今週の予想

FOMC通過後の12月後半は注意が必要

 先週15日(水)の日経平均は、注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)がキッカケとなり、いったん大きく上昇しました。しかし、それがそのまま上昇のキッカケとはならず、翌日16日(木)、上昇分をほとんど吐き出す下げとなっています。

 これは、FOMCが明確に金融緩和策の転換を加速、世界の中央銀行がインフレ対応のため緩和縮小に向かう中、日本はやや特殊な環境に置かれ、独自の金融政策であることから、日本株は不安視された面があります。

 各国がインフレを警戒する中、日本は物価上昇が穏やかで17日の日銀金融政策決定会合では、緩和策の維持を決めています。

 新型コロナウイルス感染状況をめぐっても経済再開の動きを止める状況にはなく、目先は各国に比べて相対的優位性を見いだすことができます。しかし、日本でも新型コロナの感染が少しずつ増加しており、気になるところです。

 今週の日経平均は、米国の状況を見ながらの2万8,000~2万9,000円のもみ合いとなりそうです。

 日経平均のチャートを見ると、16日で+606円の2万9,066円という大きな上昇は、2万8,800円台にある25日移動平均線と200日移動平均線を突破。目標に設定していた2万9,100円には目先で最後の75日移動平均線(16日時点2万9,095円)があり、ここは突破できませんでした。

 75日移動平均線を抜ければ年内に2万9,500円も期待できるところでしたが、週末の17日は▲520円の2万8,545円と急反落しています。

 2021年のFOMC後の動きを見ると、日本株の動きはよくありません。FOMC直後には買い戻しで上昇しましたが、買い戻しが一巡すると改めて売りが出てくる動きとなっています。この動きが続くとすれば12月後半は注意が必要となります。

今週の指標:日経平均株価

 先週の予測では、新型コロナのオミクロン株の警戒感は和らぐ中、米国の14~15日のFOMCでの金融政策が注目としました。

 FOMCの結果がよければ、これをきっかけに、日経平均はまず2万9,000円台回復となりますが、そのためには2万9,100円を終値で突破する必要がありました。

 結果的には、週前半は12月14日の2万8,309円まで押し目を入れ、FOMCの結果を受けた16日は+606円の2万9,066円と3週間ぶりに2万9,000円台を回復。

 しかし、想定した2万9,100円を突破することができず、週末の17日(金)は手掛かり材料難から一転して▲520円の2万8,545円と急反落しました。

先週の動き

 先週の動きは、FOMCの結果を受けて不透明感がなくなったとの見方で、NYダウが大幅上昇。日経平均も連動しましたが、週末はその上げを打ち消す下落に。引け後のNYダウも▲532ドルの3万5,365ドルと同じように大きな下落となっています。

 世界の中央銀行はインフレ対応のための金融緩和の縮小を明確にしていますが、日本は今後どうするのかが、相場の変動要因となります。

 クリスマス・年末相場に入ってきますが、外国人は冬の休暇に入りますので、買い手不足で国内投資家中心の売買となりそうです。2万8,000~2万9,000円のレンジの動きが想定されます。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 先週はオミクロン株の感染者が急増したことで、消費への影響が懸念され相場の重しとなり、相場はFOMCの発表後に上昇も、週末は下げてしまいました。

 今週は、クリスマスを控えて参加者も限定的となり調整色が強まる可能性があります。別の見方ではFOMCが通過し、新年度に向けて新しい投資もしやすくなるため、底堅い展開との見方もあります。

先週の動き

 先週の予測では、14~15日開催のFOMCに注目とし、インフレ対策としてのテーパリング(量的緩和の段階的縮小)の終息と利上げについての発言で、株価がどう動くかとしました。

 週前半はオミクロン株への警戒感から下落しましたが、FOMCの声明でテーパリングを2022年3月ごろに終結し、6月から3回ぐらいの利上げを見込むと発表したことで、不透明感が後退。15日の米国市場は主要3指数そろって大幅上昇となりました。

 しかし、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めにかじを切ったことが嫌気され、週末17日のNYダウは▲532ドルの3万5,365ドルと大幅安で引けました。

