「大きい」はパワー。大企業・有名企業株にはこんなメリットが!

 さあ株を買おう! と思ったとき、投資家が最初に直面するのがどの銘柄を買うかという問題です。東京証券取引所で株式を売買できる企業は3,741社(11月18日現在)。この中から銘柄を選ぶわけですから、悩んで当然でしょう。

 そこで一つのアイデアです。大企業や有名企業を選んで投資する手法です。初心者向けで面白みのないやり方に映るかもしれませんが、実はプロも採用する投資スタイルなのです。

■決め手は情報量

 大企業や有名企業に投資する最大のメリットは「情報量」です。大企業や有名企業は多くの人の目にさらされています。良い商品が世に出れば、テレビCMが流れる前からネットでバズることもあります。

 不祥事があった際、知名度の高い企業ほど多くのマスコミが群がり、報道合戦が展開されます。市場関係者の関心が高ければ、証券アナリストや投信運用会社の担当者は企業の業績から社長の経営方針までを日々ウオッチするようになります。

 このため、大企業や有名企業ほど情報が素早くかつ正確に伝わりやすいのです。投資した銘柄をネットで検索してポジティブなニュースが並んでいれば、株式の買い増しを検討したくなるかもしれません。悪いニュースばかりで業績も株価も心配になってきたら、早めに売ってしまうこともできます。正しい情報が豊富にあれば、判断材料になるわけです。

 小さい企業でも情報発信に力を入れる企業はたくさんあります。東証などが義務付けた決算データの公表以外に、毎月の売上高を自主的に発表したり、新商品を発売するたびに報道各社を回って記事掲載を依頼する企業も少なくありません。しかし、情報発信量では大企業にはかないません。

「大きい会社」の基準は?

 ひと口に「大きい企業」といっても、その基準によって切り口はいくつもあります。「知名度が高い」「誰もが知る看板商品がある」「売上高が多い」「時価総額が大きい」などです。

 最もわかりやすい「大きい会社」の条件は、売上高でしょう。売上高10億円の企業より1兆円の企業の方が、より多くの人に商品やサービスが行き渡っているケースがほとんどです。

 売上高10億円の企業では、どんなに頑張っても本業で年10億円を超える利益を出すことはできません。一方、売上高が1兆円ある企業は、たとえ本業でもうかっていなくても、売り上げから差し引く費用を小さく抑える努力をすれば、利益を数百億円単位で増やしていけます。

 株式市場で「大きい企業」の指標といえば、時価総額です。株価に株式総数を掛けたもので、シンプルに会社の値段でもあります。ちなみに時価総額で日本最大はトヨタ自動車(7203)の34.5兆円です。

■時価総額=株価×発行株数

 株価が1,000円のA社とB社を考えます。株価は同じでも、発行株数が違えば企業の値段は異なります。この場合だと、発行株数が多いB社の方が「大きい会社」ということになります。

  株価 発行株数 時価総額
A社 1,000円 500万株 50億円
B社 1,000円  5,000万株 500億円

 海外の投資家が日本株を買う際、時価総額の大きい「大型銘柄」が好まれます。各業界を代表する大型銘柄を買っておけば、日本株市場全体の動きをフォローできるという考え方からです。ということは、海外マネーが日本株買いに動いた場合、大型銘柄の値上がりが期待できそうです。

