フィナンシャル・タイムズが「ヘッジファンドが金融混乱を背景に安全資産への逃避を図り、1000億ドルをマネー・マーケット・ファンド(米財務省が保証している)に移した」と報道している。質・安全・単純への逃避が続いており、これまでレポートで述べてきた【現金】のバブルは進展中である。
金融安定化法案をめぐる思惑で市場は一喜一憂を繰り返している。日本時間26日の上院銀行委員会のドッド委員長は、日本時間26日の早朝に「米金融安定化法案に民主・共和両党が原則合意」と発表したが、ホワイトハウスでの会合後は「共和党から代替案(モーゲージ保険スキーム)が浮上し、交渉進展が危うくなってきた」と語っており、米株高を受けてNY市場では堅調だったドル/円は東京市場で急反落している。
金融安定化法案が早期合意に達する期待がしぼんだことで、26日の東京市場は重苦しい雰囲気につつまれている。ブッシュ大統領が「政府と議会において早期の合意望む」と危機感を訴えていることや、民主党が議会の多数派であることなどから、遅かれ早かれ金融安定化法案は成立するのではないだろうか。仮に、金融安定化法案が否決されれば、信用収縮・金融不安の再燃となる。
ATR(アベレージトゥルーレンジ)を観測すると、相場の変動幅は縮小傾向に転じ始めており、極端なリスク回避による円買い相場はとりあえず一旦収束にむかっているようにみえる。また相場の10週間程度の周期からいってもドル/円は修正高の局面にあり、9月末までは極端なドル安は回避されると思われるが、金融不安の最中の予断を許さない相場環境なので資産管理に重点をおいた運用をこころがけたい。
円相場の相場変動幅(ATR)の動向
ドル/円およびクロス円市場は“円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する”という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間では円の売り放置やキャリートレードはリスクが高くなる。筆者はデイトレードおよびスウィングトレードでも緑の期間は円売り、黄色の期間は円買いを中心にしている。2008年相場ではうまく機能しているが、ATR上昇で円安、ATR下落で円高となった局面も過去には多いので注意されたい。
- ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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- 豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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- ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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- ランド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
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さて、9月24日の「外為マーケットリポート第2回」17:00~17:30
について補足しておきたい。以下のチャートはADX(方向性指数)とユーロ/ドル、およびドル/円の推移である。黄色の部分がADXの上昇期、水色の部分がADXの下落期である。ADXによる相場の判定では黄色のADX上昇期は相場が方向性をもっているということになる。筆者はこの黄色の部分で相場がボリンジャーバンドの1σの外側に飛び出してきたら順張りを行うのが確率的に有利だと思っている(それが正しいかどうかはわからない)。黄色の部分は相場の期待収益が高い時間帯だと思われるが、黄色の部分のように相場が方向性を持つ時間帯は限られている。水色の保合相場の局面が圧倒的に多い。
- ADX(方向性指数)とユーロ/ドル(日足)
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- ADX(方向性指数)とユーロ/ドル(日足)と1σの外側での相場
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- ADX(方向性指数)とドル/円(日足)
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- 楽天FXチャート ユーロ/ドル(日足)とボリンジャーバンド
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- 楽天FXチャート 豪ドル/円(日足)とボリンジャーバンド
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- 楽天FXチャート ドル/円(日足)とボリンジャーバンド
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