2008年のドル/円相場


(出所:石原順、ブルームバーグ)

2007年のドル/円相場


(出所:石原順、ブルームバーグ)

今年のドル/円相場は昨年の相場パターンとそっくりで、現在、「黄色のマルの部分」に位置している。このパターンをなぞっていくと、ドル/円相場は一旦大幅に戻すことになるが(7月17日には一時107円09銭まで上昇)、結局、年初来高値は更新せずにその後は円高に反転することになる。したがって、アニバーサリー的には注意を要する時間帯にあると思われる。

ドル/円(日足)支持線・抵抗線


(出所:石原順、ブルームバーグ)

7月16日のドル/円の安値103円79銭は、3月からのドル上昇幅の38.2%押しのレベルであり、目先の底をつけた可能性もある。現在、米金融当局が具体策をどんどん取っていることを考えると、「当局とケンカするな」という観点からドルは売りにくい。原油価格も急落しており、目先はドルの押し目買いが有効に思われる。ただし現在の相場はまだ108円台からの下落調整の範疇にあり、現在のドルの戻りは限定される可能性も大きく、108円60銭を超えない限りはドルの反転リスクに対する備えが必要だろう。

7月17日にバーナンキFRB議長は「無秩序な市場は為替介入を正当化させる」「一定の状況下では為替介入は正当化される可能性がある」と発言し、先のポールソン米財務長官に続き「ドル買い介入」の可能性を示唆している。米国がドル高政策をとったのは今年を含めて過去5回ある。現在ドルは過剰に供給されすぎており、ポリシーミックスからはドル高は持続しない。したがって、今後ドル安トレンドが本格的に転換するには「利上げ」か、あるいは有無をいわさぬ「実弾介入」のいずれかが必要になると思われる。おそらく現在のドル高政策は大統領選挙までは継続されるだろう。しかし「口先介入」の賞味期限は限られることから、逆に時間がたてば市場は「実弾介入」を試すためにドルを売って催促相場をやる可能性がある。

ドル/円(月足) 米国が明確にドル高政策を打ち出したのは今年を含め過去5回
(1973年・1977年・1987年・1995年・2008年)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

今週の外為市場は上下動が激しくなっている。教科書的には高値圏での乱高下相場はトレンドの反転が近いことを示唆するシグナルである。このような変動率(ボラティリティ)や値幅が増幅している局面では(金利収益に重点をおいた円キャリートレードは休止して)、短期売買とポジションの縮小に徹したい。トレンド(方向性)のある相場というのは、ジリジリと上がったり下がったりする相場のことを言う。現在のような急騰・急落はトレンドが出ているとは言い難く、デイトレードが基本となる相場環境である。

先週はオプションのガンマプレイによって低下傾向で推移していたATRは、今週に入り(豪ドル/円を除いて)反転上昇している。昨年の相場展開を考えれば、ここは無理をせずに「デイトレード」か「様子見」の局面であろう。

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(注:ATR上昇でも円安トレンドが発生することはある)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(注:ATR上昇でも円安トレンドが発生することはある)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(注:ATR上昇でも円安トレンドが発生することはある)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ランド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(注:ATR上昇でも円安トレンドが発生することはある)


(出所:石原順、ブルームバーグ)