今週の予想

週末にメジャーSQ控え、日経平均は乱高下の可能性も

 今週は週末にメジャーSQ(特別清算指数)を控え、新型コロナウイルスのオミクロン変異株への警戒感も続き、日経平均株価は下値固めの動きが続くことが想定されます。

 反発を見せる場面もあった先週の日経平均ですが、結局は売り圧力によって下落するパターンを繰り返し、大きく上下動して、一時2万7,594円まで下げました。

 週末こそ前日比+276円の2万8,029円と2万8,000円台を回復して高値引けとなりましたが、強い感染力を持っていることで新型コロナのオミクロン変異株には依然として警戒感があります。

 しかし、今のところ軽症や無症状の報告が多く、過度に不安視する必要はないとの見方も優勢になりつつあります。そうであれば株式市場は、まもなくオミクロン変異株の見解を織り込むことになりそうです。

 新型コロナの感染対策をした上での経済運営を維持できるシナリオが意識され、さらに約1週間後にはオミクロン変異株の解析がかなり詳細に進むとされています。そうであればメジャーSQ後は、年末相場に入っていく可能性が高いといえます。

 今週は米国の金融緩和に当面、要注意といえます。

 12月の14~15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)でテーパリング(量的緩和の段階的縮小)の前倒し議論の開始や、インフレに対する過小評価の修正があるか注目されます。

 日本では10日(金)のメジャーSQを控え、株価指数が乱高下することも想定されます。しかし、一段安となったところで好業績銘柄(低PER[株価収益率])、低PBR[株価純資産倍率]、高配当)は短期売買での買いチャンスといえます。

 メジャーSQ後の年末相場ですが、日足チャートから見ると2万9,000円水準を突破できるかどうかがポイントとなります。

 日経平均の現在の日足は、26週線(現時点2万8,704円)、52週線(現時点2万8,703円)を割り込み、調整色を強めています。日経平均の日足、週足を見る限り年末相場が活況となるには、まず2万9,000円を突破しなければなりません。

 これができなければ、戻り売りでの上下動がしばらく続くことになります。日本株は、11月、12月は高いというアノマリー(経験則)がありますが、今年は「オミクロン変異株」の出現で逆に下落となってしまいました。期待はあっても相場は流れに従うのが基本です。このことから、様子見がいいことになります。

今週の指標:日経平均株価

 週末10日(金)にメジャーSQを控えており、オミクロン変異株の警戒感や米国の金融緩和の方向確認もあり、日経平均は乱高下が想定されます。

 日経平均の日足では2万9,000円近辺に25日線、75日線、200日線が集まっているため、2万9,000円が上値のフシになっています。ここを抜けなければ3万円は遠いものになります。まず、メジャーSQを前にどこまで戻せるかどうか、今週は様子見となります。

 日本株は年末高というアノマリー(経験則)がありますが、期待を優先するよりも「相場の流れに従う」のが基本です。

先週の動き

 先週の予測では、9月の中間配当の支払いが本格化しているため、再投資の買いが見込まれるとし、オミクロン変異株への警戒感はあるものの日経平均は水準訂正が意識されるところとしました。

 しかし、前週まで続いていた下値切り上げが崩れたために立ち直りに時間がかかるとし、10月25日の日経平均は2万8,472円、その下のフシ目の2万8,000円を切ると10月6日の2万7,293円を試すことになるとしました。

 結果的に想定したように、日経平均は下値の切り上げたところを崩していく動きが続きました。12月1日(水)には2万7,594円まで下げ、いったん反発するも終値では12月2日(木)は2万7,753円となり、週末は買い戻しで+276円の2万8,029円となりました。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週もオミクロン変異株の動向をにらんだ展開となりそうです。

 FRB(米連邦準備制度理事会)が金融緩和策の解除ペースを加速する方向にあるため、CPI(消費者物価指数)に注目が集まります。

 今年のブラックフライデーやサイバーマンデーは前倒しされ消費が進んだものの、供給不足、在庫不足で結果はさえず、さらにコスト上昇で利益率も圧迫され、見通しが軒並み引き下げられています。今後、数週間はオミクロン変異株に対するワクチンの有効性を巡るデータ待ちとなります。楽観論と悲観論が入り交じっているため様子見が続きそうです。

先週の動き

 先週の予測では、前週末に南アフリカで検出された変異株は感染力が強く、ワクチンの効力が限定的と報じられたことで、実態は分からず、業績は好調を維持しているものの、当面は様子見。下げた場合はチャートではNYダウが3万4,000ドルを切ると調整が長引くとしました。

 結果的に変異株の「オミクロン」が世界中に広がり、米国でも感染者が見つかったことでNYダウは大幅下落となりました。週の動きは29日(月)+236ドルの3万5,135ドル、30日(火)は▲652ドル、12月1日(水)は▲461ドル、2日(木)は+617ドル、3日(金)は▲59ドルの3万4,580ドルとなりました。12月1日(水)は3万4,006ドルと3万4,000ドル割れ寸前まで下げましたが、週の終値は3万4,580ドルでした。

