先週発表された11月の米消費者信頼感指数は73.7と、金融危機以来最高の水準を付けました。現在、多くのエコノミストが年末商戦の好調を予測していますが、それを裏付ける強い数字となっています。それでは、その好調が予想される年末商戦、売れる商品は何なのでしょうか? これを占うにあたっては先行指標中の先行指標、株価を見るのが一番です。そこで当社では毎年この時期、株価動向から年末商戦のヒット商品を占うレポートを作成する事にしています。

例えば2010年のレポートでは、ムートンブーツ「UGG」を販売するデッカーズ(DECK)という会社をご紹介しました。デッカーズの株価は、ご紹介した11月半ばの時点で既に年初来80%上昇していました。NYマンハッタンの専門店にも行列が出来るほどで、年末商戦でのヒットは確実でした。その後もデッカーズの株価は上昇を続け、翌年の年末商戦に向けてさらに90%の上昇となりました。しかし上昇はそこまで。今年に入って株価はほぼ一貫して値下がりし、同社のムードンブーツ人気は、既に去年がピークであった可能性が高くなっています。

今年のレポートで取り上げた2012年年末商戦の予想ヒット商品は以下の通りです。

第一に、アパレル・ブランドのマイケル・コース(KORS)。1981年にNYで自らの名を冠したブランドを立ち上げ、昨年12月に株式上場を果たし、株価は現在、公募価格比約2.5倍の高値近辺で取引されています。多くのセレブリティーが愛用していることで知られており、先月の大統領選で再選したオバマ大統領が勝利演説を行った際、ミッシェル夫人が同ブランドのドレスを着用していたことで、認知度はさらに高まることとなりました。日本では2010年8月に東京・表参道に第1号店をオープンし、11月現在、国内13店舗を展開しています。

第二に、カプセル式コーヒーメーカーのグリーンマウンテン・コーヒー・ロースターズ(GMCR)。米国でカプセル式の一杯抽出用マシンでコーヒーを楽しむ習慣が広がりつつあり、同市場規模は前年に比べ倍増すると見込まれています。今年は10月にコーヒー店チェーン最大手のスターバックス(SBUX)も独自のシステム「ベリズモ」を市場投入しましたが、グリーンマウンテン・コーヒー・ロースターズのシステム「キューリグ」は75%近いシェアを誇っています。同社の株価は、昨年から今年にかけて急落する場面がありました。しかし年末商戦を前に、同社の持つ高いシェアと急拡大する市場規模というファンダメンタルズが見直される形で、株価は7月の安値から2倍以上になっています。

第三に、タブレット端末です。米家電協会の「プレゼントとして欲しい家電」調査では、ここ2年連続でタブレット端末がトップに輝きました。今年は特に、アメリカで家電製品の普及価格と言われる200ドル前後を意識した低価格高機能の小型タブレット端末、グーグル(GOOG)の「Nexus 7」とアマゾン・ドット・コム(AMZN)の「Kindle Fire HD」の好調が予想されます。一方で価格帯は上になるものの、アップル(AAPL)の「iPad Mini」は使い勝手や性能、他の同社製品との互換性等の強みは健在と言えるでしょう。またマイクロソフト(MSFT)も新しい基本ソフトWindows 8を搭載した同社初のタブレット端末「Surface」を発売しました。そしてブックリーダーで忘れてはならないのはもちろん、楽天の「kobo」!

この業界の競争が激化しつつあるのは確かですが、市場自体が非常に高い成長を遂げている事を忘れてはなりません。バリュエーションさえ妥当であれば十分、株価上昇も期待できるでしょう。

最後に個人的に、最近もらったもので一番嬉しかった物~それはイチロー選手のサイン入りヤンキース・ユニフォームでした。日本人として、世界のトップレベルで次々と新記録を打ち立て、今も究極に挑み続ける姿勢。このユニフォームを見ているだけで、自然と元気と勇気が湧いてきます。

皆様の、クリスマス・ショッピングの参考にしていただければ幸いです。

(2012年12月6日記)