2021年7-9月に33%増収、政策リスクも業績は改善傾向

現地コード 銘柄名
01024

快手科技

(クワイショウ・テクノロジー)

株価 情報種類

94.75HKD
(11/24現在)

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 ショート動画プラットフォームを運営する快手科技の2021年7-9月期決算は、売上高が前年同期比33.4%増の205億元と、BOCIの予想と市場コンセンサス予想をそれぞれ7%、2%上回った。営業損益は74億元の赤字で、営業損失率は36%。販売費の対売上比率の低下により、4-6月の38%から小幅に改善した。非GAAPベースの純損失は48億元で、純損失率は24%と、これも4-6月の25%からやや上向いた。BOCIはMPU(月間課金ユーザー数)の持ち直しとライブストリーミングに対する中国政府の規制強化、中国版TikTok「抖音」との競争、パブリック部門(同社によるユーザー向け配信サービス)とプライベート部門(ユーザー投稿など)との相互の収益最適化に向けたアルゴリズムの調整、業界全体の広告収入の鈍化――などを反映させる形で、2021年、2022年の予想売上高を1%、6%下方修正。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社のユーザー基盤は拡大しており、7-9月のMAU(月間アクティブユーザー数)は前年同期比19.5%増の5億7,290万人、DAU(1日当たりアクティブユーザー数)は同17.9%増の2億7,172万人と、BOCIの予想通りの水準だった。ただ、MAUに対するDAUの比率は4-6月の57.9%から56%に低下。垂直型のコンテンツを増やしたことで、ユーザー維持率が後退したことをうかがわせた。

 ライブストリーミングの売上高は7-9月に前年同期比3%減の77億元と、4-6月の14%減から下げ止まった。新型コロナの巣ごもり特需があった2020年に5,760万人に達したMPUが、4,610万人まで持ち直したため。政策的な逆風下にあっても、タレント事務所との提携強化が寄与し、ARPPU(課金ユーザー1人当たりの平均収入)は前年同期比8.8%増の55.9元に上向いた。

 このほか、7-9月期には広告業務の収益化が加速。広告収入は前年同期比77%増の109億元に達した。パブリックサービス部門の大幅なトラフィックの増加や、広告主の増加、AIやビッグデータを生かしたターゲティングの精度や広告主の体験の向上が背景。

 その他サービス部門では、ライブコマースのGMV流通総額とテイクレート(受託販売手数料)の増加が寄与し、売上高が前年同期比53%増。GMVは前年同期比86%増の1,758億元に上った。

 BOCIは2021年、2022年の予想売上高を1%、6%下方修正。2022年の予想PER(株価収益率)3.8倍をあてはめて目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面での潜在リスク要因としては、予想を下回るユーザー数の推移や政府によるショート動画、ライブストリーミング、ECに関する規制の強化、さらにはショート動画部門の競争激化などを指摘している。