今週の予想

上値が重い展開、新春の上放れに期待

 今週は、2021年最終週となりますが、注目のイベントもなく、先週に引き続き上値の重い、方向性に欠ける展開が予想されます。

 ただし、米国株式の反発が続けば、先週、欧米株の上昇の割に伸びなかった日経平均は、クリスマス休暇を終えた外国人投資家の買いが戻れば、それなりの上昇の可能性があります。

 その場合、チャートは、2万9,100円を終値で超える動きにならないと大きな上昇とはなりにくいといえます。

 先週は、2万8,000~2万9,000円の中で、安値は20日(月)の2万7,893円で高値は24日(金)の2万8,870円と下限を少し切ったところから、上限に少し足らないところまでの上昇となっています。

 一見すると2万8,000~2万9,000円の中の上下動(もみあい)と単純にみえますが、実際はチャートの型としては、柴田罫線の日経平均のチャートの中で示しているように、9月14日の高値3万795円からの下に伸びた上値抵抗ラインと8月20日の安値2万6,954円から上に伸びた下値抵抗ラインが交錯するA(日経平均のチャートを参照)を接点とする三角保ち合いを形成しています。

 チャートをよくみると、先週の20日の安値2万7,893円、24日の高値2万8,870円は、この三角保ち合いの中に収まっています。そして、この三角保ち合いの中で、2万9,100円水準を終値でぬけると目先の上放れとなって11月4日の2万9,880円を試す可能性を示しています。

 先週は、週の終値2万8,782円は、25日移動平均線(24日時点2万8,601円)や26週移動平均線(2万8,668円)を上回っており、終値でこの水準を守っていれば2万9,100円水準を突破し、3万円を目指すことも可能なため、年内は駄目でも2022年1月相場は期待できるかもしれません。

 そのためには、目先のフシを1つずつ突破していく必要があります。(詳しくは日経平均のチャートをご参照)

 年末の期待として、一気に需給好転による掉尾(とうび)の一振も考えられますが、薄商いの中で、米国株式の上昇が続きタイミングよく買い仕掛けがあれば一気に2万9,000円突破もあり得ますが!

 上述した柴田罫線の保ち合い分析は、日足、週足チャートでみると上値は2万9,500円近辺、下値は2万7,700円近辺にあり、どちらに放れるかとなります。

 しかし、勢いとしては上に向いており、騰落レシオも70%台から85%台へと上昇しかかっており、新春は保ち合いの上放れが期待できるところです。

今週の指標:日経平均株価

 今週も市場ボリュームは低水準にとどまるとみられ、そうなると先週のように2万9,000円に接近するともみあう展開となりそうです。

 柴田罫線のチャートをみてわかるように、この半年間は8月20日の2万6,954円を安値とし、9月14日の3万795円を高値とする三角保ち合いを形成しており、現在はこの中で煮詰まり2万8,000~2万9,000円のレンジ内での動きとなっています。

 先週は、安値12月20日の2万7,893円の下値のフシで止まり、その後は24日の2万8,870円まで上昇。前週2万9,100円以上を超すと上放れとしましたが、この保ち合いをみるとよく分かります。

 この三角保ち合いを上放れすると次は11月4日の2万9,880円です。ここをぬけると3万円挑戦となります。

先週の動き

 先週の予測では、2万8,000~2万9,000円のレンジの中で上下動としました。

 結果的には、20日(月)の▲607円の2万7,937円の大幅安を目先の底にして反発し、NYダウも大きく戻りを試す動きとなっていたことで、日経平均も21日(火)~23日(木)は3日続伸となり、週末は▲15円の2万8,782円と小幅反落で引けました。

 チャートをみると2万8,000~2万9,000円の中のもみあいというより、2万8,000円を少し切って2万9,000円まで戻りを試す動きといえました。クリスマス休暇で外国人投資家が参加しておらず、薄商いの中を先高期待で戻したという状況でした。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 新年度に向けた新たな投資が相場を押し上げることが期待できます。オミクロン株の感染拡大が警戒感から相場に悪影響を与える場面もありますが、コロナへの脅威は後退しつつあります。

