あなたは「成長株派?」それとも「割安株派?」

 株式投資をするときには、当然ながらどの銘柄に投資するかを決める必要があります。その際、「成長株」に投資する人と「割安株」に投資する人に大きく分かれます。

 ここで、成長株と割安株がいったいどのような株なのか、改めて確認しておきましょう。

 成長株とは、毎年売り上げや利益が増加し、今後も増加が見込まれるような株のこと。一方、割安株とは、企業が有する価値に比べて株価が割安に放置されていると認められる株をいいます。

 筆者は数多くの個人投資家の方とお会いしていますが、成長株にも割安株にも投資するという「両刀使い」は意外と少なく、「成長株派」と「割安株派」に分かれる印象です。

割安株を見つけるときに使う指標は成長株にはあまり使わない

 なぜかといえば、成長株と割安株とで銘柄の選定方法が大きく異なるからです。

割安株の選定方法

 例えば、割安株であれば、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、配当利回りといった、現在の株価が割安かどうかを見る指標を使うことが多いのです。

成長株の選定方法

 一方、成長株を探そうとしている個人投資家は、配当金をどれくらいもらえるかは気にしていませんので、配当利回りで銘柄を選定することはありません。

 また、成長株はPBRやPERで見ると割高になっているケースがほとんどなので、これらを用いて銘柄選定することもあまりないのです。

 成長株を探すときは、純粋に売り上げと利益が伸びているかどうか、あとはROE(自己資本利益率)が高いかどうかが注目ポイントになります。ROEが高いということは、企業が利益を稼ぐ力が強いといえ、成長性が高いことを表しているからです。

 ちなみに、割安株のROEは低いことが多く、確かにPERやPBRで見ると割安であるものの、稼ぐ力という面では成長株より劣る傾向にあります。

大きな利益を目指すなら成長株。ただし留意点も

 筆者が個人投資家の方と接して感じるのは、成長株を好む個人投資家は「大きな利益」を目指していることが多いという点です。一方、割安株を好む個人投資家は「大きな損失を避ける」傾向にあると感じています。

 確かに成長株は株価が大きく上昇するのが最大の魅力です。

 2012年末のアベノミクス相場スタートからおよそ9年経過しましたが、この間に株価が10倍以上に値上がりした「テンバガー銘柄」は数多くありますし、中には100倍以上に値上がりした「ハンドレッドバガー銘柄」もあります。筆者が投資対象としている銘柄にも、テンバガー銘柄がたくさんあります。

 その一方、成長がストップしたり業績が悪化したりした場合、株価が「高い成長性期待」というゲタを履いている分、下落も大きくなります。時には高値から10分の1、20分の1以下にまで下落してしまうこともあります。

値下がりを避けたいなら割安株

 割安株を好む個人投資家の方は、こうした「株価が大きく値下がりしてしまうリスク」を避ける傾向にあると感じています。

 例えば、成長株と割安株があり、成長株はすでに安値から10倍にまで上昇しているが、割安株は30%しか上昇していない。このような状況で成長株を買うのは正直勇気がいります。すでに大きく上昇している分、下落したときも大きいだろうという気持ちになるからです。

 でもまだ安値から30%しか上昇しておらず、PERも低く、かつ毎年しっかり利益も配当も出している割安株であれば、株価が何倍、何十倍に上昇することはない代わりに、下がってもせいぜい2~3割程度だろう、と思うはずです。

 このように、割安株を好む人は、大きな利益はそれほど期待しておらず、どちらかというと大きな損失の可能性を回避する傾向にあると筆者は感じています。

割安=株価が上がるとは限らない

 ただ、少なくとも2013年以降は、成長株と割安株を比べると、成長株が優位の状態が続いています。

 先ほど申し上げた通り、株価が10倍を超えて上昇している成長株がゴロゴロある一方、PERやPBRから見て明らかに割安な銘柄が一向に上昇しないという状況です。

 例えば株式投資の教科書では、PBRが1倍を切っている銘柄は、その企業の解散価値(仮にいま企業が解散したら株主が受け取れる額)より株価が安い状態であり、理屈の上ではお金が落ちているようなものというように表現されます。

 ところが実際には、PBRが1倍を割れている銘柄は2021年12月3日時点で3,819銘柄中1,795銘柄、率にしてなんと47%にものぼり(※)、明らかに割安であっても株価が全然上昇していないというのが実情なのです。

※出所:ヤフー・ファイナンス

筆者は引き続き成長株狙いだが、割安株の動向にも注視

 筆者から見ても、「さすがに割安だよなあ」と思う銘柄でも株価がなかなか上昇しないことが多いのです。

 一方、成長株の多くは、コロナ禍になる前の高値を大きく超えて上昇し、上場来高値を付けるものも数多くあります。

 おそらく、成長株をメインにしている人と、割安株をメインにしている人とでは、近年のパフォーマンスが大きく異なっているのではないかと思います。

 筆者自身、割安株をメインに据えていたら、「なかなか利益を上げるのは難しいだろうなあ」と割安株の株価の動きを見て感じます。

 したがって筆者は2022年も引き続き成長株狙いでいくつもりです。ただし、成長株の株価が上がらず、割安株に資金が流入して大きく上昇するという時期もいつかは来ると思います。

 そのときに備えて、割安株の株価の動向も常にウオッチしながら、「強い銘柄」を追いかけていきたいと思っています。

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