今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは114.90

下値メドは113.05
 

 [インフレ] FRB政策の重点は雇用からインフレへと転換
 [インフレ] メキシコのインフレが止まらない。上昇率7%超え、20年ぶりの高水準

 21日(火曜)のドル/円は円安。高値114.22円、安値113.55円、1日の値幅0.67円。 
この日は113.58円からスタート。東京時間朝に113.55円まで微かに下げて反発。しばらく113.70円前後でもみ合いましたが、NY時間(日本時間未明)に114円を上に抜けると114.22円まで上昇。終値は114.10円(前日比+0.47円)

 113.90円から114円を走る抵抗ゾーンをいったん抜けて次のターゲットは15日につけた114.27円。FOMCが緩和縮小ペースの倍速を発表した時の高値です。ただ、この時は114円台の滞在時間は短く、すぐに113円台半ばに押し戻されました。115円チャレンジのためには、今日の海外市場まで114円台を維持できるがどうかがポイントになります。

 多くの中央銀行がFRB(米連邦準備理事会)やBOE(イングランド銀行)に続けと量的緩和を終了し、利上げサイクルに入ろうとしています。来年は日銀と世界の中央銀行の政策かい離(量的緩和継続と引き締め開始)が一段と鮮明になり、金利差拡大でいえば円安。ただクリスマスと年末で世界的に流動性が低下する今は、ポジション積み増しよりも利食いが優先。勝負は来年1月3日からでしょう。

 トルコリラは乱高下。週明けは対ドルでついに1ドル=18リラを超え、対円では今週中に5.00円台突入かと覚悟していましたが、逆に10.25円まで大幅反発。ドル/円でいえば1日で114円から38円まで動いたような衝撃です。

 急反発の理由は、銀行の金利よりリラの下落が大きくなった場合に、リラ建て預金の損失を補填するとトルコ政府が発表したこと。ただしリラ建て預金への損失補填は、期間3カ月以上のまでの個人預金に限定。個人預金の平均期間は45日なので、実際は多くが対象外ということになります。いずれにしても、新興国では、為政者の意志に強く逆らってはいけないということです。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
出所:楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

 ※12月23日~29日の為替Walkerは、休載します。次回は12月30日掲載です。

今日の為替トレッキング

今日の一言

この世には結果だけが残る、だから結果を重視せよ

Close To You

 FRBは2021年最終となる12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合において、1月から緩和縮小のペースを毎月150億ドルから300億ドルに倍増することを決定しました。国債と住宅ローン関連の証券を合わせて月額1,200億ドルの量的緩和は、4カ月後の来年3月末には終了します。FRBは、膨張したバランスシートを安定した状態に戻すために走り出しました。

 緩和縮小のペースを速める理由について、FOMCは次のような声明を出しています。「最近の雇用市場は堅調で、失業率が著しく低下するなかで、インフレは想定以上の期間にわたって目標を上回っている」米国経済は予想を遥かに上回るスピードで回復し、これ以上量的緩和という助けは必要しない、ということです。インフレについては、これまでの見解を完全に変更。雇用対策よりもインフレ抑制を優先することを決めました。

 緩和縮小だけではなく、利上げも前倒しされる可能性が高くなりました。ドットチャートによると、2022年3回、2023年3回、2024年2回の計8回が予想されています。

 前回9月FOMCでは18名のうち9名が据え置きで、9名が利上げ(1回が6名、2回が3名)でした。

 今回は10名が3回の利上げを予想しています。2022年の金利予想の中央値は0.25%から0.875%に大幅に上昇。

 2023年の金利予想の中央値も、1.00%から1.625%に引き上げられ、市場が示唆する水準を上回りました。予想は1.625%を中心に上下にほぼ均等に分布していますが、最も高い予想は2%を超えています。2024年の金利予想の中央値は1.75%から2.125%に上昇。最も高い予想は3.00%にまでなっています。

 ドットチャートがこれだけ強気であるのに、金利上昇と相性が悪い株式市場は、なぜ上昇するのか。それは、投資家が気にしているのは、2022年に何回利上げするかではなく、利上げサイクル全体で何回利上げするかということだからです。

 供給インフレを引き起こした主因が流通網の目詰まりです。その問題が解消するにつれて将来利上げする必要も薄れてくる。2023年以降の利上げ回数はドットチャート予想よりも少なくなる、もしかすると2022年の3回だけでFRBが利上げを終了する可能性もゼロではない。利上げが早くなるほど、利上げサイクルも早く終了すると株式市場は考え安心しているのです。

 しかし、オミクロン変異株の感染拡大によって、流通網の修復がさらに遅れる懸念がでています。FRBは2022年の利上げ開始を遅らせる必要があるかもしれない。しかし、その先に待っているのは何か?インフレを放置した時間を取り戻すためより急激でより大幅な利上げです。ドットチャートに平然としていたマーケットがオミクロン変異株のニュースで動揺しているのは、このような理由からだと考えます。

今日の注目通貨:ドル/円

今週の予想レンジ ↑114.83円 ↓112.58円  

 今週のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は113.70円。
113.70円より上ならばドル買い優勢、113.70円より下ならばドル売り優勢。

2021年これまでの高値は115.52円、安値は102.59円。平均値は109.06円。
1日の最大値動きは2.32円、最小値動きは0.18円。平均値動きは0.59円。
2021年のこれまでの値幅は12.92円。

115.52円 :     2021年 高値
115.51円 :     2017年 03月 高値 
115.26円 :     第4レジスタンス(HBO)

114.83円 :     第3レジスタンス
114.40円 :     第2レジスタンス 
114.27円 :     12月 高値
114.27円 :     第1レジスタンス

113.70円 : ピボット

113.62円 :     12月 61.8%
113.41円 :     12月 平均値
113.21円 :     12月 38.2%
113.14円 :     第1サポート
113.01円 :     第2サポート

112.58円 :     第3サポート
112.56円 :     12月 安値

111.98円 :     第4サポート(LBO)

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

2021年 ドル/円データ

 ※12月23日~29日の為替Walkerは、休載します。次回は12月30日掲載です。