 また、バイデン政権は欧州諸国と違い、経済封鎖(ロックダウン)を回避する方針であることも回復を後押しすることになります。

 株式投資の恐怖心理の程度を示すVIX指標は低下し、投資意欲も再燃しつつあります。

先週の動き

 先週の予測では、クリスマスを控えて市場参加者が限定的となり調整色が強まるという見方とFOMC(米連邦公開市場委員会)通過で金融政策の方向がハッキリし、投資しやすくなるという2つの見方があるとしました。

 週始めは前週末の急落を引き継ぎ、FRB(米連邦準備制度理事会)の金利引き上げを嫌気し、またオミクロン株の感染拡大もあり、17日(金)の▲532ドルに続き、20日(月)は▲433ドルの3万4,932ドルと1,000ドル近い下げとなりましたが、その後はリスク回避の巻き戻しとなり、21日(火)+560ドル、22日(水)+261ドル、23日+196ドルと3日続伸で3万5,950ドルと反発しました。24日(金)は、クリスマス休場でした。

今週の指標:ドル/円

 年内は、動意薄の状態が続くとみられていますが、年明け後に米雇用統計の改善が確認された場合は、FRBによる早期利上げへの期待が高まり、ドル売りは抑制されることになります。

 市場ではバイデン政権の1.8兆ドル規模の社会保障などの政策が注目されますが、党内調整が難航した場合、米経済の成長鈍化につながるため、足元のドル買いを抑制することになります。

先週の動き

 先週は、欧米諸国の株高を意識してドルを含めた主要通貨に対する円売りが優勢となりました。12月23日の個人消費支出は前年同月比+4.7%と予想を上回り、2022年度は3回の利上げの可能性が高まったことで、ドル買い・円売りを促しました。

 また、オミクロン株の感染拡大への警戒感が低下してリスク回避の円買いは縮小し、週末の24日のクリスマス休日で閑散相場でしたが、ドル/円は下げ渋り114.41円で引けました。

先週の結果

外国人投資家がクリスマス休暇で、2万8,000~2万9,000円の中での上下動

 先週の予測では、年末高の期待はあったものの、今年のFOMC後の動きをみてみると日本株の動きはあまりよくありません。

 例えば、前回11月3日のFOMCの声明後は、翌日に日経平均は273円上げたものの、5日から4日間続落となっています。9月22日、6月16日、3月17日のFOMCのあとの日経平均は全て下げています。

 この動きの背景は、FOMC直後に買い戻しで上昇するものの、買い戻しが終わると戻り売りが出てくるためと思われます。

 今回は、下げるという状況にはなりませんでしたが、市場の期待はほとんどが12月相場は3万円のせと言っていただけに、FOMC後は2万8,000~2万9,000円の中のもみあいで2万9,000円に接近するのがやっとの状況となっています。

 週始めの日経平均は、先週末のNYダウは、FRBが金融引締めに転換したことを嫌気し、▲532ドルと大幅下落となったことに連動し、▲607円の2万7,937円と2週間ぶりに2万8,000円を割り込みました。

 しかし、21日(火)は、前日のNYダウが引き続き▲433ドルと大幅続落となりましたが、日経平均は、時間外で米株先物が高くアジア株も高かったことで、一時+595円の2万8,533円まで上昇し、終値は+579円の2万8,517円と大幅反発しました。

 22日(水)は、前日のNYダウが+560ドルと4日ぶりに反発したものの、日経平均は+44円の2万8,562円の続伸でした。外国人がクリスマス休暇で参加者が少ないため売買代金も1兆989億円と5カ月ぶりの2兆円割れとなりました。

 23日(木)は、前日の米国市場では、リスク回避の巻き返しが続き、NYダウは+261ドルの3万5,753ドルと2日続伸したことで、日経平均も+236円の2万8,798円と大幅に3日続伸の高値引けとなりました。

 特別に上昇する理由はないものの、年末に入り先高期待と欧米株高を受け、特に売る理由もないので続伸になったというところです。

 週末の24日(金)は、昨日の米株高で買いが先行し、+37円の2万8,836円で寄り付き、+71円の2万8,870円まで上昇するものの、ここが限界で後場になると戻り売りに伸び悩みマイナスに転じ、一時▲24円の2万8,773円まで下げ、終値は▲15円の2万8,782円と4日ぶりの小反落となりました。

 市場の声は開店休業状態で商いは薄く、こんな中でオミクロン株が「都内で市中感染」確認報道を受け、上値を重くしました。週末の米国市場は休場でした。