来週から米国金融機関の第一四半期決算発表が相次ぐが、「FRBは3月14日の時点で、ベアー・スターンズ以外に複数の証券会社を救済する用意があった」と報道されている。金融セクターに対する抜本的な対策としては公的資金による資本注入が必要と思われるが、バブル救済のモラルハザードとの反対も多いため、ベアー・スターンズのような事例がもう2~3件出てこないと実現しないであろう。その間のモラトリアム救済の場であるワシントンG7には久しぶりに大きな注目が集まっている。
今回のG7は米国大手銀行の資本金引上げ後の貸し渋りが懸念されているなか、米欧日三極の証券・銀行や欧米有力ファンドの首脳が出席することが注目されている。現状のままでは米欧の大手銀行が資本金維持のため融資を控える結果、軽い景気減速では済まず世界の実体経済にも深刻な影響を及ぼすだろう。実際、現時点での米景気成長率は実質ゼロと言われている。4月8日に国際通貨基金(IMF)が「世界金融安定報告」を発表したが、米国の住宅ローン危機に端を発した金融混乱に伴う金融機関の損失総額は1兆ドルに迫る可能性があるとの見通しを示しており、この問題はすでに政治の領域に入っていると言えよう。
- ドル/円(日足) 標準偏差ボラティリティの推移
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- ユーロ/ドル(日足) 標準偏差ボラティリティの推移
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- 豪ドル/円(日足) 標準偏差ボラティリティの推移
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外為市場は前回のコラムで指摘したように、標準偏差ボラティリティが天井をつけ下落過程にあるなか、もちあい乱高下の展開となっている。4月10日のドル/円相場をみても102円→100円→102円というとんでもない往来相場となっており、投げと踏みの応酬で短期トレーダーは少なからず痛手を負ったと言われている。例によって後講釈で相場解説が行われているが、相場に方向感はなくファンダメンタルズや材料が主導している相場ではない。
格好のデイトレ相場環境にみえるが、相場に方向性がないため順張りはワークしにくい。現在ヘッジファンドの現金ポジションは歴史的な高水準となっているが、まだリスク収縮が続くのか一服するのか、ファンドマネーの動向=資本移動が今後の外為市場の動向を左右することになるだろう。標準偏差ボラティリティの推移をみながら相場のもちあい離れを待ちたい局面である。
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