今週の予想

まず2万9,000円台回復を確実にすることができるかどうか

 日経平均は12月3日(金)に2万7,588円まで下げて下値を再度確認した形となり、今週以降2万9,000円台を回復すれば、当面は確実な底入れを確認する動きとなります。

 期待された11月相場はさえませんでしたが、日経平均のチャートを見ると、12月3日のザラ場安値2万7,588円から切り返して、9日(木)は2万8,908円まで上昇し2万8,725円で終わり、2万9,000円に接近しました。

 その結果、日足の移動平均線(25日線、75日線、200日線)、週足の26週線、52週線に接近、あるいはタッチしたところ。チャートは戻しの正念場にあるといえ、その結果、週末はいったん大きく下げました。

 チャート上で戻しを確認するとすれば、日足の移動平均線では2万9,100円以上、週足では9月14日の高値3万795円からの上値抵抗線が2万9,600円近辺となるので、ここを突破する必要があります。この正念場で2万9,000円を突破できなければ、今年は大納会に向けての動きは期待できなくなります。

今週の指標:日経平均株価

 今週も引き続き、オミクロン株への警戒感が続き、米国での14~15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での金融緩和策が注目となります。市場では、2022年中に複数回の利上げの予想もあり、パウエル議長の発言に注目が集まります。

 今週の日経平均は明確な底入れに向けて、2万9,000円台回復を目指す展開が想定されます。

先週の動き

 先週の予測では、12月10日(金)にメジャーSQ(特別清算指数)を控えており、新型コロナウイルスのオミクロン株への警戒感や米国の金融緩和の方向もあり、乱高下が想定され、日経平均は2万9,000円の上値のフシを突破するのは難しいとしていました。

 結果的には、週始めこそ▲335円の2万7,693円まで下げて▲102円の2万7,927円でしたが、その後は米国でオミクロン株への警戒感が後退。NYダウをはじめ主要3指数が上昇したことで、連動した日経平均は、7日(火)が+528円、8日(水)は+405円と2日連続の大幅高に。

 その後は2万9,000円に接近すると上値は重くなり、9日(木)のザラ場2万8,908円を目先の高値に反落。週末は▲287円の2万8,437円で引けました。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は14~15日に開催される今年最後のFOMCが注目となります。パウエル議長が言及しているように声明文では「インフレが一過性」との文言が削除される見通しです。高インフレが2022年まで続く可能性があるため、資産購入規模縮小の加速を協議する計画です。

 縮小を早期に終了することで、2022年の利上げも可能になります。さらに経済は強く縮小ペースの加速に耐えられるとの見方です。

 全体が判明するまでまだ時間がかかりそうですが、新型コロナのオミクロン株の影響は限定的で、楽観的見方が相場をサポートするという見方が大勢を占めています。

先週の動き

 先週の予測では、新型コロナのオミクロン株の動向をにらんだ展開と、11月米CPI(消費者物価指数)に注目が集まるとしました。

 結果的に、ホワイトハウスの主席医療顧問がオミクロン株の重症化リスクは高くないと発表したことで、米株式の上昇は3日続きました。NYダウは12月6日(月)に+646ドルの3万5,227ドル、7日(火)で+492ドルの3万5,719ドル、8日(水)は+35ドルの3万5,754ドルに。一服して10日(金)は+216ドルの3万5,970ドルで終えました。

 12月10日(金)の上昇は、注目の11月米CPIは39年ぶりの高い伸びとなりましたが、予想の範囲内で材料出尽くしからの上昇でした。

今週の指標:ドル/円

 12月14~15日のFOMCで量的緩和策の縮小ペースは加速に踏み出すと予想されています。ドル買い材料となり得ますが、1ドル=114円台に浮上すれば心理的フシの115円、11月24日の115.52円が意識され、ドル売りが上昇を抑えることになります。