今週の指標:ドル/円

 新型コロナのオミクロン変異株への警戒感から米長期金利は低下しており、目先のリスク選好的なドル買いは抑えられる可能性があります。オミクロン変異株に感染した人の重症例は出ておらず、症状は軽いとみられています。ただ、感染者数は増加しているため、リスク回避的な為替取引が大幅に減少する可能性は低いとみられています。

先週の動き

 11月29日にバイデン米大統領がオミクロン変異株に対して楽観的な見方をしたことで、いったんドル買いが強まり、ドル/円は113.96円まで買われました。ところが、各国ではオミクロン変異株に対して警戒感が強まって、ドル買いは縮小。

 11月30日にはパウエルFRB議長がインフレ高進に対し「一過性」と表現することを止める時期だと発言したことがタカ派と受け止められ、ドル高となりました。12月3日のNY市場ではドル/円は113.61円まで上昇後、112.56円まで反落して112.81円で引けました。

先週の結果

日経平均は一時2万7,594円まで下げるが、週末は買い戻されて2万8,029円で引ける

 先週の予測では、前週末の26日(金)に南アフリカでの新しい変異株への警戒感から日経平均は▲747円の2万8,751円(ザラ場では▲893円の2万8,605円)の暴落となったことで、新しい変異株の影響を見極めるところとしました。

 今年になって日経平均は年初の2月16日の3万714円を高値に、8月20日で2万6,954円の安値をつけました。ここを当面の底値に、10月6日の2万7,293円、10月25日の2万8,472円、11月11日の2万9,040円と下値を切り上げる動きとなり、11月4日の2万9,880円を高値に2万9,040円を安値とする2万9,000~3万円のボックス相場となっていました。

 この時点では日経平均の2万9,000円台は底堅く、あとは3万円突破するのを待つばかりという見方が市場では一般的でした。

 しかし、相場の先行きというのは「神のみぞ知る」で、新型コロナの新たな変異株の出現で世界の株式市場は株価の大きな下げに見舞われました。

 26日(金)の日経平均は、終値2万8,751円となって、目先の下値が堅いとみられていた11月11日の2万9,040円をアッサリと割り込み、8月20日の安値2万6,954円から続いていた下値切り上げの動きが明確に崩れてしまいました。

 11月29日(月)の日経平均は、▲467円の2万8,283円、30日(火)は▲462円の2万7,821円、12月1日(水)は、一時▲227円の2万7,594円まで下げたところで、下げ過ぎからの買い戻しが入り、+113円の2万7,935円となりました。

 しかし、翌日2日(木)の日経平均は▲290円の2万7,644円まで下げて、終値は▲182円の2万7,753円に。ここまでは10月6日の安値2万7,293円が下値のメドとして意識されているようです。週末は前日の米国株式で主要3指数そろって上昇したものの、日経平均の前場は前日の終値をはさんだもみ合いとなっていましたが、後場は上昇に転じ+276円の2万8,029円と、2万8,000円台で引けました。

 先週の動きを少し詳しく述べます。

 11月29日(月)は、前週末の米国市場は南アフリカで検出された新しい変異株への警戒感からNYダウは▲905ドルの急落となったこともあり、日経平均は▲413円の2万8,337円で寄り付き、前場は▲5円の2万8,746円まで大きく戻しました。しかし後場になると、30日より全世界の外国人の新規入国を規制するとの岸田文雄首相の発表を嫌気し、日経平均は▲564円の2万8,187円まで下げて、終値は▲467円の2万8,283円と大幅続落となりました。

 30日(火)は、前日の米国株式が主要3指数そろって上昇したことで、日経平均も前場は2万8,718円まで大幅上昇となりましたが、後場になるとモデルナ社の最高責任者が「既存のワクチンは新しい変異株には効果は低い」と発言したことを嫌気。日経平均は▲462円の2万7,821円と3日連続の大幅下落となりました。

 12月1日(水)は、前日の米国株式は主要3指数そろって大幅反落となったものの、日経平均はいったん▲227円の2万7,594円まで下げました。しかし、3日も大幅下落となっていたことで、+113円の2万7,935円と日経平均は反発しました。

 2日(木)は、前日の米国株式が主要3指数連続して大幅下落となったことで、日経平均も一時▲290円の2万7,644円まで下げて、終値は▲182円の2万7,753円と反落しました。

 週末の3日(金)は、前日の米国株式は主要3指数そろって大幅反発したことで、日経平均は前場で▲165円の2万7,588円まで下げましたが、後場になると買い戻しが入り+276円の2万8,029円で引けました。

 週末3日(金)の米国市場は、主要3指数そろって2週連続の下落となりました。

 この日は、注目の11月米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想の55.0万人増を大きく下回る21.0万人増と下ぶれし、一方で、失業率は市場予想の4.5%を下回る4.2%と改善、強弱マチマチの結果となりました。

 NYダウは+161ドルまで上昇してスタートしたものの、▲375ドルまで大幅反落し、▲59ドルの3万4,580ドルで引けました。弱い雇用統計や新型コロナのオミクロン変異株への警戒感が重しとなりました。

 シカゴの日経先物は▲280円の2万7,790円でした。