NISA口座の非課税期間終了時の選択肢は2つ
2014年からスタートした「一般NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」では非課税で運用できるのは、投資した年を含めて「最長5年」です。その間に受け取る株の配当や株式投資信託の普通分配金(※)に対して税金がかかりませんし、売却したときの譲渡益も非課税になるわけです。
※元本払戻金(特別分配金)はもともと課税されない
では、非課税期間が終わるまでに株や投資信託などを売却しない場合、そのまま継続して保有することはできるのでしょうか。
答えは、YESです。次の2つの選択肢があります。
1.課税口座(特定口座)に移管する
2.一般NISA枠の非課税枠に資産を移す(ロールオーバー)
2.ロールオーバーの手続きを行うと、あと5年、非課税で運用を行うことができます。
例えば、2017年1~12月に120万円の枠内で株式や投資信託などに投資したとします。非課税期間は最長5年ですから、2021年末まで非課税で運用できます。そのあとも引き続き非課税で運用したいなら、翌年(2022年)から始まる新たな一般NISAの枠に保有する金融資産を移す(=ロールオーバーする)必要があります(下図参照)。
例えば、楽天証券の場合、ログイン後に「NISA・つみたてNISA」>「年別保有商品」で、購入した年を選択すると保有商品を確認できます。例えば、2017年を選択すると、2017年に購入した商品がわかります。
移管時の時価が新たな取得価格になる
ここでポイントとなるのは、1、2のどちらを選択しても、移管時の「時価」が新たな「取得価格」とみなされることです。
ここでは2.ロールオーバーする場合を考えてみましょう。
2017年に120万円で投資した投資信託が移管時に80万円になっていたとします。翌年(2022年)の一般NISA枠の上限は120万円ですから、ロールオーバーしても40万円の枠が未使用分として残ります。そのため、2022年の一般NISAで40万円までは新規で買付をすることができます。
次に、2017年に120万円で投資した投資信託の評価額が140万円になっていたとします。保有する商品の非課税期間満了時(年末)の時価合計が120万円を超える場合でも、(ロールオーバーする場合には)一般NISA枠にすべて移すことが可能です(※)。ただし、2022年の一般NISA枠120万円はすでに使用しているため、2022年に新たな投資はできません(新規に投資する場合には特定口座などの課税口座を利用することになります)。
なお、この場合、2017年に購入した商品をすべてロールオーバーする必要はありません。ロールオーバーしたい商品だけを選択することが可能です。
※非課税期間終了前でも課税口座に移管することは可能だが、一般NISA枠に移せるのは120万円までとなる
期日までに自分で手続きを行う必要がある
ロールオーバーするには、ロールオーバーの申込受付期間中に、パソコンかスマートフォンのウェブサイトへログインして、手続きを行う必要があります。
例えば、楽天証券ではスマホから口座にログインし、「商品・サービス」→「NISA・つみたてNISA」のメニュー画面から、ロールオーバーする商品を選択。本人確認書類画像をアップロードし、直接手続きを行うことができます。あるいは、パソコンまたはスマホのサイトで資料請求を行い、郵送で手続きを行うという方法もあります。
ロールオーバーの申込締切日は金融機関によって異なります。締切日は年末よりも前に設定されているので、早めに確認して手続きを行いましょう。
期日を過ぎる、あるいは何も手続きを行わないと、自動的に1.課税口座(特定口座)に移管されます。移管時に、購入したときよりも価格が上昇していればよいのですが、非課税期間終了時に購入時よりも値下がりしていた場合は注意が必要です。
例えば、100万円で購入した投資信託が70万円に値下がりしていると、移管先の課税口座(特定口座)での取得価額は70万円になります。その後、評価額が100万円に戻ると、(実際には利益はでていないのに)70万円を起点として30万円増えたものとして課税されてしまうということもあるからです。
シンプルな制度になってほしい
一般NISAで毎年投資をして長期保有を視野に入れる場合、「2017年(1~12月)に投資した分」は「2021年末までにロールオーバーするか否か」を判断する必要があるというお話をしてきました(売却も可)。同様に、それ以降も
・2018年に投資した分→2022年末までに判断(※)
・2019年に投資した分→2023年末までに判断
・2020年に投資した分→2024年末までに判断
というふうに、毎年対応を検討しなくてはなりません。
なお、2024年以降は2階建ての新NISAへのロールオーバーとなります。
※正確にはロールオーバーの申し込み締め切り日までに判断することが必要
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