つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の投資成績にも直結する最新の株価動向をお知らせする「トレンドマーケットスクールTOKYO」。今週11月29日(月)から12月3日(金)の日本株は、南アフリカで発見された新型コロナウイルス変異株の影響で乱高下が見込まれます。

WHO「変異株は伝染しやすい」発表で日経平均株価は大幅下落!

 先週の日経平均株価は26日(金)に、南アで変異株というニュースを受けて、747円安の2万8,751円で取引を終えました。

 深夜の米国市場ではNYダウが905ドル、S&P500が106ポイントも下落。29日(月)の日経平均株価は2万8,300円台まで300円以上、下落して始まりました。

 先週は週初めから、日本株は”弱い”状況でした。

 週明け22日(月)には、米国の中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が2022年2月の任期満了後、さらに4年間続投することが決定。

 インフレ解消のため、パウエル議長が利上げ時期を早めるのでは、という観測もあり、祝日明け24日(水)の日経平均株価は、米国長期金利の上昇以外にさしたる悪材料もない中、471円(1.6%)も下落。

 そんな「米国株がちょっと下がると日本株は大きく下がる」という、いつもの”弱い”状況の中、26日午前中に舞い込んだのが変異株のニュースでした。

 変異株は、ウイルス表面の突起部分に多数の変異があるといわれ、この突起部分が人の細胞に侵入する鍵となる。すでに香港でホテル隔離中に空気感染者が出たという報道も、アジア株全体が急落する引き金になりました。

 26日夜にはWHO(世界保健機関)がこの変異株を「オミクロン株」と命名し、デルタ株同様に「懸念される変異株」に指定。デルタ株より伝染しやすい可能性があるとしたことで米国株は一段安の展開になりました。ちなみに「オミクロン」は「アルファ」から始まるギリシャ文字の続きです。

 外国為替市場では、週前半に1ドル115円まで上昇したドルが113円ちょうどあたりまで急落するなど、典型的な「リスクオフ(投資家がリスクを回避する局面)の円安、株安」になっています。

内需関連や輸出株は下落、バイオ、宅配、ゲーム株は底堅い!?

 27日(土)には英国や1日の新規感染者数が過去最高の7万人を超えるドイツ、イタリアでもオミクロン株が検出されたこともあり、今週も株価急落に拍車がかかる可能性があります。

 またS&P500など米国株はいまだ史上最高値近辺。変異株登場が利益確定売りの口実になった面もあります。

 その意味では状況が落ち着けば、今週いったんリバウンド上昇に転じる可能性もあります。

 26日(金)の米国市場で下落率が高かった業種は資源株、金融株、航空や旅行サイトなど旅行関連株。

 今週の日本市場でも、世界的な渡航制限で打撃を受ける航空株を筆頭に、居酒屋や百貨店、旅行関連など、国内で再び感染者数が増加すれば業績悪化が必至となる内需株全般が先回りして売られる展開が危惧されます。世界的な経済停滞や円高進行で需要の減る資源、非鉄金属、鉄鋼、自動車株なども下落しそうです。

 一方、米国では医薬品メーカーや過去のステイホーム時期に上昇したビデオ会議のズーム(ZM)ネットフリックス(NFLX)が上昇。日本でも医薬品やバイオ、宅配・出前、オンラインゲーム・リモートワーク関連株は底堅く推移するかもしれません。

 オミクロン株に従来のワクチンが効くか、オミクロン株感染後の重症化率はどうか。こういった点が明らかになるまで、株式市場の動揺が続きそうです。

 今週の経済イベントとしては、何と言っても、29日(月)と30日(火)深夜にパウエルFRB議長が下院、上院で行う議会証言です。

 30年ぶりの高いインフレが続く中、もしオミクロン株が米国でまん延した場合、FRBは量的緩和の縮小(テーパリング)の一時停止などの措置をとるのか。「株式市場の神」ともあがめられるFRB議長の発言は、今回の市場急落の転換点になるかもしれません。

 3日(金)には11月の米国雇用統計も発表されます。前回10月は、新規雇用者数(非農業部門)が53.1万人と予想を上回り株価上昇に弾みがつきましたが、11月は53万人増の予想。米国の雇用に関しては冷え込みより過熱が心配されており、人手不足や賃金上昇などが顕著だとインフレ懸念で株価に悪影響が出るかもしれません。

 今週は、ただでさえ”弱い”日本株には試練のときになりそうです。ただし、急落は株を安く買うチャンスでもあることも忘れないようにしましょう。