2018(平成30)年からスタートした「つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」。いわゆる一般NISAと名前は似ていますが、中身は異なります。

 そこで今回は、現行の一般NISA、つみたてNISAのどちらが「個別株投資が中心の個人投資家」に適しているか、検証してみたいと思います。

 なお、2024年からNISA制度は大きく変わることになっています(年間非課税枠120万円→積み立て部分20万円+一般枠102万円の2階建てへなど)が、本コラムでは改正前の現行制度でご説明します。

置かれた立場や考え方により専門家の発する情報の内容も異なる

 筆者は、日本株の個別銘柄を主な投資対象としています。このコラムをご覧いただいている方の多くも同様に、個別銘柄を中心に投資していると思います。

 まず、ファイナンシャル・プランナーなどさまざまな専門家の人が、NISAやつみたてNISAについて数多くの情報を発信していますが、これらをすべてうのみにしてはいけません。なぜなら、専門家によって、得意とする投資スタイルや投資商品、そして投資に対する考え方も異なるからです。

 自分自身と投資に対する考え方が根本的に異なる人、たとえば個別株への投資ではなく投資信託の積み立てによる長期分散投資を推奨する専門家の情報を参考にすると、将来「こんなはずではなかった…」と後悔することにもなりかねません。

 筆者は、「個別銘柄への投資を中心に行っている個人投資家」の立場から、NISAやつみたてNISAを比較検討していきます。

 したがって、投資信託を中心に投資している個人投資家の方には、筆者の考え方はミスリードとなる可能性がありますから、注意してください。

NISAとつみたてNISAの違いとは?

 NISAとつみたてNISAの比較については、さまざまなところで取り上げられていますので、ここでは個別銘柄を中心に投資している個人投資家にとって重要な部分を中心にご紹介したいと思います。

NISA
・年間投資枠は120万円
・最長5年間継続。最大投資枠は120万円×5年=600万円
・個別銘柄、REIT(リート:不動産投資信託)、ETF(上場投資信託)、投資信託など幅広い投資対象から選択できる

つみたてNISA
・年間投資枠は40万円
・最長20年間継続。最大投資枠は40万円×20年=800万円
・あらかじめ決められた、主にインデックス型の投資信託のみが投資対象

 NISAとつみたてNISAを同時に使うことはできません。どちらか片方だけです。

投資信託の投資家は悩みどころ…

 もし、投資信託を主な投資対象としている個人投資家であれば、かなり悩みどころかもしれません。つみたてNISAはかなり投資対象に制限があるとはいえ、NISAもつみたてNISAもどちらも投資信託が投資対象となっているからです。つみたてNISAの非課税枠が最大で800万円と、通常のNISAよりも大きいことも魅力的にうつるかもしれません。

 でも、個別銘柄を中心に投資する個人投資家であれば、もはや迷うことは何もないと思います。ズバリ、現行のNISAを今後も使っていけばよいのです。

 なぜなら、つみたてNISAでは個別銘柄への投資ができないからです。

【結論】個別株中心の投資家は従来通りNISAを活用!

 もし現行のNISA口座であれば、個別銘柄に投資できるのはもちろん、ETFもREITも投資信託も可能です。投資の選択肢がかなり広いので、「今年はNISAの枠を使って個別銘柄に投資したけど、「来年はNISAで投資信託」もできます。

 しかし、つみたてNISA口座は、限られた投資信託の中から投資対象を決めることになるので、選択肢があまりありません。

 なお、現行のNISAとつみたてNISAは、同じ年に同時に使うことはできませんが、年ごとに使い分けることはできます。来年は現行のNISAを使うが再来年はつみたてNISAを使ってみる、ということも可能です。

 そもそも、つみたてNISAは、定期的な積立による長期分散投資を行いたい投資家向けの制度です。個別銘柄に投資するというスタイルの個人投資家としては、通常のNISAを活用していけばよいと思います。