医療保険向け「医薬品リスト」に製品2種採用、販売急増に期待

現地コード 銘柄名
09995

栄昌生物製薬

(レメジェン)

株価 情報種類

92.80HKD
(12/8現在)

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 バイオ医薬品の開発会社、栄昌生物製薬は12月6日にビデオ会見を行い、「国家医療保険償還医薬品リスト」(NRDL)への自社製品の採用や開発中の新薬候補に関する情報を更新した。それによると、SLE(全身性エリテマトーデス)治療薬のテリタシセプトとHER2陽性胃がん治療用のジシタマブ・ベドチン(disitamab vedotin)が2021年版のNRDLに収載され、BOCIが事前に予想した通りの値下げが行われる見通しとなった。一方、米シーゲン社との提携事業は順調であり、すでに同社から2億米ドルの契約一時金を受け取ったという。BOCIはNRDLに掲載された2種の急速な浸透と販売増を予想。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 経営陣によると、NRDLへの掲載により、テリタシセプト(RC18)およびジシタマブ・ベドチン(RC48)による年間治療コストはそれぞれ約9万元(主要競合他社が手掛けるベリムマブは約5万元)、約25万元となり、掲載前の13万元、22万-30万元(いずれも患者支援プログラムPAPの適用後)から低下する運び。2022年のRC18、RC48の売上高に関しては、それぞれ約3億元、4億元を見込む。

 一方、経営陣は2021年通期のRC48の売り上げ見通しを1億元に据え置く半面、RC18に関する予測を1億元から6,000万元に下方修正した。販売店在庫の削減に向けたイニシアチブの影響や、NRDLへの採用に伴う2022年1-3月の売り上げの変動を回避するために、10-12月期に出荷ペースを遅らせる可能性があることが理由。

 うちRC48の海外での開発事業では、すでにシーゲン社から2億米ドルの契約一時金を受け取った。シーゲンはUC(潰瘍性大腸炎)を適応症とした第2相試験を米国で行う計画であり、2022年1-3月に治験参加者の登録を開始する予定。さらにRC48+PD-1の併用療法に関しても、2022年中に参加者登録を始める予定という。

 中国国内では、RC18は2022年4-6月にもSLEを適応症とした評価結果を得られる見込み。IgA腎症とシェーグレン症候群向けの第2相試験はすでに完了したが、初期的な結果は良好。さらに関節リウマチ向けの第3相試験が2021年末までに終了する予定となっている。また、RC48はHER2陽性胃がん治療薬として、2022年上期にも国家薬品監督管理局の承認を得られる見通しという。2022年末までに、RC18向けに営業スタッフ260-300人を配置し、240都市の医療機関600強をカバーする方針。RC48に関しては約260都市の医療機関約800カ所向けに350-350人を配置する。

 BOCIは経営陣によるガイダンスやNRDL採用による製品値下げ、シーゲン社からの契約一時金の受領と今後のマイルストーン(開発の進捗(しんちょく)に基づく一時期)受け取りの可能性といった要因を加味し、2021-2023年の売り上げ見通しを調整した。DCF方式に基づいて目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。