今週の指標:ドル/円

 FOMCの結果を受けて長期金利が上昇した場合、ドル買いが縮小する可能性は低いものの、主要中央銀行の金融政策発表などの結果に伴いリスク選好的なドル買いは縮小するとされています。新たなドル買い・円売り材料が出ない限り、ドル買いは縮小しドルの上値は重くなると予想されます。

先週の動き

 14~15日のFOMCで量的緩和の縮小規模を150億ドルから300億ドルに拡大。2022年と2023年にそれぞれ3回の利上げを想定していることが判明したことで、ドル/円は114円台前半までドルが買われました。

 しかし、オミクロン株の警戒感からドル買いは続かず、17日には一時1ドル=113.14円まで下落。113.71円で引けました。

先週の結果

日経平均はFOMC後いったん2万9,000円台回復も、すぐに反落して終わる

 先週の予測では、米国のFOMCを受けて、2万9,000円を回復することができるかどうかとしました。

 12月3日の安値2万7,588円からの切り返しで、9日(木)は2万8,908円と2万9,000円まであと100円足らずのところに接近。チャートは戻りの正念場に入っていますので、先週のFOMCをきっかけに2万9,000円の回復を期待していました。

 ただし、2万9,000円を確実に回復するためには、まず、目先の2万9,100円以上(75日移動平均線は15日時点で2万9,076円)で終わる必要があるとしました。

 結局、14日(火)に2万8,309円の安値をつけ、16日は前日の米国でFOMCが予想の範囲内で終わったことで目先の不透明感がなくなり、米国株の主要3指数は大幅上昇。

 これを受けて日経平均は2万9,070円まで上昇するものの、終値では2万9,066円となり、想定した2万9,100円を突破できませんでした。週末の17日(金)は▲520円の2万8,545円で終わりました。

 週明けの13日(月)は、前週末の米国で11月CPI(消費者物価指数)が39年ぶりの高い伸びとなったものの予想の範囲内ということで主要3指数はそろって上昇。

 S&P500種指数は終値で史上最高値更新となったことで、日経平均はこれを好感して2万8,793円まで上昇、終値は+202円の2万8,640円となりました。

 14日は、英国でオミクロン株の感染者が1人死亡したとの報道を受け、13日の米国株が主要3指数そろって大幅安に。これにつれて日経平均も2万8,309円まで下げ、終値は▲207円の2万8,432円でした。

 15日の日経平均は、朝方で売りが先行し▲74円の2万8,358円で寄り付いた後、一時+93円の2万8,525円まで反発。しかし中国の経済指標が重荷となり、さらにFOMCも控えていることで、+27円の2万8,459円と小反発で引けました。

 16日は、FOMCでテーパリングを来年の3~4月までに終了し、6月より年3回の利上げを行うという明確な見通しが示されたことで、15日の米国市場で不透明感が後退。主要3指数は大幅高となり日経平均も追随し、+408円の2万8,868円で寄り付くと+584円の2万9,044円の高値をつけました。

 後場になっても高値圏での動きが続き、大引け間近になると+610円の2万9,070円まで上昇し、終値は+606円の2万9,066円でした。75日移動平均線は15日時点で2万9,076円でしたので、上値を抑えられた形となりました。

 週末の17日は、前日の米国市場でNYダウこそ▲29ドルの3万5,897ドルと小反落でしたが、ナスダック総合指数が▲385ポイントの1万5,180ポイントと大幅下落。これにより日経平均はハイテク株中心の売りとなって、▲211円の2万8,854円で寄り付き、前場は2万8,800円水準での小動きで▲266円の2万8,779円の前引けでした。

 しかし、後場になると、日銀金融政策決定会合で新型コロナに対応した資金繰り支援策の縮小を決めたことをきっかけに、一時▲563円の2万8,503円まで下落し、終値は▲520円の2万8,545円で引けました。15日の上昇分(+606円)のほとんど帳消しとなってしまいました。

 週末17日(金)の米国市場は、世界の中央銀行が金融正常化へ舵を切り、緩和縮小に動いたことで警戒感が高まり、NYダウは▲532ドルの3万5,365ドルと大幅下落となりました。

 ナスダックの下げは▲10ポイントと小幅でしたが、NYダウの大幅下落は週末の取引となったほか、株価指数先物、オプション、個別株オプションなど、最終売買日が集中したことで、ボラティリティーを高めた下げとなりました。