先週の米国株急落でつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の投資成績が気になる人も多いはず。「トレンドマーケットスクールTOKYO」では乱高下の続く株式市場が落ち着くかどうかを展望します。

欧州でも金融引き締めで米国株急落。日本株はかろうじてプラス!

 今週12月20日(月)から24日(金)の株式市場は先週同様、乱高下が続きそうです。クリスマス休暇が近づき取引量が落ちることもその要因です。

 先週後半は、16日(木)未明に米国FOMC(連邦公開市場委員会)が決定した金融政策の大転換に翻弄(ほんろう)されました。

 同FOMCでは、

・米国中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)が量的金融緩和の縮小額を2倍に早め、2022年3月頃に前倒して終了する
・2022年中に3回の利上げを行う見通し

 といった点が明らかになりました。

 予想以上の引き締めはなかったことで、当初、米国株は急騰。16日の日本株も大幅上昇しました。

 しかし、翌16日の米国株はほぼ前日の上昇を帳消しにするほど下落しました。

 同日、イングランド銀行(英中央銀行)が先進国では初となる0.25%の利上げを発表、ユーロ圏のECB(欧州中央銀行)も量的緩和策を2022年3月末で終了すると発表したことが打撃になりました。

 金利が上がると、お金を借りて株に投資している投資家の資金が市場から逃げ出すため、株価が下落する要因になります。

 新型コロナウイルス禍からの経済再開で記録的なインフレが進む中、世界各国の中央銀行がこぞって金融引き締めを強化しつつあることに、改めて市場がおびえる展開になりました。

 翌17日(金)の日経平均株価も前日比520円安の2万8,545円で終了。

 17日夜の米国株は続落し、金利上昇に弱いハイテク成長株が集まるナスダック総合指数は週間で2.95%の下落、S&P500は1.9%安、NYダウは1.7%安となりました。

 FOMC以外では、14日(火)の衆議院予算委員会で岸田文雄首相が株価の下支え役である「自社株買い」の規制に理解を示す発言をし、株式市場に冷や水を浴びせました。

 17日(金)の日銀金融政策決定会合でも、コロナ対策の社債買い入れを2022年3月末で終了することが決定。株価下落につながりました。

 とはいえ、日経平均株価は米国株に比べてすでに低迷していたこともあり、前週比ではプラス0.4%とかろうじて上昇。ただし、弱い動きには変わりありません。

割安高配当株が注目される。IPOラッシュで新興株は要注意

 週明け20日(月)の日経平均株価終値は、先物市場で米国株が続落したこともあって、前日比607円安で再び2万8,000円を割り込みました。

 今後、年末年始の相場はいったい、どうなってしまうのか、と心配の方も多いでしょう。世界の株式市場が再び上昇機運に戻るためには何が必要なのでしょうか?

 各国中央銀行が金融引き締めを急いでいるのは物価上昇のせいですが、物価が上昇するとお金の価値は相対的に下がります。その点、株式は企業という一種の「モノ」に投資しているので、インフレに強い金融商品とされています。

 しかし、現在の株式市場には、物価高や金融引き締めで、今後景気が悪くなるという懸念が台頭。それが株安につながっています。

 たとえ中央銀行が利上げに走っても、景気自体が好調で企業の業績も伸びるという期待感があれば、株価も上昇に転じるでしょう。

 また金融引き締めが続く中では、割高な成長株より、業績に比べて株価が割安で配当利回りが高い株に対する人気が高まる可能性もあります。

 状況が落ち着いてくれば、世界的に見て割安感が強い日本株が見直される可能性がないとは限りません。

 ただ、今週は欧米で新型コロナウイルスの変異株・オミクロン型の感染が拡大していることも、株価続落の要因になりそうです。

 特に東証マザーズなど新興市場では22日(水)に6社、24日(金)に7社など、過去最高レベルのIPO(株式新規公開)ラッシュが控えています。

 IPO株を買う資金捻出のため、他の新興株が売られる可能性があり、東証マザーズ市場の動向が心配です。

 注目すべき経済指標としては22日(水)に米国が発表する12月の消費者信頼感指数。物価高に直面する米国消費者の景況感を探るうえで大切です。

 23日(木)に発表する11月個人消費支出の物価指数(PCEデフレーター)にも大きな関心が集まるでしょう。

 10月の同指数は前年同月比5.0%と上昇が加速しており、今回の予想値は5.7%の伸び。それを上回るようだと株価にも大打撃です。

 日本国内でもコロナの変異株・オミクロン型の市中感染が危ぶまれ、感染者増加に警戒が必要です。

 クリスマスで取引量が減る中、突発的な動きが起こる可能性もあるので注意しましょう。