「国策に売りなし」政策が企業を動かし、ビジネスチャンスを生む!

 古くからの相場格言に「国策に売りなし」があります。政府が旗を振る政策には予算が付いて、人や会社が動き、やがて社会が変わっていくものです。こうした社会の変わり目をビジネスチャンスとする企業に投資するのも面白そうです。

■自民党サイトにヒントが

 「国策」は文字通り、国の政策です。ただ、国防なら防衛省、脱炭素なら経済産業省と環境省と、担当する役所がそれぞれ情報発信しています。官庁のホームページを見ても該当する政策について書かれている文書の置き場を見つけにくいことが少なくありません。

 国策を見つける手っ取り早い方法は、自由民主党のホームページでしょう。政権与党歴が長く、有権者の支持獲得を狙って情報発信しているので、官庁サイトよりわかりやすいのが特徴です。内容は盛りだくさんですが、投資家がチェックしておきたいのは重点政策です。

 岸田文雄首相肝いりの「新しい資本主義」、感染症対策、教育、国防など各分野の政策についての考え方が簡潔にまとまっています。公約政策パンフレットもダウンロードできます。

■企業の成長を待つ投資

 岸田首相は2021年9月29日に自民党総裁選を勝ち上がり、10月31日には衆院選で大勝しました。あとは国政の先頭に立って選挙公約を実現していくだけです。

 株式市場で注目される分野としては、デジタル化や脱炭素などグリーン化政策、国防、教育・子育て支援などが挙げられます。安倍晋三・元首相時代から引き継がれてきた国土強靭(きょうじん)化や経済産業省が力を入れるベンチャー企業育成も大きなお金が動く分野で、株式市場で好まれそうなテーマです。

 国策というからには、国会という開かれた場での議論を経て、承認された予算に沿って政策が実行されます。このため、今週中や今月末までといった短期間の株価上昇を期待する投資スタイルにはなりません。ある程度の時間をかけて世の中が変わっていく前段階で投資し、国策に沿った企業の成長を待つことになります。

■企業努力+国策が理想的

 例えば介護であれば、介護施設を運営する企業もあれば、ヘルパーを派遣する企業や介護用品メーカーもあります。施設の運営に限っても、介護施設専門の会社もあれば、介護を含めて幅広く事業を展開している会社もあります。どのような形態であっても、売上高が伸びている企業が投資には好適でしょう。国策頼みではなく、成長に向けた企業の自助努力と国策が上手にかみ合うのが理想的です。

 以下の銘柄は、二つのポイントでセレクトしました。ぜひ参考にしてください。

・国が力を入れる政策に関連する
・20万円以下で買える

■初めてでも選びやすい「国策」テーマ関連株10選

※株価などのデータは12月9日現在。

INPEX(東証1部・1605)
株価 989円
いくらから
買える?
9万8,900円
この政策に期待 経済安全保障
どんな会社? 日本に石油を安定供給するための国策企業。政府が筆頭株主。海外にも油田やガス田などの権益を持ち、世界では準大手グループのポジション。燃料以外にも基礎的な工業原料としての需要は根強く、日本の産業を支えるためにも欠かせない存在である。
ダイセキ環境ソリューション(東証1部・1712)
株価 1,677円
いくらから
買える?
16万7,700円
この政策に期待 循環型社会
どんな会社? 東京証券取引所市場1部上場企業で唯一の土壌汚染対策専業として、高い信頼を得ている。土壌調査などコンサルティング業務から土壌浄化まで幅広く手掛ける。使えなくなった食用油のバイオディーゼル燃料化技術ももつ。
幼児活動研究会(ジャスダック・2152)
株価 1,087円
いくらから
買える?
10万8,700円
この政策に期待 子育て支援
どんな会社? 幼稚園や小学生向けの体育指導が事業の柱。新型コロナウイルス禍でオンラインレッスンも展開する。幼稚園向けの経営コンサルティング実績が豊富で、収益を伸ばしている。10月29日に2022年3月期の利益予想を引き上げたばかり。
ユーグレナ(東証1部・2931)
株価 743円
いくらから
買える?
7万4,300円
この政策に期待 循環型社会
どんな会社? ミドリムシの可能性に懸けたベンチャー企業。傘下に青汁のキューサイ。ミドリムシは食品や化粧品の原料に利用するほか、バイオジェット燃料になることも実証済み。ミドリムシ燃料の低コスト化に成功すれば、収益拡大の可能性がある。
勤次郎(東証マザーズ・4013)
株価 1,097円
いくらから
買える?
10万9,700円
この政策に期待 働き方改革
どんな会社? 就業管理用ソフト「勤次郎Enterprise」を提供。政府の働き方改革や従業員の健康管理ニーズの高まりが追い風になる。クラウド型を拡大中。開発投資の負担は大きいが、顧客企業との契約が増えていけば、収益拡大に期待が高まる。
細谷火工(ジャスダック・4274)
株価 1,038円
いくらから
買える?
10万3,800円
この政策に期待 防衛力強化
どんな会社? 火薬技術をコアに自衛隊に照明弾などを供給するほか、エアバッグ膨張剤も生産。自民党は10月に実施した総選挙時の公約に、防衛費をGDP(国内総生産)比で2%と現在の水準から倍増することを盛り込んでおり、防衛省向けの受注増加が期待できそうだ。日本周辺海域でのミサイル発射など、軍事的な緊張が高まった時に株価が動き出す。
グローバルキッズCOMPANY(東証1部・6189)
株価 817円
いくらから
買える?
8万1,700円
この政策に期待 子育て支援
どんな会社? 首都圏と大阪府で保育所を運営。学童クラブなども展開。2021年9月期末の運営施設は184施設と右肩上がりで増加中。人手不足が課題の業界だが、正社員、パートとも離職率低下傾向が続き、人材面でも安定感。政府が打ち出す保育士の処遇向上方針は朗報だ。
大泉製作所(東証マザーズ・6618)
株価 800円
いくらから
買える?
8万0,000円
この政策に期待 電気自動車の普及
どんな会社? 電気自動車のバッテリー用温度センサーを製造し、トヨタ自動車グループの主要部品メーカー、デンソーに供給している。温度センサーはエアコン向けにも製造する。コロナ禍で空調設備の更新需要が拡大しており、事業環境は追い風だ。11月に2022年3月期の連結業績予想を上方修正した。
ツクイスタッフ(ジャスダック・7045)
株価 1,269円
いくらから
買える?
12万6,900円
この政策に期待 高齢化対策
どんな会社? 医療や介護現場への人材派遣サービスを展開し、教育や研修も行う。政府は高齢化のスピードに追い付くため医療・介護職の待遇改善を打ち出し、慢性的な人手不足解消を急いでいる。就業希望者が増加すれば業績拡大へ。
CYBERDYNE(東証マザーズ・7779)
株価 359円
いくらから
買える?
3万5,900円
この政策に期待 高齢化対策
どんな会社? 人間の筋肉の動きを助けるロボットスーツを開発した大学発ベンチャー。医療・介護向けレンタルが主力。高齢労働者の力仕事を補助する。リハビリ支援の需要も拡大。掃除用ロボット開発も手掛ける。2022年3月期の業績予想は未定だが、売上高は増加基調にある。