年末が近づく中、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で資産形成を行っている方の中には、今年の非課税枠がまだ余っているという方もいらっしゃるでしょう。

 NISAの非課税枠は、1月から12月までの暦年単位です。1月にNISA口座を開設した方も、最近開設した方も、2021年の非課税枠は、つみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円で変わりありません。

 NISAは制度設計上、未使用の非課税枠を翌年に繰り越すことができないので、2021年分の40万円(または120万円)を使える「タイムリミット」は各年の年末までということになります。

 では、さっそくですが、ここでクイズです。

クイズ投資信託の売買に関連する以下の3つの日付のうち、NISA口座の非課税枠の使用状況を判断できるのはどの日付でしょうか。
  1. 申込日(注文日)
  2. 約定日
  3. 受渡日

解答

3.受渡日

 NISA口座の非課税枠は、受渡日(読み:うけわたしび)ベースで使用状況が判断されます。受渡日とは、代金が決済され、文字通り、投資家がその投資信託受益証券を実際に保有できる日のことです。

 売買注文を出した申込日(注文日)から起算して4~8営業日程度と、その投資信託が何に投資しているかによって日にちに開きがあります。2021年の非課税枠を使い切るには、2021年中に受渡まで完了している必要があります。

 積立で「ほったらかし投資」を実践していると、どのタイミングで一連の購入手続きが完了したかが分かりにくいかもしれません。投資信託の売買では、この受渡日を含め、3つの日付によって取引状況を判断します。時系列でもう少し詳しく見ていきましょう。

 先述した通り、投資信託の売買注文を出した日のことを申込日(注文日)と言います。一部の銘柄を除き、原則として営業日の15時までに受け付けられた注文は当日扱いになります。15時の締切後の注文は、翌営業日が申込日となります。

 申込日の次に来るのが約定日(読み:やくじょうび)です。約定日とは、取引が成立した日です。国内資産を投資対象とする投資信託は申込日当日(原則)、海外資産を投資対象とする投資信託は申込日の翌営業日(原則)が約定日となります。

 約定日の時点で売買取引自体は成立しているのですが、売買代金が決済され、実際に投資信託を保有できるのは、先にご説明した受渡日です。ここで実際に、2021年12月1日(水)に「楽天・全米株式インデックス・ファンド」の売買注文を出した場合を例に挙げて見てみましょう。

楽天・全米株式インデックス・ファンド

▶ 申込注文締切:15時
▶ 約定日:申込日の翌営業日
▶ 受渡日:申込受付日から起算して5営業日目

 12月1日(水)15時までに注文申込を行った場合、翌営業日の2日(木)が約定日となります。受渡日は、申込受付日である1日から起算して5営業日目ですから、翌週7日(火)になります。

 土日祝祭日と海外休場日は営業日に含めないので、「受渡まで5営業日」のファンドでも、受渡完了までには約1週間かかることが分かります。

 12月は海外休場日が多いため、特に海外資産を投資対象とする投資信託の場合、受渡完了までに要する日数が長くなることも想定されます。また、新興国株式に投資するタイプをはじめ、ファンドによっては受渡日まで8営業日程度の日数を要するものもあります。

 まずは購入を検討しているファンドの受渡日と休場日を、目論見書や銘柄詳細画面などで確認するところから始めましょう。

 なお、具体的な受渡日は、注文確認画面でも最終確認できます。2021年のNISA非課税枠を着実に使い切るには、受渡日が年をまたがないよう十分に注意し、取引を行うようにしてください。

目論見書や銘柄詳細画面で受け渡し日を確認しよう!