天然ガス高騰で利幅悪化も今後は状況改善へ、昆侖能源などに強気見通し

 中国のガス販売セクター(主に都市ガス)はこの冬、上流の天然ガス価格の高騰を受けた利幅の悪化に直面している。ただ、BOCIは2022年には、こうしたコスト圧力が緩和に向かうとの見方。中国によるスポットLNG(液化天然ガス)購入量の減少見通しや日本のガス需要の縮小観測をその理由に挙げた。半面、ガス販売量の伸びは今後も続き、ガス管接続業務も横ばいに推移すると予想。セクター全体に対する強気見通しを継続し、昆侖能源(00135)と中国ガス(00384)をトップピック銘柄としている。

 川下のガス販売会社は現在のところ、天然ガス調達価格の上昇分を大口顧客に全面転嫁することが難しい状況にある。BOCIはこれにより、2021年12月通期の単位(1立方メートル)当たり利益が、2021年上期比で0.02元低下すると予想している。

 ただ、2022年には状況が改善に向かう見込み。ガス需要の減速や新規のLNG供給契約6件の寄与で、中国のスポットLNG購入量が前年比で28%ほど縮小するとみられることが一因。また、低炭素化に向けて原発再稼働に動く日本の需要が前年比2%減少するとみられることも一因という(国際エネルギー機関=IEA予想)。現在のコスト圧力が2022年1-3月期まで続く見通しから、BOCIはセクター全体の2022年通年の単位当たり利益が0.01元上向くと予想。現時点ではかなり控えめに見積もっている。

 中国の2022年の天然ガス需要に関するBOCIの予想は前年比8%増。工業用需要の鈍化を理由に、前年の推定13.5%増からの減速を見込む。半面、不動産開発は2022年にペースアップするとみて、ガス管の新規接続業務にはプラスになると見方。大半の銘柄で、同年の新規接続件数がほぼ横ばいに推移するとみる。

 一方、ガス販売各社はグリーンエネルギープロジェクトに投資してきたが、2022年の段階ではまだ、まとまった収益貢献は期待しにくいという。

 BOCIはガス販売銘柄に対するバリュエーション方式をPER(株価収益率)からDCF(ディスカウントキャッシュフロー)に変更した。公益株という性質をより反映しやすく、資本構造や負債指標の違いを把握しやすいと考えたため。これに伴い、新奥能源(02688)と華潤ガス(01193)の目標株価を引き上げ、両社の株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げた。

 トップピック2銘柄のうち、昆侖能源に関しては、積極的な新規プロジェクトの取得で、2022年のガス販売量の伸びが期待できると指摘。LNGターミナルの処理能力も長期的に高水準を維持する見通しを示した。中国ガスに関しては、都市部の暖房供給事業やLPGスマート・マイクログリッド事業が成長エンジンになるとみている。

 一方、セクター全体のレーティング面のリスク要因として、BOCIは予想外の需要急増でガス供給のひっ迫が長期化する可能性とガス生産量が低迷する可能性を挙げている。