先週の動き

 新型コロナのオミクロン株の初期データによると、ワクチンを接種することで予防効果が高まることや重症化のリスクは高くないとの確認がされ、感染拡大への警戒感は低下しました。これを好感して米国株式は反発し、ドルは12月8日の113.95円まで買われました。

 10日にはバイデン米大統領の「インフレはピークをつけた」との見方が伝わったことで、ドル買い・円売りは縮小するものの、米国株式は強い動きをしていることで、ドル/円は113.40円で取引を終えました。

先週の結果

米国株高を受け、週前半2万9,000円に近づくが、その後、失速

 先週の日経平均はメジャーSQを前に大きな動きとなって、2万9,000円には接近しました。

 先週の予測では、週末の10日(金)にメジャーSQを控えて、日経平均は乱高下の可能性もあるとしました。また、2万9,000円近辺は、25日線、75日線、200日線などの日足の移動平均線が集まっているところで簡単に突破するのは難しく、2万9,000円台を確実に回復するのはメジャーSQが終わり、米国の14~15日のFOMCを終えてからだとしました。

 先週末、注目の11月米CPIは39年ぶりの伸びでしたが、市場の予想の範囲内であったことで米株主要3指数は大幅反発となり、あとはFOMCを通過するのを待つだけとなりました。また、新型コロナのオミクロン株への警戒心から、下値固めの動きが続くことを想定しました。

 オミクロン株は強い感染力を持っていると警戒されていますが、重症者が出ていないことでリスクが後退し、これを受けて米国株式が急騰したことで、世界株高の動きとなりました。

 日本株も連動して週始めの大きな下げのあとの反動も加わって、日経平均は2万9,000円まであと100円ぐらいのところまで上昇しました。

 しかし、何度か述べていたように2万9,000円水準には日足での移動平均線が集まっているところであり、ここを上に抜けるのは難しいとしていました。

 結局、週末のSQ前の9日(木)に2万8,908円まで上昇後、売りに押され反落となり、週末は▲287円の2万8,437円と続落して引けました。

 週明けの6日(月)は、朝高後は一時▲335円の2万7,693円まで下げ、売り一巡後は下げ渋って▲102円の2万7,927円で引けました。

 7日(火)は、前日の米国でホワイトハウスの主席医療顧問が、オミクロン株の重症化リスクは高くないと発言したことを受け、米株主要3指数はそろって上昇し、NYダウは+646ドルの3万5,227ドルとなったことで、日経平均も連動。

 先物の買い戻し中心に一時+691円の2万8,618円まで上昇して、終値は+528円の2万8,455円と大幅反発となりました。

 8日(水)も、前日の米国株式が主要3指数そろって大幅上昇となったことで、日本市場もオミクロン株への警戒ムードが後退。一時+441円の2万8,897円まで上昇し、終値は+405円の2万8,860円と2日連続の大幅高となりました。

 しかし、2万9,000円水準に近づいたことで、9日(木)は戻り待ちの売りに上値を抑えられることになり、ザラ場で2万8,908円をつけたあとは、ジリ安となり終値は▲135円の2万8,725円と安値引けとなりました。

 週末の10日(金)は、前日の米国でハイテク株中心のナスダックが大きく下げたことで、日本市場でハイテク株中心に下げ、寄り付きは▲182円の2万8,542円となり、メジャーSQ清算値は少し安い2万8,523円でした。

 結局、日経平均は2万9,000円を抜けることができずに上値が重くなり、買い戻しも一巡したために終盤には下げ幅を拡大し、▲287円の2万8,437円となりました。

 週末10日(金)の米国市場では、11月米CPIが前月比+0.8%、前年同月比+6.8%と1982年以来の高い伸びを示したものの、コアCPIは予想と一致。

 また、オミクロン株の影響は初期の調査が発表され限定的であったとされたため、主要3指数はそろって大幅反発し、S&P500種指数は最高値更新となりました。シカゴの日経先物は+180円の2万8,560円でした。