可能性も

 皆さま、明けましておめでとうございます。2022年も本レポートをよろしくお願い致します。

 さて、昨年末12月30日(木)の日経平均ですが、2万8,791円で取引を終えました。前週末終値(2万8,782円)からは9円の小幅高、週足ベースでは4週連続の上昇となったほか、前年末終値(2020年12月30日の2万7,444円)からの上げ幅は1,347円でした。

 日経平均は年間で4.9%ほど上昇したことになるわけですが、S&P500種指数(26.9%上昇)やナスダック(21.4%上昇)をはじめ、インドや欧州など、計19カ国の株価指数が20%以上上昇していたことを踏まえると、日本株の上昇幅については、やや物足りなさが感じられます。

 となれば、2022年の日本株は出遅れ感の修正で買われる場面が期待できるわけですが、その一方で、2021年相場をけん引したコロナ禍からの「経済再開」、コロナ禍への対策としての「財政出動」や「金融緩和」のうち、「金融緩和」については、米国で今年の3月に終了するテーパリング(量的緩和の縮小)と、その後に利上げが想定されます。

 世界の株高基調が中長期的にこのまま継続できるか不透明感もあるため、タイミングによっては、日本株がキャッチアップする時期を逃す可能性もあります。

日経平均の焦点は75日移動平均線上抜け・2万9,000円台乗せを達成できるか

 いずれにしても、まずは足元の状況を整理し、2022年相場のスタートダッシュを飾れるかどうかを探ってみたいと思います。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2021年12月30日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて、2021年最終週となった先週の日経平均の値動きを振り返ってみると、28日(火)に「窓」開けで一段高を見せ、節目の2万9,000円台に乗せる場面があったものの、週末にかけては失速する展開となりました。

 特に大納会だった30日(木)のローソク足は下ヒゲの長い「十字線」が200日移動平均線より下の位置で出現しています。

 一般的に、十字線は迷いを表す線と言われ、注意が必要なのですが、週末にかけての日経平均の失速は、年末年始の休場を前にした買い控えがあったと考えられるため、さほど気にすることはないかもしれません。

 むしろ、今週の焦点となるのは、ここ直近で上値の抵抗となっている75日移動平均線を上抜けて、2万9,000円台乗せを達成できるかになります。

■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2021年12月30日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2にもあるように、足元の日経平均は「三角もちあい」を形成中です。

 一般的に、もちあいは株価の上げ下げを5回繰り返すと完成と見なされます。8月20日を起点とした場合、現在は上限の線に向かって5回目の動きをトライしている最中であることからも、先ほど述べた2万9,000円や75日移動平均線の節目超えが重要な意味を持ちます。

年末の米株市場は節目を突破

 また、節目超えといえば、先週の米株市場も節目を超えています。

■(図3)米NYダウ(日足)の動き(2021年12月31日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のNYダウ(ダウ工業株30種平均)は、上値の抵抗となっていた、3万6,000ドル台や11月8日を起点とする下向きのギャン・アングルの8×1ラインといった節目を突破し、29日に終値ベースの最高値、30日にはザラバの最高値を更新しました。

 その後は、日経平均と同様にやや失速しましたが、今後は、これまで抵抗となっていた節目をサポートに上昇できるかが焦点になります。

■(図4)米NASDAQ(日足)の動き(2021年12月31日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 米NASDAQも週初に大きく上昇し、ネックラインを超えて、ダブルトップからのダブルボトムが完成しています。

 ただ、その後はローソク足の陰線が続き、再びネックライン付近まで失速しているため、このネックラインがサポートとなって再び上昇し、1万6,000pを目指せるかが今週の焦点になります。反対に、下落が続いて、50日や25日移動平均線を下抜けてしまうと下げが加速してしまう可能性があるため、注意が必要です。

■(図5)米S&P500(日足)の動き(2021年12月31日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 S&P500についても、先週のあたまに大きく上昇し、これまでのザラバ高値(11月22日の4,743p)を上放れして最高値を更新しました。

 ただ、4,800p水準で上値が抑えられているほか、上昇ウェッジを形成しつつあるように見えます。上昇ウェッジについてはこれまでのレポートでも何度か紹介しましたが、あまり良くない形とされていますので、先週末にかけての失速がどこで止まるかによって、株高基調が続くかどうかが注目されそうです。

今週の米国株はNASDAQとS&P500に注目、日本株は2万9,000円台トライに期待

 また、S&P500については、下の図6のエンベロープにもあるように、株価がプラスマイナス3%の範囲内で推移していることが分かります。

■(図6)米S&P500(日足)のエンベロープ(2021年12月31日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 足元のS&P500はプラス3%あたりで跳ね返されつつあるように見えますので、このまま上昇が一服するか、それとも、移動平均線の向きが上向きとなり、それに沿って株価も上昇していけるかを見極める状況にあります。

 そのため、今週の米国株はまだ高値を更新できていないNASDAQと4,800pの新たな節目で上値が抑えられているS&P500の動きが注目されます。

 日本株市場よりも早く2022年相場を迎えた3日(月)の米株市場はNYダウとS&P500がそろって最高値を更新しており、日経平均もこの流れに乗って、2万9,000円台を試す動きが期待されます。

 ただ、今週末に月初恒例の米雇用統計の発表を控える中、OPECプラス会合を受けた原油価格の動きや、中国12月PMI(購買担当者景気指数)の発表が予定されており、様子見ムードが強まる展開には注意しておく必要はあります。

 したがって、今週の株式市場は、年末に超えた節目を上放れてスタートダッシュできるかが試される週になりそうです。