 以下の銘柄は、三つのポイントで選びました。ぜひ参考にしてください。

・時価総額または売上高が業界首位級
・10万円台以下で買える
・配当利回り2%以上

■初めてでも選びやすい優良スター株10選

※株価などのデータは2021年11月24日現在。

東レ(東証1部・3402)
株価 710円
いくらから
買える?
7万1,000円
ここが推し
ポイント
炭素繊維で世界首位
どんな会社? 軽くて丈夫な炭素繊維は、航空機や自動車などの部品に採用が広がっている。航空機生産や自動車生産の回復に伴い、需要が拡大。風力発電機を回すプロペラ向けの需要も増えている。
王子ホールディングス(東証1部・3861)
株価 566円
いくらから
買える?
5万6,600円
ここが推し
ポイント
製紙業界売り上げトップ
どんな会社? ネット通販が普及し、梱包用段ボールの需要が拡大。以前はもうからない製品だったが、利益を生む製品になった。円安のメリットを受け、製紙原料の海外販売も好調。再編が活発な製紙業界において、勝ち組の位置づけ。海外事業の拡大で一段の成長を狙っている。
三菱ケミカルホールディングス (東証1部・4188)
株価 943円
いくらから
買える?
9万4,300円
ここが推し
ポイント
化学業界で売上高トップ
どんな会社? 旧三菱化学などを母体に三菱系の化学・製薬メーカーが結集して発足した。国内素材産業の代表格でもある。業績は上向きで、11月2日に2022年3月期の業績予想と配当予想を上方修正したばかり。
Z ホールディングス (東証1部・4689)
株価 797円
いくらから
買える?
7万9,700円
ここが推し
ポイント
ネット企業で時価総額最大級
どんな会社? 傘下にヤフー、アスクルなどを展開。LINEと経営統合し、グループにフードデリバリーを手掛ける出前館もある。時価総額は6兆円台と日本のネット企業で最大。ネット広告と電子商取引に加えて決済分野の育成に力を入れ、社会インフラとして存在感を増す。
ENEOS ホールディングス (東証1部・5020)
株価 436円
いくらから
買える?
4万3,600円
ここが推し
ポイント
石油元売り最大手
どんな会社? 日本石油などを母体とし、石油元売りで国内シェア(市場占有率)は5割を誇る。太陽光発電にも力を入れており、総合エネルギー企業への転換を目指す。世界的な原油高を受け、2022年3月期の業績予想を上方修正した。年間配当は22円の方針。
日本郵政 (東証1部・6178)
株価 871円
いくらから
買える?
8万7,100円
ここが推し
ポイント
国内唯一の郵便事業者
どんな会社? 政府が筆頭株主で、事実上の独占事業である郵便事業を展開。傘下にゆうちょ銀行(東証1部・7182)かんぽ生命保険(東証1部・7181)がある。
日野自動車 (東証1部・7205)
株価 1,078円
いくらから
買える?
10万7,800円
ここが推し
ポイント
トラック販売台数トップ
どんな会社? トヨタ自動車子会社のトラックメーカー。ライバルはいすゞ自動車。半導体不足などにより生産にブレーキがかかっているが、それでも10月28日には2022年3月期の業績予想を上方修正した。部品供給が正常化すれば、業績拡大に期待が高まる。
三菱UFJフィナンシャル・グループ (東証1部・8306)
株価 634円
いくらから
買える?
6万3,400円
ここが推し
ポイント
国内金融最大手
どんな会社? 国内の金融グループ最大手で、世界的にも金融大手の一角を占める。伝統的に海外事業に強いことでも知られる。11月15日に2022年3月期の業績予想を上方修正し、年間配当予想を27円から28円へ引き上げている。
野村ホールディングス (東証1部・8604)
株価 493円
いくらから
買える?
4万9,300円
ここが推し
ポイント
国内証券で最大手
どんな会社? 国内証券最大手。野村証券を中核に、資産運用や不動産などグループ企業を展開。業績は市場の状況次第で大きく変動する可能性があり、2022年3月期の業績予想や配当は非公表。相場が盛り上がってくると株価の値上がり期待が増してくる市況連動銘柄。
ヤマダホールディングス (東証1部・9831)
株価 414円
いくらから
買える?
4万1,400円
ここが推し
ポイント
家電量販店で最大手
どんな会社? 中核企業は家電量販店トップのヤマダ電機。2022年3月期の売上高は1兆6,860億円を予想。企業買収でユニットバスなどの住宅設備や家具販売といった非家電事業に進出してきた経緯があり、次の一手が注目される。